目覚めたら地下室!?~転生少女の夢の先~

そらのあお

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冒険者~修行~

触るな危険?

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3日目の実習を終え家に帰ったフェリーチェとアルベルトが、初賃金で購入した果物を渡すとサマンサは満面の笑顔で抱き付いた。
クロードも穏やかに笑っていたが、ロバートから報告を受けた後、何かを企むように嗤った。

(パーカーさん逃げて!)

(何するのかな?見てみたいな~)

そんなクロードを見て、フェリーチェはパーカーを心配し、アルベルトはわくわくした顔をしていが、初めて働き見知らぬ人と接して疲れが出たのか、その日は早めに就寝した。
翌日、修行開始4日目の薬学の授業は、薬師として働いているエルフのルーカスとクレアが教えてくれる事になっていた。

「俺たちが薬学を担当する事になった。宜しく」

「人に教えるなんて初めてだから、分かりにくい時は言ってね」

「「よろしくお願いします!」」

ルーカスとクレアは緊張した面持ちだったが、フェリーチェとアルベルトの笑顔を見て、無意識に入っていた力を抜いた。

「2人は、薬草の事を全く知らないと聞いたから、先ずは種類を覚えてもらう」

「薬草の中には、見た目が似ていても効果が違う物もあるから、しっかり覚えてね」

「「はい!」」

「あっ!そういえば、2人は『鑑定』系のスキルは持ってる?」

「持ってます」

「あるよ。使った方がいいの?」

「いや、使わない方がいい。もちろん、スキルを使うのは悪い事じゃないが、使わなくても判断できた方がいい場合もあるからな」

「何でですか?」

「スキルには、誰でも取得できる物と、できない物があるの。『鑑定』系のスキルは、できない方だし便利なスキルだから、スキルを所持している人は目をつけられやすいのよ」

「ふ~ん。だから、人前で使わない方がいい訳か」

「そういう事だ。使ってもいいが、周りに悟らせないようにしないとな」

「分かりました」

「分かったよ」

「では、始めましょう」

それから、ルーカスとクレアは実物を見せながら、薬草や毒草について説明を始めた。
中には、薬草と毒草で姿が似ている物もあり、細かい見分け方を教えてらったので、2つを並べて薬草がどちらか選ぶテストをする事になった。
しかし、アルベルトは薬草を選べたが、フェリーチェは何度やっても何故か毒草ばかりを選んでいた。
フェリーチェは、だんだん眉が下がっていき、最後には半泣きになってしまっていた。

「うっ……何で毒草ばっかり」

「フェリーチェ、泣く必要は無いわ。最初は皆そうなのよ」

「そうだぞ。ほら、さっき教えた通り葉の縁をしっかり見比べてみろ。毒草の方は、うっすらだが赤くなっているだろう?」

「本当に薄いから、最初はじっくり見れば大丈夫よ」

「はい。アルはコレが見えるんだよね?すごいな~」

「え?……あ~……まぁね」

フェリーチェが、羨ましそうにアルベルトを見ると、何故か目を反らされた。

「アル……何で目を反らすの?」

「もしかして、他の見分け方があるの?」

「そうなのか?なら、教えてくれ。俺たちも把握しておきたいからな」

「いや~そういうわけじゃないんだけど。――だよ」

ゴニョゴニョと話すアルベルトに、フェリーチェはジト目で、ルーカスとクレアは不思議そうに聞き返した。

「「「え?」」」

「だから……何となくだよ」

「「「何となく?」」」

「そう。薬草の方は、‘体に良さそうな感じ’で毒草の方は、‘体に悪そうな感じ’がするでしょ?」

「‘体に良さそうな感じ’に」

「‘体に悪そうな感じ’って」

「アル、抽象的すぎるよ。そもそも」

「「「そんなの分かるか!」」」

ルーカスとクレアとフェリーチェが叫ぶと、アルベルトは困ったように説明しだした。

「え~?ほら、薬草はこう……サラサラ!キラキラ!っぽくって、毒草は……う~ん……モヤモヤ!とかグニャグニャ!って感じだよ」

「いや、分かんないからね!?」

「というか、俺たちの説明は聞いていたのか?」

「聞いてたよ!」

「そのわりには、活用してないのね」

「だって、見分ける前にサラサラでキラキラでモヤモヤでグニャグニャするんだから、しょうがないよ!」

「それって、野生の勘?」

「まぁ、ある意味大事な感覚だがな」

「もう、アルベルトはそれでいいんじゃない?」

「何かヒドイくない!?」

クレアの言葉に、ショックを受けるアルベルトをよそに、何事も無かったかのようにルーカスがフェリーチェに声をかけた。

「さてフェリーチェ、もう一度やってみよう」

「は~い」

「……フェリ~」

まったく自分を気にしてくれないフェリーチェを、恨めしそうな目で見ていたアルベルトに、クレアが大きな袋を差し出した。

「アルベルトは、こっちの袋に入っている物を薬草と毒草に分けてみて」

「……分かったよ」

アルベルトが袋を受け取り、言われた通り仕分けをしだすと、ルーカスとクレアは顔を見合わせ無言で頷き合った。

(これで帰ってからやる予定の仕事が無くなったな)
(今度からコレでいけるわ!)

思わぬ収穫に喜んでいた2人と、集中しているフェリーチェは気付いていなかった。
アルベルトが早々に仕分けを終わらせて、頼んでない袋に手を伸ばしている事に。
そして、事件は起こった。

――ドッカッ~ン!

