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第2部 1年生は平和を望む
14:《蒼嵐》の日々~回想~
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※シロエ視点です。
わたしは十一歳になりました。
そしてシェンルウ様は十歳になりましたが失明はしませんでした。
本当は八歳で失明される運命は、ジンセル様の部位保護呪文のおかげか回避されたんです。日時まではわからなかったので、一年間毎日欠かさずに呪文をおかけになったジンセル様はすごいです。クロエお姉ちゃんのように弟思いで羨ましくなります。
わたしが入学するまでは、今ではシェンルウ様ご自身で念の為に毎日呪文をかけています。
「──確かに変えられるものと変えられぬものがあるようだな」
強制力の確認のためにもう一人の攻略対象ハガレス様に対して、内緒で色々な実験をジンセル様はされました。
「学園に通えないように身体欠損を試みてもことごとく失敗。これはやはりゲームに登場させるための強制力と考えられるな。現にあいつはシロエのことをペットのように愛でている」
ハガレス様はシロエを好いてくれたそうですがシェンルウ様の事件以降さらに荒れたシロエを見るのが耐えられずに、憎んでしまう──ゲームでは、そうです。でも実際にはわたしは相変わらずおばかさんで泣き虫だけれど、悪い子にはなってません。なのでジンセル様の婚約者候補と側近として親しくできているんです。
……ペット? 時々ジンセル様もシェンルウ様もリュウル兄様までも、私のことを女の子扱いしてくれないなのはどうしてなのかなぁ? シェンルウ様に質問したら「愛玩用の小動物みたいに可愛いからだよ」って笑ってたけど。複雑。
平和で楽しい日々を過ごしています。
昨日からジンセル様とシェンルウ様にお呼ばれして王家の別荘に遊びに来ていて、遠乗りに出かけ戻ったらそろそろ夕餉の時間です。
三人だけなので着替えずに食堂に直行しようとジンセル様が提案されて、みんなで廊下を歩いているとお二人は楽しげに遠乗りの話を始められて、わたしも楽しい気持ちなのですが……
「シェンは乗馬がかなり上達したね」
「そうですか!? 兄様に褒められるなんてすごく嬉しいです」
「いつでも褒めてるぞ? 大袈裟だな」
「私は立派な大人になって兄様の補佐をするんです! もっと頑張ります」
私の前を笑いながら歩く王子様たちに、また寂しくなってしまいました。
お姉ちゃんに逢いたいなぁ……
廊下の鏡を何気に見て、お姉ちゃんと交換したネックレスの紅石をぎゅっと握りました。こうやるとお姉ちゃんが近くにいる気がして──!?
鏡に、わたしの姿以外に何か映っています。文字のようです。
『お姉ちゃんです。元気にしていますか? お姉ちゃんは婚約者になりました。でも嫌われてませんよ。良いお友だちです。悪役令嬢にはなってません。あと何年かで逢えます。頑張って! シロエを大好きなお姉ちゃんより愛をこめて』
少しずつ文字が現れては消えていきます。わたしは読むのが遅いけれどちゃんと最後まで読めたの!
お姉ちゃんのメッセージなの!
「──今のはなんだ、こんな呪は識らないぞ」
「なんて書いてあったの? 私の目にはぼやけて読みとれなかった……」
わたしの背後から見たのか、ジンセル様とシェンルウ様は驚いたようにもう文字の消えた鏡を凝視しています。お二人には文字らしきものとしか認識されなかったようです。
「……クロエお姉ちゃんです」
お二人にじっと見つめられます。
「わたしのお姉ちゃんからのメッセージだったんです!」
叫んでしまったわたしの目からは、嬉しさのために涙がこぼれ落ちました。
「──君の姉上は何者なんだ? あんな呪は初めてだ。高度なんてものじゃない。我が国の優秀な魔鬼士ですら識らないはずだ……」
「びっくりした……それで、なんと書いてあったの?」
「……そうだな、私も聞きたい」
まだ信じられないようなお顔をされてますが、多分わたしも同じなんだと思う。
シロエは絶対に負けない。
今でも震えが走るぐらい怖くてたまらないけれど、学園に入学することでお姉ちゃんに再会できるなら、我慢できるもの!
