憧れの悪役令嬢にTS転生した俺は殿下の求婚を回避して気ままな魔法学園ライフを送ります ~女神に貰った最強ボディで好き勝手やらしてもらう~

ゆきなっしゅ

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第42話 光と闇の先生

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「お嬢ちゃんたち、そろそろ授業始めてもいい?」

いつの間にか、背後に見知らぬ女性が立っていた。

「!?」

俺は驚き、思わず後ずさる。
しかし、ミーナとオフィーリアの二人は驚くどころかむしろ目を輝かせていた。

「ドロシー先生!」
「師匠!」

どうやら二人ともこの女性と知り合いらしい。

「ミーナちゃんは相変わらず元気でよろしい。あとオフィーリアちゃん、『師匠』はやめてよ……恥ずかしいって……この学園では一応『先生』なんだからさぁ」
「でも師匠は師匠ですし……」

あのオフィーリアがモジモジしている。
人格変わってないよな?
こういうしおらしい一面もあるんだな。
それにしても、完全に俺が置いてきぼりになっている!
みんな知り合いっぽいのに俺はこの先生の名前すら知らないぞ!
ていうか本当に先生なのか!?

「えっと……あなたは一体誰ですの?」
「なっ!?あんた師匠のことも知らないの!?」

オフィーリアが再び俺に対して敵意を向けてくる。
なんか段々この理不尽さにも慣れてきたな……
すると見知らぬ女性は、そんなオフィーリアをなだめつつ俺に自己紹介をしてくれた。

「まあまあ、オフィーリアちゃん落ち着いて……はじめまして、ドロシー・グリモワールです。気軽にドロシー先生って呼んでね。お嬢ちゃんがセレスティアちゃんでしょ?噂には聞いてるよ」
「噂……?」

ドロシー先生は学園に帰ってきたばかりのはずなのに、俺のことを知っているのか?

「うん、全属性なんでしょ?噂になってるよ。私も『二重属性(デュアル)』だからさぁ。君には敵わないけど、お互い大変だねぇ。特殊な身体を持っちゃって」

そんな感じで同情された。
光と闇のデュアルなんて恐らくレア中のレアだろうし、過去になんか大変な目にあったんだろうか。
しかし、そんな悲壮感は微塵も感じさせず、先生はのほほんとしている。

「ところでドロシー先生はミーナやオフィーリアと以前からのお知り合いですの?今まで学園にはいなかったようですけど」

俺は率直な疑問を口にする。
学園以外の場所で知り合ったのだろうか。

「ええとそれは――」
「ドロシー先生はね、私にとって救世主なんだよ!」

ミーナが興奮気味に割り込んできた。

「たまたま私の村に来てくれてね!私のおばあちゃんの病気を先生が光魔法で治してくれたの!それに私がこの学園にいるのも先生のおかげなんだ!」
「ドロシー先生のおかげ?」
「うん!昔の私は自分の属性も分からなかったんだけど、先生が光属性のこと教えてくれて……この学園にも推薦してくれたんだ!」
「そうだったんですのね」

へぇ~、それがミーナがこの学園に来た経緯なのか。
ミーナの故郷がどこかは知らないが、遠い村出身なら誰かの推薦がなきゃ入学できないというのも頷ける。
それにしても救世主かぁ……
ミーナにそんな過去があったんだなぁ。

「救世主って……大げさだって……恥ずかしいよ……」

ドロシー先生は頭を掻きながら照れていた。

「いえ、師匠は偉大な方です!」

続いてオフィーリアが熱っぽく語り出す。

「ドロシー先生はオフィーリアの師匠なんですの?」
「ええそうよ。師匠はご先祖様と知り合いらしいから、たまに闇魔法を教えてもらってるのよ。学園で会うのは初めてだけど」

ご先祖様ってことは、ヘカーティと知り合いなのか。

「だから『師匠』はやめてってば……ただ私はあの人に頼まれたから……」
「それは妾のことかの?」

オフィーリアの口調がいきなり変わる。
すぐ出てくるなこの人。

「うわぁっ!びっくりした!いきなり出てこないでくださいよ、師匠!」

ドロシー先生がめちゃくちゃ驚いている。
ていうか、『師匠』?

