たんぽぽ学園は、今日も平和(じゃない)です。

kuro.

文字の大きさ
13 / 37
1年生編

第11話「夏休み明けと不思議な違和感。」

しおりを挟む
 夏休みが終わり、今日は始業式。

 窓から差し込む朝の光を浴びながら、ゆいはふと目を覚ました。

「ん……あれ……今日って……」

 時計を見る。針は完全に登校準備が終わってるべき時間を指している。
「うわあああああっ!?」

 慌てて布団を跳ね飛ばし、髪をぐしゃぐしゃのまま飛び出そうとしたその時だった。

 玄関のチャイムが鳴る。

「ゆい、起きてる?もう時間だよ」 

 落ち着いた声。つかさだ。

  ゆいはドタバタと玄関に走り、パジャマのまま扉を開けた。

「つかさぁ……助けてぇ……!」

「はいはい、制服持ってきてあげたから。急いで着替えて。靴下も左右そろってるやつね」

 さすが幼なじみ、準備万端だった。私ゆいそのまま洗面所に駆け込み、つかさの補助でなんとか学校に間に合った。

 教室に入ると、すでに席についていたりんが手を振ってくれた。

 「ゆいちゃん、おはよー!つかさちゃん、お疲れ様~」 

「毎度のことだから慣れてるよ」

 始業式が始まり、体育館で校長先生の長い話のあと、教室に戻り、黒田先生の挨拶。

「えー……新学期ですねー。んー、まー、夏休み終わっちゃったけど、気合い入れずにやってこー。どうせみんなすぐバテるし」

 いつも通りのやる気ゼロなトーンに、教室がざわっと笑いに包まれた。

 その後、教室内では、夏休みの話題で盛り上がる。

「ゆいちゃんの水着、可愛かったよね~!」

「「りん、スイカ割りのとき、棒思いっきり反対に振ってたよね?」

「りんちゃんがスイカ割りで盛大に空振りしたやつ!」

 「えー!?それ言う!?つかさちゃんだって、砂のお城で本気出して崩れたときちょっと泣きそうだったじゃん!」 

「それは言わない約束~~!」

「それに、つかさは……ナンパされてたし」

「え、それも言うの!?」

 わいわいと話しているうちに、私はふと教室の窓の外を見た。

「……あれ?中庭のあの木、前からあったっけ?」

 見慣れた風景のはずなのに、何かがちょっと違う。

「うーん……夏の間に校舎のどこか変わってない?なんか空気が違う気がするんだよね……」

  私の言葉に、つかさとりんも「そういえば……」と首をかしげる。

 そのとき、ひょっこりとレイが教室の後ろから現れた。

「ふむ……やはりそうか。この世界線には違和感がある」

「は?」

「また、レイの中二病」

「……感じる……夏休み前とは異なる、微細なる因果の揺らぎ……。夏休み明け、何かが“ズレた”。おそらく並行世界で小さな改変が起こったのだ……」

 

「レイくん、それ絶対ただの補修疲れだよ」

 りんがツッコミを入れると、レイは「ふっ」と笑って去って行きながら、

「この世界線……ほんのわずかにズレている……つまり、我々は知らぬ間に新たな時空へと導かれたのだ……!」

「はいはい、レイくんは世界の謎を追ってて~」

 ──そんなこんなで、新学期はやっぱり今日ものんびり、たんぽぽの丘学園らしく始まったのだった。

 でも、私たちは知ってる。

 きっとこの先も、笑って、走って、驚いて、そんな日々が続くんだってことを。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end**

異世界で大往生した私、現代日本に帰還して中学生からやり直す。~最強の補助魔法で、冴えないおっさんと最強美女を操って大金持ちになります~

タカノ
ファンタジー
異世界へ転移し、聖女として崇められ、愛する家族に囲まれて88歳で大往生した……はずだった。 目が覚めると、そこは現代日本。 孤児の中学2年生、小金沢ヒナ(14)に戻っていた。 時間は1秒も進んでおらず、待っていたのは明日のご飯にも困る極貧生活。 けれど、ヒナの中身は酸いも甘いも噛み分けたおばあちゃん(88歳)のまま! 「もう一度、あの豊かで安らかな老後(スローライフ)を手に入れてみせる!」 ヒナは決意する。異世界で極めた国宝級の【補助魔法】と【回復魔法】をフル活用して、現代社会で大金を稼ぐことを。 ただし、魔法は自分自身には使えないし、中学生が目立つと色々面倒くさい。 そこでヒナがビジネスパートナー(手駒)に選んだのは―― 公園で絶望していた「リストラされた冴えないおっさん」と、 借金取りに追われる「ワケあり最強美女」!? おっさんを裏から魔法で強化して『カリスマ社長』に仕立て上げ、 美女をフルバフで『人間兵器』に変えてトラブルを物理的に粉砕。 表向きはニコニコ笑う美少女中学生、裏では彼らを操るフィクサー。 「さあ善さん、リオちゃん。稼ぎますよ。すべては私の平穏な老後のために!」 精神年齢おばあちゃんの少女が、金と魔法と年の功で無双する、痛快マネー・コメディ開幕!

疎遠だった叔父の遺産が500億円分のビットコインだった件。使い道がないので、隣の部屋の塩対応な美少女に赤スパ投げまくってる件

月下花音
恋愛
貧乏大学生の成瀬翔は、疎遠だった叔父から500億円相当のビットコインが入ったUSBメモリを相続する。使い道に困った彼が目をつけたのは、ボロアパートの薄い壁の向こうから聞こえる「声」だった。隣人は、大学で「氷の令嬢」と呼ばれる塩対応な美少女・如月玲奈。しかしその正体は、同接15人の極貧底辺VTuber「ルナ・ナイトメア」だったのだ! 『今月ももやし生活だよぉ……ひもじい……』 壁越しに聞こえる悲痛な叫び。翔は決意する。この500億で、彼女を最強の配信者に育て上げようと。謎の大富豪アカウント『Apollo(アポロ)』として、5万円の赤スパを投げ、高級機材を即配し、彼女の生活を神の視点で「最適化」していく。しかし彼はまだ知らなかった。「金で買えるのは生活水準だけで、孤独は埋められない」ということに。500億を持った「見えない神様」が、神の座を捨てて、地上の女の子の手を握るまでの救済ラブコメディ。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

妻に不倫され間男にクビ宣告された俺、宝くじ10億円当たって防音タワマンでバ美肉VTuberデビューしたら人生爆逆転

小林一咲
ライト文芸
不倫妻に捨てられ、会社もクビ。 人生の底に落ちたアラフォー社畜・恩塚聖士は、偶然買った宝くじで“非課税10億円”を当ててしまう。 防音タワマン、最強機材、そしてバ美肉VTuber「姫宮みこと」として新たな人生が始まる。 どん底からの逆転劇は、やがて裏切った者たちの運命も巻き込んでいく――。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...