憧れの悪役令嬢にTS転生した俺は殿下の求婚を回避して気ままな魔法学園ライフを送ります ~女神に貰った最強ボディで好き勝手やらしてもらう~

ゆきなっしゅ

文字の大きさ
10 / 50

第10話 光魔法とミーナ

しおりを挟む
「はぁ……はぁ……ここまでくれば……」

俺は全力疾走で逃げたので息を切らしていた。
無我夢中で逃げていたためここがどこかわからない。
あれだけ広かった演習場だ。
学園の地理がわからないとはいえ外には出てないだろう。
そうだ。学園のことわからないのに、1人で行動したらどこに行けばいいかわからん。
どうやって帰ればいいんだ。
しかし、ここだけ異様に静かだ。
さっきまでは色んな魔法の音が飛び交っていたというのに。
目の前にはきれいなフィールドが広がっているだけだ。
なんだここ、何をする場所なんだ?
すると

「セレスティア様?こんなところでなにしてるんですか?そんなに息を切らして……」

と声をかけられた。
振り向くと、一人の少女が立っていた。
きれいな銀色の髪をポニーテールに束ねた少女。
この子、さっき光魔法使っていた子だ。なぜか俺の名前を知っていた子。確か名前はミーナ・ベルだったか。
なんとなく、この子相手には悪役令嬢っぽく振る舞いたくなる。

「あら、庶民のミーナさんではありませんか。わたくしがどこでなにをしていようと勝手でしょう。あなたには関係ありませんわ」
「もしかしてセレスティア様もお花が好きなんですか!?」
「はい?」
「だからこの場所に来たんですよね! ここ、学園で一番お花が綺麗に咲く場所ですから!」
「いきなりなんなんですの……?」

俺が困惑していると、ミーナは嬉しそうに俺の手を取った。
ちょ、距離感ちかっ!

​「見てくださいセレスティア様!ここの芝生、素敵なお花畑ができそうなんです!」

ミーナはそう言うが、広がっているのは雑草ばかり。
俺にはただの芝生にしか見えない。

​「ただの芝生なのでは?」
「えへへ、ちょっと見ててくださいね」

ミーナはそう言うと、掌を地面に向け魔力を込めた。
すると、ふんわりとした温かい光が溢れ出す。
攻撃的な火や鋭い風とは違う、優しくて柔らかい光だ。
「生まれろ、生命よ。
生命の聖光(ホーリーグレイス)!」
光が周囲を包み込む。
次の瞬間、茎や蕾がニョキニョキと生えてきて固く閉ざされていた緑の蕾がほころび、
ポンッポンッという幻聴が聞こえそうな勢いで、可愛らしい白い花が辺り一面に咲いた。

「すごいですわ……」
「咲きましたー!どうです?綺麗でしょ?」

​ミーナが自分のことのように自慢げに笑う。
なるほど、光魔法か。
レーザーとか目潰しとか想像していたが、こういう使い方もできるのか。植物の成長を促す……光合成の強化版みたいなものか?

​「すごいですわね。雑草ばかりの場所に、花を咲かせるとは」
「これは生命を与える魔法です!村にいた時は、よく畑の野菜に使ってたんです!お日様が足りない日とかに使うと、野菜が元気になって美味しくなるんですよ!」

​なるほど、農業用ライトみたいな。
特別な力ならもっといろんなことに使えそうだな。

​「セレスティア様もやってみますか?とっても温かい気持ちになりますよ!」

​ミーナが無邪気に誘ってくる。
光魔法か……選ばれた人間しか使えないらしいが、全属性の俺ならいけるはずだ。
それに、植物を育てる魔法なんて面白そうだ。
いや待て、なんで俺が光魔法を使えることを知っているんだ。
そういえば俺の名前も知っている。
どこで聞いたんだ?

「待ちなさい。あなた、なぜわたくしが光魔法を使えるとお思いで?初対面の相手がなぜ特別な属性を使えると思いますの?」
「えっ、使えないんですか?そんな……」

ミーナはしょんぼりしている。

「それになぜわたくしの名前を知っているのですか?あなた何者ですの?どこまで知っているのですか?」

当然、俺の中にはミーナの記憶はない。
この世界に来てから初めて会ったし。
他の連中みたいに女神が最初から知り合いだったことにしたのか?
しかし、自己紹介のときに初めて会ったって感じだし、知り合いという雰囲気でもないんだよなぁ。

「授業の前に親切な方に教えてもらったんですよ!
この学園には『セレスティア・フォン・オブシディア』という、光魔法が使える青髪の美しい女性がいると!光属性の人を見るのは初めてですがひと目見ただけであなたのことだとわかりました!あなたからは他の人とは違う『生命のオーラ』を感じたので!」

ということは、その教えたやつも俺が光魔法を使えることを知っているってことか。
つまり犯人はひとりしかいないじゃないか。

「その方、もしかしてピンク髪のほわほわした感じの方でしたか?」
「はい!ニコニコして楽しそうな方でしたよ!」
「エリス……ですわね……」
「『エリス』さんというんですね!やはりお知り合いの方でしたか!とても良い人でした!おかげでこうしてセレスティア様とお話もできましたし!」

あいつ、人の名前勝手に教えたわりには自分は名乗ってなかったのかよ!
さっきまで警戒してたのがバカみたいじゃないか!
こんな純粋な子で遊ぶなんてあいつが一番やりそうなことだ!