「お主が学園で教師をやると聞いたからどんなもんか様子を見てたが、相変わらずあまりやる気がないのではないか?まためんどくさがっておるじゃろ」
「そ、そんなことないですよ~」

先生が露骨に目を逸らす。
この人、結構めんどくさがりなのか。
というかなんか人間関係がややこしくなってきたな。

「えーっと?オフィーリアの師匠がドロシー先生で、ドロシー先生の師匠がヘカーティってことですの?」
「まあ……色々ややこしいけど、そういうこと。オフィーリアちゃんの肉体に私の師匠(ヘカーティ)と弟子(オフィーリア)がいるからねぇ。油断できないよ」

うわぁ……
今みたいに自分の教え子が急に自分の師匠に変わるなんて、めちゃくちゃ嫌だろうなぁ……
心底同情する。

「ドロシーはすぐ手を抜こうとするからのぉ……妾の子孫に変なこと教えないように監視しなくてはなぁ」
「だったら師匠がオフィーリアちゃんに直接教えればいいじゃないですか……なんで私が……」
「人材育成じゃよ人材育成!闇属性は人が少ないんじゃから!……それと、そっちのほうが面白いじゃろ?」
「はぁ……」

多分最後のが本音なんだろうなぁ。
先生も察してるのか、深いため息しかついていない。
なんか自分がエリスに振り回されてるのを客観的に見ているみたいだ。

「とにかく!今の私は先生です!授業を始めるんですから早くオフィーリアちゃんに戻ってください!」
「ほいほい」

ヘカーティは茶々を入れるだけ入れて戻っていった。

「ドロシー先生も大変なんですわね……」
「ありがとう、そう言ってくれるのはセレスティアちゃんだけだよ……」

俺が慰めると、先生が涙目で答える。
そしてパンと手を叩き、教師の顔に切り替えた。

「よし、じゃあ今度こそ授業を始めよう!メンバーはミーナちゃんとオフィーリアちゃんとセレスティアちゃんと……あれ?一人多くない?三人って聞いてたんだけど」

先生が疑問を口にする。
そうだ、もう一人問題児(?)がいる。
エリスだ。

「はい♪私もこの合同授業に参加することになりました、エリスです♪よろしくお願いしますね~♪」

そんな感じで気楽に挨拶するエリス。

「エリスちゃん……?えっと……お嬢ちゃんは……光属性?闇属性?」
「えっと~どっちでしたっけ?忘れちゃいました~♪」

舐めてるのかこいつ。
そんな言い訳がまかり通るわけがないだろうに。
すると先生がめんどくさそうに頭を掻いた。

「しょうがないなぁ~、ちょっと調べるねぇ~。『生命共鳴(ソウルレゾナンス)』」

と、何か魔法を使いエリスの身体を調べ始めたようだ。
『生命共鳴(ソウルレゾナンス)』……?
これがもしかして、ミーナが無意識に使ってる生命エネルギーが分かる魔法なのだろうか。
使いこなしたら属性とかもわかるようになるのか?
便利そうだし、あとで教えてもらおう。

「え~っと、お嬢ちゃんの属性は……あ~……」

エリスの身体を調べ終わった先生は何かを悟ったような声を出す。
そして、「うわぁ……めんどくさそうだなぁ……」と小声で呟くのが聞こえた。

「どうしたんです、先生?私の『属性』分かりましたか?」
「私も気になります!エリスちゃん、なかなか属性教えてくれないんですよ!」
「私は別にどっちでもいいけどね」

エリスはいつも通り、ニヤニヤしながら人をからかうような顔をしている。
ミーナもエリスの正体に興味津々だ。
いつの間にかオフィーリアも元に戻ってるし。

「えぇ~……あぁ~……うん、オッケー。エリスちゃんも参加していいよ。『ちゃん』って呼んでいいのかな……まあいいか……それじゃ授業始めるよ~」
「えぇ~?結局エリスちゃんの属性はなんなの~?」

ミーナは謎が解けず頭を抱えている。
きっと先生は気づいたんだろうなぁ、エリスの正体に。
露骨に嫌そうな顔をしてたぞ。
絶対めんどくさいもんな……神様相手にするなんて。
それが分かっていて、エリスもわざと自分の身体を調べさせたんだろう。
本当に性格の悪い女神だ……
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