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第43話 闇魔法の恐怖と魂を探す光魔法
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「って言っても……授業ってなにすればいいんだろう……」
いきなりドロシー先生は頭を抱えた。
おい、先生。
「だ、大丈夫ですの?」
「いやだってしょうがないじゃん!やったことないんだもん!光と闇の合同授業なんて!」
なんか駄々をこねはじめた。
そりゃヘカーティに説教されるわ、これは。
「そんなこと言ってると、またヘカーティが出てきますわよ……」
「げっ、それはやだなぁ~」
これでやる気を出してくれればいいんだが。
「ちょっと!あんたさっきから師匠に失礼なんじゃないの!?あとなにしれっとご先祖様のこと呼び捨てで呼んでんのよ!」
「はいはい、申し訳ありません」
「キーッ!ムカつくー!」
なんか噛みついてきたオフィーリアを軽く受け流し、俺はドロシー先生に質問する。
「そんなことより、先生。そもそも闇魔法っていうのはなんなんですの?わたくし何も知らなくて」
「おお、ナイスセレスティアちゃん!いい質問だねぇ!」
先生が「待ってました」と言わんばかりに反応する。
分かりやすい人だ。
「生命を与える光魔法とは逆に、生命から何かを奪ったりできるのが闇魔法なんだ。正反対の魔法だね!」
生命から奪うって、穏やかじゃないな……
「凄く危険な魔法なのでは……?」
「ああ、まあそうだね。だから扱いには注意が必要なんだ。だからヘカーティ師匠とか私みたいに、ちゃんと教えなきゃいけないんだよね。間違わないように」
「私も師匠の教えをちゃんと守っていますよ!」
オフィーリアが意気揚々と答える。
やたら正義感が強いと思っていたが、これはそういう教育をされていたからなのか。
……その割に、問答無用で俺に攻撃しようとしてこなかったか?
「なによその目は。なんか私に文句あるの?」
「いえ、なんでもありませんわ」
めんどくさいから黙っておこう……
「具体的にはどういった魔法がありますの?」
「そうだなぁ~、実際やってみたほうが早いか。セレスティアちゃん、こっち見て」
「なんですの?」
「『感覚沈黙(サイレンスセンス)』」
――ブォン!
「!?」
ドロシー先生がそう唱えた瞬間、いきなり視界が真っ暗になった!
何も見えない!
「セレスティアちゃんどうしたの!?」
混乱している俺にミーナが声をかけてくれる。
声は聞こえるが、目の前はまっくらのままだ。
「な、何も見えませんわ!」
「はい、解除」
先生がパチンと指を鳴らすと、視界が元に戻った。
「あれ?見える。今のは一体?」
「魔法でセレスティアちゃんから『視覚』を奪ったんだよ。どう?びっくりしたでしょ」
「びっくりするに決まってますわ!いきなりやらないでくださいまし!混乱するじゃありませんか!」
「あはは」
あはは、じゃないよ。
「あとはぁ~『重圧(グラビティ)』」
「!?お、重い!」
――ズドンッ!
右手が急に鉛のように重くなり、思わず膝をついてしまう。
だからいきなりやるなって!
「はい、解除。これは重力を操る魔法だね。そしてこれが――」
「ちょっ、待ってください!今度はなんですの!?」
手の重さから解放されたが、先生がまた何かしようとして身構える。
「『虚無洞(ブラックホール)』」
――ヒュゥゥゥゥ……
先生の手のひらの上に、小さな黒い玉がふわりと浮かび上がる。
あれ?俺の身体には何も異常がないぞ?
ひとまずホッとするが、これは一体どんな魔法なんだ?
「ミーナちゃん。試しに私に魔法を撃ってみてよ」
「えっ、いいんですか?」
「うんうん、全力で撃っていいよ~」
「よく分からないけど先生が言うなら大丈夫かな?じゃあいきます!『閃光射(ルミナスビーム)』!」
――ピューンッ!
ミーナの手からまばゆい光のビームが放たれる!
すげえ、初めて見た!
これが光属性の攻撃魔法かぁ!
