Balcony  ~バルコニーから見てたお隣さんと住むことになりました~

みちまさ

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じゃあ今日は祝い酒だね

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「では、今日の研修はここまでです。明日半日頑張りましょう。お疲れ様でした」
明日半日の研修講師の役割が終われば、キキョウがいる部屋に戻れる。そう思いながら今日の研修を終えた。今日は外食じゃなくて、テイクアウトの食事をホテルの部屋で食べようかな、と思っていると、出口部長が僕を捕まえに来た。
櫃木ひつき!ちょっといいか」
「はい」
研修資料を机に置くと、すぐに僕は部長の元へ向かった。
「訊きたいことがあるんだ。少し時間をくれ」
部長は狭い方のミーティングルームに入った。
「まあ、座ってくれ」
何だろうか。研修で何か問題があったのかと思ったが、心当たりがない。
「研修お疲れさん。訊きたいのは仕事のことじゃないんだ。実はお前の地元の警察から電話があってな。パソコンでの勤務状況を聞いてきた。お前何があった?」
まさか本当に電話してくるとは。実際あの日よりも前にキキョウと付き合っていないのだから、調べられたところで何もやましい事は無いが、こうなってくると実害もいいところだ。事前に僕に一言も無いなんて……信じられないな。
「ああ……隣の部屋の人が暴力を受けていて、その人が逃げたら僕の住んでいる部屋の階を交際相手の男がガンガン扉を叩いて回って、僕も迷惑を受けたんです。それで、たまたま隣に住んでいる僕が男だったので、その会った事も無い隣の人と何かあったんじゃないかって、疑われているようです」
「大変だったな。隣の人とは何もないんだろ?」
そう、何もない、その日までは。キキョウが転がり込んできていることなど言う必要はないだろう。
「隣に誰が住んでるのかも知りませんでした。僕は夜中も仕事してましたし。だから調べるならどうぞ、って言っておいたんです。警察がいきなり会社に連絡するとは思っていなくて、ご迷惑をお掛けしました」
僕は部長に頭を下げた。
「いや、詳しい事がわかればいいんだ。そんな物騒な状況なら、ますますこっちに来て生活も仕切り直した方がいいんじゃないか?彼女も怖がってるだろう」
そう。確かに。今キキョウが一人であの部屋にいるのも落ち着かない。
「はい……」
「本社勤務の話、前向きに考えてくれよ?じゃあお疲れ様」
出口部長は僕の肩をポン、と叩いて揺らすと、ミーティングルームから出ていった。僕ものろのろと立ち上がり、自分の部署に戻った。


今日はさっさとホテルの部屋に帰ろう。僕は机を片付け、残業の同僚に挨拶をして、ブリーフケースを持ってエレベーターで降りた。
玄関先に社用車が停まっている。寺島専務と、出口部長が後部座席に乗り込むのが見えた。僕は裏口から職場を後にした。これで僕が本社に戻れば、一人派閥の人間が増える算段だよな。描かれた絵図通りに動けばサラリーマンとしては安泰なんだろうけど。
ホテルへ向かう途中のカフェでテイクアウトのハンバーガーとチキン、コーヒーを買った。炭酸は昨日買ったのが冷蔵庫の中にあるからいいか。
ホテルの部屋に戻ると、僕はネクタイを緩め、疲れた体をベッドに投げ出した。
キキョウはどうしているだろうか。昼休みぶりにスマホを確認した。今日は連絡がない。
”明日帰ります”
とメッセージを打っていたが、気になって電話を掛けた。呼び出し音が鳴るが、キキョウは電話に出ない。留守電に「アオイです。これ聞いたら連絡ください」と残した。
食事をして、風呂に入ってもまだキキョウからは連絡がない。もう夜の9時だ。まさか、何かあったんじゃないだろうか。あの男が起訴されたなら金を積めば保釈される。嫌な予感がしてもう一度電話を掛けた。
頼むよ、出てくれ。
十回以上コールしたがキキョウは電話に出ない。そしてまた留守電になってしまった。今すぐにでもここを出て帰りたい。でも、100人超に行う研修を放棄して帰る事など僕にはできない。明日昼までの辛抱だ。夕方までには帰れる。
”連絡がないので心配しています。何もなければいいけど。真夜中でも明け方でもいいから、電話ください”
スマホの目覚ましを掛け、マナーモードから呼び出し音が出るように変えた。
キキョウに何かがあったらと思うと落ち着かない。やはり無理をしてでも一緒に連れて来るべきだったんだ。あの部屋に一人にするんじゃなかった。
出張に来て一度も電話をしなかった自分に後悔した。つきあってもいないし、ただの同居人だから、と遠慮する必要がどこにあったというんだ。こうやって消息がわからなくなるぐらいなら、毎日だって声を聞けばよかったんだ。
僕はキキョウが好きなのに。
まんじりともせずに、テレビを点けっぱなしにして流していたが、久しぶりの本社勤めで疲れも溜まっていたのか、気づくといつの間にか寝落ちてしまっていた。