ガイマン様という《紅蓮》の元魔鬼士の方のオリジナル呪文だと知るのはもう少し後のことです──
わたしは十一歳になりました。
そしてシェンルウ様は十歳になりましたが失明はしませんでした。
本当は八歳で失明される運命は、ジンセル様の部位保護呪文のおかげか回避されたんです。日時まではわからなかったので、一年間毎日欠かさずに呪文をおかけになったジンセル様はすごいです。クロエお姉ちゃんのように弟思いで羨ましくなります。
わたしが入学するまでは、今ではシェンルウ様ご自身で念の為に毎日呪文をかけています。
「──確かに変えられるものと変えられぬものがあるようだな」
強制力の確認のためにもう一人の攻略対象ハガレス様に対して、内緒で色々な実験をジンセル様はされました。
「学園に通えないように身体欠損を試みてもことごとく失敗。これはやはりゲームに登場させるための強制力と考えられるな。現にあいつはシロエのことをペットのように愛でている」
ハガレス様はシロエを好いてくれたそうですがシェンルウ様の事件以降さらに荒れたシロエを見るのが耐えられずに、憎んでしまう──ゲームでは、そうです。でも実際にはわたしは相変わらずおばかさんで泣き虫だけれど、悪い子にはなってません。なのでジンセル様の婚約者候補と側近として親しくできているんです。
……ペット? 時々ジンセル様もシェンルウ様もリュウル兄様までも、私のことを女の子扱いしてくれないなのはどうしてなのかなぁ? シェンルウ様に質問したら「愛玩用の小動物みたいに可愛いからだよ」って笑ってたけど。複雑。
平和で楽しい日々を過ごしています。
昨日からジンセル様とシェンルウ様にお呼ばれして王家の別荘に遊びに来ていて、遠乗りに出かけ戻ったらそろそろ夕餉の時間です。
三人だけなので着替えずに食堂に直行しようとジンセル様が提案されて、みんなで廊下を歩いているとお二人は楽しげに遠乗りの話を始められて、わたしも楽しい気持ちなのですが……
「シェンは乗馬がかなり上達したね」
「そうですか!? 兄様に褒められるなんてすごく嬉しいです」
「いつでも褒めてるぞ? 大袈裟だな」
「私は立派な大人になって兄様の補佐をするんです! もっと頑張ります」
私の前を笑いながら歩く王子様たちに、また寂しくなってしまいました。
お姉ちゃんに逢いたいなぁ……
廊下の鏡を何気に見て、お姉ちゃんと交換したネックレスの紅石をぎゅっと握りました。こうやるとお姉ちゃんが近くにいる気がして──!?
鏡に、わたしの姿以外に何か映っています。文字のようです。
『お姉ちゃんです。元気にしていますか? お姉ちゃんは婚約者になりました。でも嫌われてませんよ。良いお友だちです。悪役令嬢にはなってません。あと何年かで逢えます。頑張って! シロエを大好きなお姉ちゃんより愛をこめて』
少しずつ文字が現れては消えていきます。わたしは読むのが遅いけれどちゃんと最後まで読めたの!
お姉ちゃんのメッセージなの!
「──今のはなんだ、こんな呪は識らないぞ」
「なんて書いてあったの? 私の目にはぼやけて読みとれなかった……」
わたしの背後から見たのか、ジンセル様とシェンルウ様は驚いたようにもう文字の消えた鏡を凝視しています。お二人には文字らしきものとしか認識されなかったようです。
「……クロエお姉ちゃんです」
お二人にじっと見つめられます。
「わたしのお姉ちゃんからのメッセージだったんです!」
叫んでしまったわたしの目からは、嬉しさのために涙がこぼれ落ちました。
「──君の姉上は何者なんだ? あんな呪は初めてだ。高度なんてものじゃない。我が国の優秀な魔鬼士ですら識らないはずだ……」
「びっくりした……それで、なんと書いてあったの?」
「……そうだな、私も聞きたい」
まだ信じられないようなお顔をされてますが、多分わたしも同じなんだと思う。
シロエは絶対に負けない。
今でも震えが走るぐらい怖くてたまらないけれど、学園に入学することでお姉ちゃんに再会できるなら、我慢できるもの!
ガイマン様という《紅蓮》の元魔鬼士の方のオリジナル呪文だと知るのはもう少し後のことです──
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