放たれた光の線は先生の方へ一直線に飛んでいくが……
――ヒュゥゥゥゥ……
なんと、先生の手のひらの黒い玉に吸い込まれるように消えてしまった。
「あれ?光が消えた……?」
ミーナも困惑している。
「あれがブラックホールね。とてつもない重力で全てを吸い取る魔法よ。さすが師匠!こんな高度な魔法を使いこなせるなんて!」
隣でオフィーリアが得意げに解説してくれた。
全てを吸い取る魔法かぁ。
めちゃくちゃ強力だけど、使い方をミスったらとんでもないことになりそうだ……
「さすがオフィーリアちゃん、よく勉強してるねぇ~」
「えへへ、ありがとうございます」
先生は手のひらの黒い玉を消滅させ、オフィーリアを褒めると、オフィーリアが嬉しそうに照れる。
こういうところは可愛いんだけどなぁ。
「あとは『気配遮断(シャドウヴェール)』とかもあるんだ。ほら、君たち。授業前に私が話しかけるまで、私の存在に気づかなかったでしょ?あれ、実は魔法で気配を消してたんだよ。これ使うと人に話しかけられないから便利なんだよねぇ~。つい癖で使っちゃってさ」
へぇ~、そういえば全然気づかなくて、話しかけられたときめちゃくちゃびっくりしたもんな。
あれも魔法だったのか。
便利そうではあるが、それにしても人と話すの嫌いなんだな、この先生。
めんどくさがりっぽいし。
「って、闇属性ばっかになっちゃった。合同だとバランスが難しいな……ごめんねミーナちゃん」
「いえ、他の属性のことも知れて楽しいです!」
謝る先生に対して元気よく答えるミーナ。
本当にいい子だなぁ。
「エリス……ちゃんは……まあいいか。どうせ知ってるでしょ……」
そして、エリスのことはめんどくさそうに扱っていた。
「先生~、私もこの学園の生徒ですよ~♪扱いに差があるんじゃないですかぁ~?」
さっきまで退屈そうに黙ってたくせに、からかう隙が生まれた瞬間これだ。
そりゃめんどくさいだろう。
話の流れを変えよう。
「エリスのことは放っておいていいですわ先生。それより先ほど使っていた『生命共鳴(ソウルレゾナンス)』?とはどうやって使う魔法なんですの?あれは光魔法ですのよね?」
「さすがセレスティアちゃん!いい質問だね!」
先生が再び「待ってました」と言わんばかりに反応する。
ほんと分かりやすいなこの人……
「これは人の魂を感じ取る魔法なんだ!ミーナちゃんは無意識にやってるみたいだけど、セレスティアちゃんもできるんじゃないかな?試しにここにいる人たちの魂を感じ取るイメージでやってみてよ。人はそれぞれ魂が違うから、なんとなく分かるはずだよ」
「やってみますわ」
魂を感じ取るイメージかぁ。
難しいけど、やってみたら案外できるかも。
「うぐぐ……」
俺は目を閉じて必死に集中する。
すると――
――スゥゥゥゥゥ……
ドロシー先生、エリス、ミーナ、オフィーリア、それにヘカーティも。
目を閉じているが、それぞれがどこにいるのか、ぼんやりとした光のように感じ取ることができた。
「で、できましたわ!ミーナもこういう感覚でしたのね……」
「やったー!セレスティアちゃんもできたんだね!」
ミーナが自分のことのように喜んでくれる。
「私もまだなんとなくしか感じられないんだけどね!でも、セレスティアちゃんはわかりやすい魂してるから探すとき便利なんだよね!」
わかりやすい魂ってなんだよ……
まあ、実際自分でも魔法を使ってみたから言いたいことはなんとなく分かるが。
オフィーリアなんて、一つの身体に二つの魂があるし。
「この魔法も極めれば、その人がどんな属性か分かったり、感じ取る範囲を広げたりできるんだけど、まあゆっくりね」
先生がアドバイスしてくれる。
ミーナも言ってたが、人探しに便利そうだなぁ。
今日の昼休みだってリリィを見つけられなかったし、この魔法はぜひ使いこなせるようになりたい。
そうだ!
人探しといえば、放課後のクエストのためにクレアを探さなきゃいけないんだった!
あとでこの魔法で探そう!