スマホの呼び出し音で飛び起きる。
「もしもしっ、キキョウさん⁈」
「うん、アオイさん、朝早くからゴメンね?連絡しようと思ってたら寝ちゃって」
ベッドサイドに埋め込まれたデジタル時計の液晶を見ると朝の六時過ぎだった。
「よかった、生きてた……」
僕は思わずそう言ってしまった。その位キキョウに何かある事が耐えられない。
「連絡できなくてほんとにごめんね。私、大丈夫だから、心配しないで?」
それは極々自然な言い方だった。何も含ませた意味はなく、大丈夫だと彼女は言った。僕だって、転がり込んだ先の人に対して心配や迷惑を掛けたくないならそう言う。だから、わかったそれなら良かった、と答えるべきなのだろうけど、僕にはもう無理だ。
「イヤだ。心配するよ。……そこにいる限り何もない保障なんてないだろ」
キキョウが息を飲む音がかすかに聞こえた。
「今日夕方に帰るよ。遅くても六時までには」
「うん」
「その時間には、部屋にいてくれる?」
「多分間に合うと思う、ちょっと出かけるから」
危ないのに一体何をしてどこに出歩いてるんだよ、と口に出してしまいたい。君が僕のものなら教えてもらっても不自然じゃないのに。
「ほんとに、気をつけて」
「大丈夫だと思う。髪切ったでしょ?それに、服も感じを変えてみたんだ。あと、アオイさんのチェックのシャツ借りてるんだけど、良かったかな?」
そのシャツは、腕が細い作りになっていて、腕が太めの僕は二回ほど袖を通して使っていなかった。キキョウが熱を出した時にパジャマが足りなくて、そのシャツはもう着ないから、と貸したことがあったのだ。
あれは緊急時で仕方ない事だったけれど、僕がいない間にわざわざ彼女が僕の服を着ていたと考えると、何だか恥ずかしいというか照れるというか何というか……。
「いいよ全然。それ、あげるよ」
「ありがとキキョウさん、これ着心地がいいから嬉しい」
身体に合わないシャツが着心地がいいなんてあるんだろうか。肌触りは悪くなかったけど。そうだ、あれを言っておこう。
「あ、キキョウさん、俺の服の引き出しわかるかな、そう、クローゼット開けたとこの。一番下の左側に腕が入らなくて諦めた服がいくつかあるから、適当に漁って着ていいよ。似たようなシャツ、何枚かあったと思う」
「ありがとう、見てみる!」
キキョウの声に少し元気が出てきた気がした。最初に聞いた声は考えてみればすごく暗かった。
「あのさ、帰ったら、話したいことがあるんだけど」
「あ……そうだよね、うん」
キキョウの声のトーンが落ちる。何の話だと思っているんだろう?ただ僕が自分の気持ちを伝えるだけなのに。
「お土産、甘いものでいい?」
「うん、何でも」
「ホントに気を付けて出かけて」
「変装並みに服の感じ変えるから、大丈夫」
キキョウはいかにもOLさんという感じのフェミニンな服が多かったけど、明日会う時はそうじゃなくなってるのかな。
「じゃあ夕方変装した姿見るの楽しみにしてる」
「ふふ、じゃあまたねアオイさん。いってらっしゃい」
「キキョウさんも。いってらっしゃい」
電話を切って思った。
キキョウがいなくなった後の暮らしなんて、考えられない。
いなくなるのが嫌なら、行かないでくれというしかない。もしかしたら、今日だって、新しい部屋を探しに出掛けているかもしれないのだから。