授業をしていた部屋を中心に、邸に大きな音が響き渡り揺れた。
数分後、部屋に駆けつけたライリーとオリビアが見たものは、唖然と立ち尽くすルーカスとクレアに、ビックリし過ぎて固まるフェリーチェ、冷や汗をかきながら口元を引きつらせたアルベルトだった。
幸い、咄嗟にアルベルトが結界を張っていたので、怪我はないようだが、部屋はボロボロになっていた。

「お怪我はないようですね」

「オリビアは報告に行ってくれ。俺は先に片付けをしておくから」

「分かりました。何名か連れてくるわ」

2人は何があったのか聞きもせず、それぞれ動き出し、ライリーは片付けをするために4人に声をかけた。

「さぁ、片付けるので移動してください」

「……何でそんなに冷静なんだ?」

「普通は何があったか聞くものじゃないの?」

「あの様子からすると、原因はアルベルト様ですよね?今回は意図的ではないようですが」

「分かるのか?」

「分かりますよ。それに、このような事には慣れていますので」

「「慣れて……」」

「ここは、代々魔術師の家系……ファウスト家ですから」

「「そうですか……」」

(慣れの原因はアルベルトじゃなかった)

(まさかのファウスト家なのね)

2人が、ライリーの言葉を聞いて微妙な顔をしていると、アルベルトがフェリーチェの手を引きながら近寄ってきた。

「ライリー、‘今回は’じゃなくて‘今回も’意図的じゃないよ」

「…………そうですね」

「その間は何!?」

アルベルトとライリーのやり取りを見ながら、フェリーチェは無意識に呟いた。

「日頃のおこな――」

「フェリ?」

「ヒィッ!」

目が笑っていないアルベルトに微笑まれて、フェリーチェは首をブンブン横に振りながら後退ろうとするが、手をしっかり握られていて、できなかった。
必死なフェリーチェを気の毒に思ったのか、ライリーがアルベルトに問いかけた。

「アルベルト様は今回、何をしでか――何をしたんですか?」

「ライリー、本音が隠せてないよ。何って言われても、仕分けを頼まれた袋が終わったから、ついでに他のもしてあげようとしたら、ああなったんだよ」

アルベルトの言葉を聞いて、クレアが慌てて尋ねた。

「ね、ねぇその袋って、赤い紐で縛ってたやつじゃない?」

「そうそう、その袋」

クレアの質問にアルベルトが答えると、ルーカスとクレアは‘やっぱり’という顔をしながら、申し訳なさそうに口を開いた。

「……だったら、今回のは俺たちの責任だ」

「そうね。アルベルトのせいじゃないわ」

「「「???」」」

フェリーチェとアルベルトとライリーが、首を傾げるとルーカスが説明しだした。

「赤い紐で縛っていた袋には、『魔吸草』が入っていたんだ」

「「魔吸草?」」

「確か、魔力を糧に育つ薬草でしたよね?それで何故、爆発を?」

「貴方のいう通り、魔吸草は魔力で育つの。普段は、根から大地の魔素を吸収するけど、採取した後は触れた者から魔力を吸収してて、吸収量も根からよりかなり多くなるわ」

「魔力の弱い者が触れたら、倒れたりする事もあるんだ。だから、触る時は手袋をしている。あの袋に触らないよう、言ってなかったのが悪かった」

「でも、アルは倒れなかったね」

「爆発したしね~」

「おそらく、吸収した魔力が許容量を越えたんだろう」

「私たちも、爆発するなんて初めてよ」

「へぇ~、つまり……今回、僕は悪くない!」

「そうですね。……今回

「ライリー?何か言いたそうだね?」

「気のせいです!」

ライリーが、物言いたげに呟いた言葉はしっかりアルベルトに聞かれ、アルベルトがニッコリ笑いながらライリーに近付こうとしたところに、オリビアが使用人を数名連れて戻ってきた。

「遅くなりました。さぁ、片付けてしまいましょう。あら、ライリーったら、片付けが進んでないですよ?」

「すまない。今回の爆発の原因を聞いていたんだ」

「原因ですか?どうせアルベルト様がやらか、ゴホンッ!……何があったんですか?」

「オリビアまで!?」

「違うよオリビア!魔吸草が、アルの魔力でお腹一杯になって、吐いたっ……じゃなくて、破裂したの!」

「はい?」

アルベルトをフォローしようと、フェリーチェが説明しようとしたが、オリビアは訳の分からず困ったように聞き返した。

「合ってるような、違うような」

「意味は同じじゃない?」

「フェリ、お腹すいてるの?」

「そろそろお昼ですからね」

「うぅ~」

アルベルトたちからツッコまれて、顔を赤くしながら唸るフェリーチェの頭を撫でてから、ルーカスが代わりに説明した。
それから、皆で片付けをして邸にいたサマンサに事情を説明してから、帰る2人を玄関で見送っていると、サマンサが口を開いた。

「ねぇねぇ、ひとつ聞いてもいいかしら?」

「何だい?母様」

「どうしたの?お母様」

フェリーチェとアルベルトがサマンサに顔を向けらると、話を聞いてから疑問に思っていた事を聞いた。

「どうして部屋を片付けるのに『復元』レストレーションを使わなかったの?」

「「え?」」

「だって、あの魔法は‘復元’させる魔法でしょう?」

「「うん」」

「部屋を‘復元’すれば、わざわざ片付けなくても良かったんじゃないの?」

「「あ!」」

サマンサに言われるまで、2人はすっかり魔法の事を忘れていたようで、唖然とサマンサを見ていた。
そんな2人を見たサマンサは、クスクス笑いながら2人のおでこをつついた。

「普段はしっかりしてるのに、変なところがおマヌケさんね」

「「ははっ……」」

楽しそうなサマンサに反して、フェリーチェとアルベルトは、から笑いしながら肩を落とした。












 
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