「というわけで今日はこれくらいかな。そろそろいい時間でしょう。続きはまた今度ね」
おっと、もうそんな時間なのか。
「「ありがとうございました!」」
俺たちは全員で挨拶をする。
こうして初めての光と闇の合同授業は終了した。
「ドロシー、なかなかよかったぞ。この調子で今後も頼むぞ」
「げっ師匠」
また出てきたよこの人。
本当にすぐ出てくるな。
先生には悪いが、これ以上長居してこっちにまで飛び火してきたら面倒だ。
さっさと行ってしまおう。
「ミーナ、エリス、行きますわよ」
「えっ?うん、もう帰るの?」
「ふふっ♪いいんですか?ドロシーさんとオフィーリアさんは♪」
「大丈夫でしょうあの二人は。それでは先生、ごきげんよう」
俺はくるりと背を向け、帰ろうとする。
すると先生の悲痛な叫びが聞こえてきた。
「ちょっと、お嬢ちゃんたちもう行くの!?帰るの早くない!?」
「こらドロシー!まだ話は終わっとらんぞ!」
背後から聞こえる先生の悲痛な叫びとヘカーティの説教を聞かなかったことにして、俺たちは足早にその場を後にした。
そして帰り道――
「あー面白かった! ドロシー先生も相変わらずだったし、新しい魔法も見れたし!」
ミーナは満足げに伸びをしている。
本当にこの子はどんな状況でも楽しそうだ。
しかし、俺には一つだけ引っかかっていることがあった。
俺はチラリと、隣を歩く女神に視線を向ける。
「ところでエリス」
「どうしたんです、セレスティアさん?」
エリスは小首を傾げ、いつものニコニコ顔で返してくる。
「あなた『面白そう』と言ってついてきた割には、ほとんどじっとしてましたけど。なにか企んでいましたの?あなたにしては珍しいじゃないですか」
「そんなことないですよ♪ちゃんと私なりに楽しんでいましたよ?いきなり闇魔法を連続で浴びせられるセレスティアさんとか♪私の存在だけでめんどくさがるドロシーさんとか♪」
エリスは楽しそうに指折り数えてみせる。
「ああ、そうですの……」
やっぱりろくな楽しみ方をしていない。
俺は大きなため息をつきながらも、ふと放課後の目的を思い出す。
クレアを探さないと!
いきなりドロシー先生は頭を抱えた。
おい、先生。
「だ、大丈夫ですの?」
「いやだってしょうがないじゃん!やったことないんだもん!光と闇の合同授業なんて!」
なんか駄々をこねはじめた。
そりゃヘカーティに説教されるわ、これは。
「そんなこと言ってると、またヘカーティが出てきますわよ……」
「げっ、それはやだなぁ~」
これでやる気を出してくれればいいんだが。
「ちょっと!あんたさっきから師匠に失礼なんじゃないの!?あとなにしれっとご先祖様のこと呼び捨てで呼んでんのよ!」
「はいはい、申し訳ありません」
「キーッ!ムカつくー!」
なんか噛みついてきたオフィーリアを軽く受け流し、俺はドロシー先生に質問する。
「そんなことより、先生。そもそも闇魔法っていうのはなんなんですの?わたくし何も知らなくて」
「おお、ナイスセレスティアちゃん!いい質問だねぇ!」
先生が「待ってました」と言わんばかりに反応する。
分かりやすい人だ。
「生命を与える光魔法とは逆に、生命から何かを奪ったりできるのが闇魔法なんだ。正反対の魔法だね!」
生命から奪うって、穏やかじゃないな……
「凄く危険な魔法なのでは……?」
「ああ、まあそうだね。だから扱いには注意が必要なんだ。だからヘカーティ師匠とか私みたいに、ちゃんと教えなきゃいけないんだよね。間違わないように」
「私も師匠の教えをちゃんと守っていますよ!」
オフィーリアが意気揚々と答える。
やたら正義感が強いと思っていたが、これはそういう教育をされていたからなのか。
……その割に、問答無用で俺に攻撃しようとしてこなかったか?
「なによその目は。なんか私に文句あるの?」
「いえ、なんでもありませんわ」
めんどくさいから黙っておこう……
「具体的にはどういった魔法がありますの?」
「そうだなぁ~、実際やってみたほうが早いか。セレスティアちゃん、こっち見て」
「なんですの?」
「『感覚沈黙(サイレンスセンス)』」
――ブォン!