研修を終え、急いで帰り支度をする。松本が声を掛けてきた。
「ひっちゃん、この一週間一緒に働けて楽しかったよ。また来年度も同じ仕事できたらいいな」
「ああ。まっつん、俺も楽しかった」
こっそりと松本が耳打ちしてきた。
「……俺、今年度中にユリにちゃんと話してみようと思う。後悔したくないし」
「そうか。応援してる。きっと楠さん、なんだかんだ言ってもお前のこと大事に思ってると思うよ」
「それが友達以上の気持ちなら嬉しいんだけど。お前も例の人とどうするか考えろよ?」
「うん、そのつもりだよ。じゃあまた」
「ひっちゃん、またな」
出口部長と同僚に挨拶をし、僕は急いで会社を後にした。




どう切り出そうか。飛行機の中でも移動の電車内でもそればかりを考えていた。
甘いものは何が好きなのかもロクに知らないのに。多分、キキョウは何でも美味しいと食べてくれるだろうけど。楠さんが勧めてくれたお菓子を買ったけれど、これで良かったかな。
居るかどうかわからなかったから、普段通り鍵を開けて部屋に入る。
「ただいま」
返事はない。キキョウはまだ帰ってきてないんだな。少し残念だったけど、僕はいつも出張から戻った時のように荷物を置き、コートとジャケットを脱いでネクタイを緩めた。
しん、とした部屋を見回して思う。
もし、キキョウがいなくなったら、またこの暮らしに逆戻りだ。ずっと一人がいいと思っていた。誰かがいる毎日なんて耐えられないと。なのに、僕は今キキョウが帰ってくるのを心待ちにし、リビングのそこここに彼女の暮らした気配があるのを嬉しく思っている。
僕はキキョウに出会ってすっかり変わってしまった。

洗濯物を洗濯機に入れていると、カチャリ、とドアが開いた。
「開いてる……アオイさん?いるの?」
キキョウが帰ってきたようだ。
「あ、キキョウさんただいま」
洗面所から顔を出した。
「おかえり!」
駆け寄ったキキョウは僕に抱きついた。勢いで彼女が持った買い物袋が手から落ちる。
「アオイさん…!」
「キキョウさん、今までどこに……」
「終わった、終わったの!」
僕の胸に顔を埋め、泣きながらキキョウは言った。
「終わった?」
「うん、ちゃんと向こうは暴力を認めたよ。会社も辞めてきちゃった」
彼女は僕を見上げ泣き顔で微笑んだ。オーバーサイズの僕のシャツをチュニックみたいにして着ている。
「……そうか、良かった。安心した」
感情が溢れてしまったキキョウの背中をトントンとなだめるように叩いた。そうか、終わったのか。僕も身体の力が抜けた。
「アオイさんは?出張どうだった?」
「あー、同期も変わってなくて、相変わらずだったよ」
ああ、キキョウとの日々もこれで終わってしまう、と思った。解決して嬉しいけれど、この問題が終わったなら、基本的にはもう一緒には暮らせない。今のままでは。
「じゃあ今日は祝い酒だね」
「そう!やっと隣の部屋も引き払えるの。後で詳しく話すね。心機一転、転職もして頑張る!」
弾んだ声でキキョウが話す。その姿を見ると、自分の気持ちを伝えるのが正しいのかどうかわからなくなってくる。何も言わずに引っ越しでも手伝えば、このまま友達でいられるだろう。
でも僕が転勤をすれば……多分それまでだ。


