呪われた少年の生きる道

大神 火龍

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僕は神から呪いをかけられてしまった。その神がすごく憎い。何故僕は不老不死で、誰にも触れられず、触れれない体になったのか...でも神は言った。『ある1人だけはあなたの体を触れる』と。誰のことなんだ...

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鳥がさえずる森の中を、僕は歩いていた。ずっと死にたいと思っていた。こんな体、誰にも触れられない...それがとても耐えがなくつらかった。この呪いをかけられ約100年。僕の体は18歳。
死にたかったけど、ずっと待った。1人だけ僕に触れ、愛してくれる人を。
「もうすぐ夕方か。今日はここら辺で寝るか」
近くに川があったのでそこで寝ることにした。木にもたれかかり、寝ようとしたそのとき...
ガサガサ...
誰かが歩いてくる。
僕の方へ向かってくる。なんだか胸騒ぎがした。
「ここで何してんだお前」
急に声をかけられ驚いた。
姿を見ると、これは...獣人?すごくかっこいい...狼、なのかな?瞳がコハク色ですごく引き寄せられてしまう。
「何ぼーっとしてんだよ」
「あ、ごめん。その...とてもカッコよくて...」
「そうか、ありがとう。ところで、何故お前からいい匂いがするんだ?」
「...は?」
狼獣人は僕を抱き寄せた。
「えっ、あ、ちょ...」
触られた。久しぶりの温もりだ。
ハッ!?何故僕を触れる!?も、もしかして...
「やっぱり...お前の匂いはすごく惹かれる。」
「僕を触ってくれた...」
「ん?それはどういう事だ?」
狼獣人は不思議そうに聞いてきた。
「僕の体は、誰からも触れられないはずなんだ。でも、君は触ってくれた。それがものすごく嬉しくて...」
自然と目から涙が流れていた。
「お、おい!?なんで泣くんだよ。もう、よしよし。」
不慣れなのか、不器用な手で頭を撫でてくれる。すごく嬉しかった。
「お前、家は?家族はいないのか?」
「ない。とっくの昔に、全部無くした。この呪われた体だけが、生きてる。」
「呪われた体?なんだそれ」
「さっきの話もその1部なんだけど、僕の体は呪われているんだ。」
「触れないことか?」
「うん。それに不老不死なんだ。こんなつらいこと、初めてだった。」
僕は顔を上にあげた。もう泣きたくなかった。
「ふむ...あ、そうだ。うちにこねーか?」
「ふぇっ?」
あまりに唐突すぎる質問で間の抜けた返事をしてしまった。
「だーかーらー。俺ん家こいよ。と言うか、来い。俺の命令だ。俺のそばにいろ」
「う、うん...ってえぇ!?お、俺のそばにいろって...告白みたいじゃないか...」
「悪いかっ!告白みたいで。俺はお前と一緒にいたいんだ。」
...こんな僕でいいのだろうか。でも、ずっと独り身だった僕に一緒にいろと言ってくれた。
「...こんな僕でよければ、よろしくお願いします。」
「よし、決まりだな。そう言えば、名前は?」
名前、名前かぁ...そんなのもあったな。すっかり忘れかけていた。
「ヨシュア...性はないんだ」
「ヨシュアか。初めて聞く名前だ。俺はクリス=カーター。クリスって呼んでくれ。」
「クリス...」
「そう。よしよし。可愛いな、お前は。」
「なっ!?」
急に言われて、返事ができない。
「ごめんごめん。そんじゃ、俺の家に行くとするか。」
そう言って、僕達は森を出た。
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