「!?」
ドロシー先生がそう唱えた瞬間、いきなり視界が真っ暗になった!
何も見えない!
「セレスティアちゃんどうしたの!?」
混乱している俺にミーナが声をかけてくれる。
声は聞こえるが、目の前はまっくらのままだ。
「な、何も見えませんわ!」
「はい、解除」
先生がパチンと指を鳴らすと、視界が元に戻った。
「あれ?見える。今のは一体?」
「魔法でセレスティアちゃんから『視覚』を奪ったんだよ。どう?びっくりしたでしょ」
「びっくりするに決まってますわ!いきなりやらないでくださいまし!混乱するじゃありませんか!」
「あはは」
あはは、じゃないよ。
「あとはぁ~『重圧(グラビティ)』」
「!?お、重い!」
――ズドンッ!
右手が急に鉛のように重くなり、思わず膝をついてしまう。
だからいきなりやるなって!
「はい、解除。これは重力を操る魔法だね。そしてこれが――」
「ちょっ、待ってください!今度はなんですの!?」
手の重さから解放されたが、先生がまた何かしようとして身構える。
「『虚無洞(ブラックホール)』」
――ヒュゥゥゥゥ……
先生の手のひらの上に、小さな黒い玉がふわりと浮かび上がる。
あれ?俺の身体には何も異常がないぞ?
ひとまずホッとするが、これは一体どんな魔法なんだ?
「ミーナちゃん。試しに私に魔法を撃ってみてよ」
「えっ、いいんですか?」
「うんうん、全力で撃っていいよ~」
「よく分からないけど先生が言うなら大丈夫かな?じゃあいきます!『閃光射(ルミナスビーム)』!」
――ピューンッ!
ミーナの手からまばゆい光のビームが放たれる!
すげえ、初めて見た!
これが光属性の攻撃魔法かぁ!
放たれた光の線は先生の方へ一直線に飛んでいくが……
――ヒュゥゥゥゥ……
なんと、先生の手のひらの黒い玉に吸い込まれるように消えてしまった。
「あれ?光が消えた……?」
ミーナも困惑している。
「あれがブラックホールね。とてつもない重力で全てを吸い取る魔法よ。さすが師匠!こんな高度な魔法を使いこなせるなんて!」
隣でオフィーリアが得意げに解説してくれた。
全てを吸い取る魔法かぁ。
めちゃくちゃ強力だけど、使い方をミスったらとんでもないことになりそうだ……
「さすがオフィーリアちゃん、よく勉強してるねぇ~」
「えへへ、ありがとうございます」
先生は手のひらの黒い玉を消滅させ、オフィーリアを褒めると、オフィーリアが嬉しそうに照れる。
こういうところは可愛いんだけどなぁ。
「あとは『気配遮断(シャドウヴェール)』とかもあるんだ。ほら、君たち。授業前に私が話しかけるまで、私の存在に気づかなかったでしょ?あれ、実は魔法で気配を消してたんだよ。これ使うと人に話しかけられないから便利なんだよねぇ~。つい癖で使っちゃってさ」
へぇ~、そういえば全然気づかなくて、話しかけられたときめちゃくちゃびっくりしたもんな。
あれも魔法だったのか。
便利そうではあるが、それにしても人と話すの嫌いなんだな、この先生。
めんどくさがりっぽいし。
「って、闇属性ばっかになっちゃった。合同だとバランスが難しいな……ごめんねミーナちゃん」
「いえ、他の属性のことも知れて楽しいです!」
謝る先生に対して元気よく答えるミーナ。
本当にいい子だなぁ。
「エリス……ちゃんは……まあいいか。どうせ知ってるでしょ……」
そして、エリスのことはめんどくさそうに扱っていた。
「先生~、私もこの学園の生徒ですよ~♪扱いに差があるんじゃないですかぁ~?」
さっきまで退屈そうに黙ってたくせに、からかう隙が生まれた瞬間これだ。
そりゃめんどくさいだろう。
話の流れを変えよう。
「エリスのことは放っておいていいですわ先生。それより先ほど使っていた『生命共鳴(ソウルレゾナンス)』?とはどうやって使う魔法なんですの?あれは光魔法ですのよね?」
「さすがセレスティアちゃん!いい質問だね!」