「あ、お酒無いよね。俺買ってくるわ」
「アオイさん、私も行く」
冷蔵庫に買った食材を入れ、二人で近くの酒屋に出掛けた。昔ながらの小さな酒屋で、僕はおやじさんに顔を覚えられているので常連になるのかもしれない。こんちはー、と言いながら入っていく。キキョウを連れて行くのは初めてだ。
「お、いらっしゃい!アオイ君が好きな蔵元の日本酒入ってるよ。……彼女?」
と言って酒屋のオヤジさんはキキョウを見てから僕に目を合わせた。
ハハハ、と笑い、彼女かどうかの質問には答えずに、ラベルが緑のやつが美味いんですよね、と酒が並ぶセラーを見た。
「アオイさん、日本酒好きなんだ」
「うん。好きだよ」
本当は君のことがね。酒が冷えているセラーの扉に僕とキキョウが映っている。ピカピカに磨き上げてあるガラスの扉。僕はキキョウの姿から目を逸らし扉を開けた。
「今日はこれにしよう。キキョウさんは何がいい?」
「じゃあ、カルーア買って帰る」
そう言ってリキュールの棚に行ったけれど、あいにく大きい容量のものしかなかった。
「こんなに飲めない……ちっちゃいのでいいのに」
「余ったら置いときなよ。飲もう。祝い酒だろ」
「でも……アオイさん飲まないでしょ、こんな甘いの」
「飲み終わるまでうちにいたらいいじゃん」
キキョウの顔を見ずにそう言い、カルーアの瓶を棚から取った。
「……いいの?」
「いいよ」
「ありがとう。じゃあゆっくり飲まなきゃ」
何だよそれ。びっくりした僕は反射的にキキョウの顔を見た。何でニコニコしてるんだ。僕はオヤジさんのいるレジに二本の酒を持っていった。
「可愛い彼女だな」
ぼそっとオヤジさんが言った。
「アハハ、ありがとうございます」
彼女じゃなくて、ただのお隣さんです。そう言えば良かったけど、オヤジさんが騒ぎ出すのでやめた。
「まいどありー!」
「オヤジさんまた来ます」
酒屋を出て歩く。
「お酒代、後で払うからね」
「いいよこれは。お祝いだから」
一線を引くために、きちんと食費も折半してきた。というか、家賃と生活費です、と熱が下がった後にまとまった金額を渡されて驚いた。いいって言ったけれど、キキョウは頑として聞かなかった。押し付けられた過剰な生活費は彼女がここを出る時に返そうと思って、封筒に入れたまま机の引き出しに入っている。
「ダメだよ、私は居候なんだから!」
「お祝いぐらいさせてよ。それに、もらったので足りてるから」
「ほんとに?」
「ほんと」

寒いから鍋にしようと思って材料を買って来たんだ、とキキョウは言った。僕らは手分けをして準備をした。
「土鍋、一人暮らしにしては大きいね」
「友達と一緒にやったりするから」
「あ、そっか、宅飲み」
前の彼女の事ももう思い出さないほどだったが、この会話で思い出してしまった。
きっとキキョウは、男の一人暮らしにしてはキッチンにたくさん調味料や料理道具がある事にもとっくに気付いているだろう。
「私がいると、お友達に会えないね」
余計ことを言ったな。自分の下手な言い訳を後悔した。言いたいことがどんどん遠ざかっていく。
「……最近はそんなに飲み会もしなくなったから。家が仕事場だしね」
そう言いながら、僕はカセットコンロを出した。
「すごい!カセットコンロがある!何でもあるね、実家みたい」
実家という言葉に笑った。そう。借りているこの部屋は、一人で住むには広すぎるし、カセットコンロは一人じゃ使わないんだ。
「キキョウさん、先に飲んでなよ。煮えるまでまだかかるし。俺も飲もう」
キキョウにカルーアミルクを作って渡した。
「あ、ありがと……」
キキョウの短く切った髪が少し揺れた。
「アオイさん、日本酒一口もらっていい?」
「いいよ、どうぞ」
別のグラスに注ごうと飲みかけのグラスを置き、日本酒の栓を開けたら、彼女は僕のグラスから一口飲んでいた。
「美味しいね!私、美味しい日本酒飲んだことなかったみたい」
大きく開いたキキョウの瞳に、日本酒を入れたぐい吞みからダウンライトの光がゆらゆら反射して映っている。
僕はため息をついた。君はどういうつもりなんだ。最初に言ったことを忘れたのか。僕は男だし君が好きなんだ。
「……そっちも一口ちょうだい」
「あ、いいよ」
カルーアミルクの入ったグラスを持ち上げようとする手を押さえて、キキョウの腰を捕まえた。
「こっちがいい」
僕は何か言おうとするキキョウの唇をふさいだ。
ああ順番が逆になっちゃったな。好きってまだ言ってないのに。
結局、僕は良い隣人の役割を最後まで全うできなかった。
ずっとバルコニーから見続けた人がこんなに可愛らしくけなげな人で、その人がすぐ側で一緒に暮らしていて、全てを我慢できるほど僕は強くなかった。
くつくつと鍋の中から暖かい蒸気が出てあふれそうになるまで、僕は彼女を離さず、鍋がおじゃんになる寸前で何とか火を止めて、僕たちは笑った。


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