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3章

ミドレスト皇国

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宴の翌日、ティガ達に別れを告げると、一行はマグナ大森林を抜け、ミドレストへ向け、出発していた。
森を抜けてからなだらかな坂道の登っている最中である。尚、峠付近は急勾配となっているせいで、反対側は見ることが出来ない。
「ニーナさん、ミドレスト皇国ってどういう所なんです?」
馬車で移動中、暇を持て余したフローラが、ニーナに話し掛ける。
「えっとねぇ、このシグムンド大陸全土を統治してる、皇帝っていう最も高貴な方が住まう都って感じかな。」
「あ、じゃあライオネル城のローガンさまみたいな人がいるって事ですね!?」
「あー…ローガン様は王族なのよね。ミドレストにいるのは皇族って呼ばれる王様よりも一段階上の位の方達なの。因みに皇帝の直系血族に付随する方達の総称を皇族って呼ぶわ。」
「??王様よりも偉いってことですか?」
「うん、違いって言っても、一般市民からしたら、皇位継承権第一位の王様が皇帝って呼び名に変わるだけなんだけど。役割としてはローガン様みたいに自分の守護する土地を管理して、尚且つ、地方を統治する他の王族を取り纏めるって感じ。だから、権力も王族のローガン様より格が上になるってことね。」
「へぇ~、じゃあどうしてニーナさんは行きたがらなかったんです?」
「ぐっ…、流石に気づかれてたか…。」
「何か乗り気じゃなさそうでしたもん。聞く限りじゃ、この大陸で一番大きな都市ってことじゃない??」
「まあねぇ…。フローラちゃんの言う通りなんだけど…。今の皇帝がちょっとね…。あ、大事な事言い忘れてたけど、フローラちゃんはミドレストでは絶対フード被ってないとダメよ?」
ニーナは、すごい剣幕で、顔を近づけ、フローラに忠告する。
「皇帝に何か…?ん?????ミドレストに入ってからって事ですか?」
「そうね…。んん、出来たら、検問を受ける時から。門衛さんには顔を見せてもいいけど、後はダメよ。」
これ程、念を押されるって一体どんなとこなんだ…。フローラは変に勘繰らずには居られない。

「ニーナさん、フローラ!!見えてきましたよ!ミドレスト皇国!!」
フローラとニーナに荷台から顔を出していたミルトが声を掛ける。
お喋りに夢中になっている間に、坂道も峠を越えたようで、前方を見渡すことが出来た。
「おっきーい!!すっごく綺麗なとこですね!」遠目からでも分かる程に、存在感のある巨大な白壁に、それよりも高く聳えている城の一部が風景に映し出されている。
ニーナの言っていたことは気になるが、目の前に映るミドレストの外観はライオネルを遙かに超えている。
なだらかな傾斜の坂というのもあって、馬車もやや早足に下り下っていく。

「わぁ、…誰用なの?」
フローラが思わずそう呟かずにはいられないのには理由がある。
巨人族の門衛が二人立っている、門扉は巨人族すら、軽々通り越すことが出来る。
「巨人族がざっと四人くらい、肩車をしてたとしても問題なさそう…。」
ミルトも仰々しい門扉に気圧され気味だ。
「おい、そこの者たちよ。止まれ。」
野太い声と巨体が前方に立ちふさがる。見かけより動きが俊敏(はや)い。
ニーナは緩やかにスピードを落とし、目の前で荷馬車を止める。
「ごきげんよう。商人ですわ。マグナ大森林を抜けてきたの。少しばかりミドレスト皇国に立ち寄りたいんですけど…。」
上目遣い(不可抗力)で、胸ポケットから取り出して見せたのは商人証と呼ばれる、商館専属の商人にのみ持つことが許される許可証だ。
「…ああ。ご、ごほん!確かに確認した。それでそちらのフードを被った連れ達もか…?見た所幼子そうだな。」
「この子達は保護者兼同伴者ってとこかしら。フードは取った方がいいかしら?」
ニーナの問いに門衛は少し間を空け、一考する。
「…いや、取らずともよい。商人ニーナ・イングリッド殿。其方はこの門を潜るに値するお方だ。…幼子達よ。決してニーナ殿の傍を離れるなよ。ニーナ殿も城下と言えどハメを外しすぎないように…。」
門衛はわざわざ跪き、顔を近づけて、フローラ達に小声で忠告をしてくれる。
よくは分からないが、取り敢えずローブを被った少年少女は頷いて見せた。
優し気に微笑む彼の笑顔はそれでもどこか憂慮しているように見えた。

「通って良ーーーーし!!!!」
立ち上がり、通路を空けると、ニーナは再び手綱を握り、馬車を発進させた。
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