先生が再び「待ってました」と言わんばかりに反応する。
ほんと分かりやすいなこの人……
「これは人の魂を感じ取る魔法なんだ!ミーナちゃんは無意識にやってるみたいだけど、セレスティアちゃんもできるんじゃないかな?試しにここにいる人たちの魂を感じ取るイメージでやってみてよ。人はそれぞれ魂が違うから、なんとなく分かるはずだよ」
「やってみますわ」
魂を感じ取るイメージかぁ。
難しいけど、やってみたら案外できるかも。
「うぐぐ……」
俺は目を閉じて必死に集中する。
すると――
――スゥゥゥゥゥ……
ドロシー先生、エリス、ミーナ、オフィーリア、それにヘカーティも。
目を閉じているが、それぞれがどこにいるのか、ぼんやりとした光のように感じ取ることができた。
「で、できましたわ!ミーナもこういう感覚でしたのね……」
「やったー!セレスティアちゃんもできたんだね!」
ミーナが自分のことのように喜んでくれる。
「私もまだなんとなくしか感じられないんだけどね!でも、セレスティアちゃんはわかりやすい魂してるから探すとき便利なんだよね!」
わかりやすい魂ってなんだよ……
まあ、実際自分でも魔法を使ってみたから言いたいことはなんとなく分かるが。
オフィーリアなんて、一つの身体に二つの魂があるし。
「この魔法も極めれば、その人がどんな属性か分かったり、感じ取る範囲を広げたりできるんだけど、まあゆっくりね」
先生がアドバイスしてくれる。
ミーナも言ってたが、人探しに便利そうだなぁ。
今日の昼休みだってリリィを見つけられなかったし、この魔法はぜひ使いこなせるようになりたい。
そうだ!
人探しといえば、放課後のクエストのためにクレアを探さなきゃいけないんだった!
あとでこの魔法で探そう!
「というわけで今日はこれくらいかな。そろそろいい時間でしょう。続きはまた今度ね」
おっと、もうそんな時間なのか。
「「ありがとうございました!」」
俺たちは全員で挨拶をする。
こうして初めての光と闇の合同授業は終了した。
「ドロシー、なかなかよかったぞ。この調子で今後も頼むぞ」
「げっ師匠」
また出てきたよこの人。
本当にすぐ出てくるな。
先生には悪いが、これ以上長居してこっちにまで飛び火してきたら面倒だ。
さっさと行ってしまおう。
「ミーナ、エリス、行きますわよ」
「えっ?うん、もう帰るの?」
「ふふっ♪いいんですか?ドロシーさんとオフィーリアさんは♪」
「大丈夫でしょうあの二人は。それでは先生、ごきげんよう」
俺はくるりと背を向け、帰ろうとする。
すると先生の悲痛な叫びが聞こえてきた。
「ちょっと、お嬢ちゃんたちもう行くの!?帰るの早くない!?」
「こらドロシー!まだ話は終わっとらんぞ!」
背後から聞こえる先生の悲痛な叫びとヘカーティの説教を聞かなかったことにして、俺たちは足早にその場を後にした。
そして帰り道――
「あー面白かった! ドロシー先生も相変わらずだったし、新しい魔法も見れたし!」
ミーナは満足げに伸びをしている。
本当にこの子はどんな状況でも楽しそうだ。
しかし、俺には一つだけ引っかかっていることがあった。
俺はチラリと、隣を歩く女神に視線を向ける。
「ところでエリス」
「どうしたんです、セレスティアさん?」
エリスは小首を傾げ、いつものニコニコ顔で返してくる。
「あなた『面白そう』と言ってついてきた割には、ほとんどじっとしてましたけど。なにか企んでいましたの?あなたにしては珍しいじゃないですか」
「そんなことないですよ♪ちゃんと私なりに楽しんでいましたよ?いきなり闇魔法を連続で浴びせられるセレスティアさんとか♪私の存在だけでめんどくさがるドロシーさんとか♪」
エリスは楽しそうに指折り数えてみせる。
「ああ、そうですの……」
やっぱりろくな楽しみ方をしていない。
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