「あの、セレスティア様?どうしました?」
「いえ、なんでもないですわ。それより光魔法の使い方を教えてくださる?」
「!!やっぱり使えるんですね!やったー!」

ミーナはぴょんぴょん跳ねて喜んでいる。

「そ、そんなに喜ばなくても……」
「喜びますよ~!貴重な同じ属性の持ち主に出会えたんですから!」

そうか。他の属性なら同じ属性同士仲良くすることもできるんだろうがこの子の場合は同じ属性に出会うこと自体が初めてなのか。

「では早速始めましょうか!エリスさんが『セレスティアさんは魔法の実力は全然なので手取り足取り教えてあげてくださいね♪』と、言っていたので簡単な魔法をやりましょう!」

あいつ、勝手にそんなこと言ってたのか。
まあ事実だからしょうがないけど。
実際、光魔法ってどう使うかあまりイメージできないな。

「……わかりましたわ。何をすればいいのでしょう」
「それでは丁度そこにまだ咲いていない蕾があるので咲かせてみましょう!」

ちょこんと、すぐそばに一つ蕾があった。
まずは一輪、花を咲かせられないとな。

「蕾に向かって生命を流し込むイメージです!」
「わかりましたわ、やってみます」

俺は指定された蕾の前にしゃがみ込んだ。
生命を流し込むイメージか。
俺は両手を蕾に向かって構え、イメージする。
ミーナのように、パァッと咲かせてやる!

「花よ、咲きなさい!」

するとポンッと白い花が咲いた!
できたぞ!光魔法も使えたぞ!

「咲きましたわ!見まして!?」
「わーい!やりましたね、セレスティア様!」

ミーナの屈託のない笑顔と、目の前で優しく輝く白い花。
あの殿下から必死に逃げただけだったが、こうして偶然ミーナと出会い、光魔法まで習得できたのは幸運だったと言えるだろう。
……まあ、あの女神が他にもミーナに余計なことを吹き込んでいないか、そこだけは少し不安だが。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

前世で過労死し、宿屋のモブ女子に転生。失感情なばかりに完璧な接客で最強の女たちをダメにする――「お客様、添い寝はオプション料金になりますが

駄駄駄(ダダダ)
ファンタジー
前世で部下のミスを被り、不眠不休で働いた末に過労死した伝説のマネージャー・清水(28歳)。彼女が転生したのは、人気RPG『アステリア・ファンタジア』の世界。それも、名前も出ない宿屋のモブ店主、シエル(18歳・小柄)だった。 前世で感情を使い果たして「失感情症」気味になったシエルは決意する。「今世は、自分の手の届く範囲だけを、完璧に『おもてなし』して静かに暮らそう」 そんなある日。宿の前に、かつての自分と同じように使い潰され、泥の中に捨てられた一人の「ゴミ」がいた。それは、クズ勇者に「壊れた盾」と罵られ、解雇された最強の聖騎士・アルテミス。 泥まみれの彼女を、シエルは淡々と「収容」し、プロの技術で洗浄し、栄養満点のスープを差し出す。「お客様。当宿のサービスに『絶望』は含まれておりません。オプションで『安眠』ならございますが?」 勇者への復讐? 世界平和? そんなもの、宿屋の仕事には関係ない。だが、完璧な接客(隠れママ力)で心身を解されたアルテミスは、いつしかシエルなしでは眠れない体になってしまい――。 さらには後悔して戻ってきた天才魔術師までが、シエルの「膝」を奪い合う抗争を始め……。これは、失感情症な少女が、無自覚に最強の女たちを「わからせて」しまう、癒やしと執着の宿屋経営録。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…

アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。 そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

ゲームの悪役貴族に転生した俺、断罪されて処刑される未来を回避するため死ぬ気で努力したら、いつの間にか“救国の聖人”と呼ばれてたんだが

夏見ナイ
ファンタジー
過労死した俺が転生したのは、大好きな乙女ゲームの悪役貴族アレン。待つのはヒロインたちからの断罪と処刑エンド!?冗談じゃない! 絶対に生き延びて平穏な老後を送るため、俺はゲーム知識を総動員して破滅フラグ回避に奔走する。領地を改革し、民を救い、来るべき災厄に備えて血の滲むような努力を重ねた。 ただ死にたくない一心だったのに、その行動はなぜか周囲に「深謀遠慮の聖人」と勘違いされ、評価はうなぎ登り。 おまけに、俺を断罪するはずの聖女や王女、天才魔導師といったヒロインたちが「運命の人だわ!」「結婚してください!」と次々に迫ってきて……!? これは、破滅を回避したいだけの悪役貴族が、いつの間にか国を救う英雄に祭り上げられ、ヒロインたちに溺愛される勘違い救国ファンタジー!

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...