愛してるとか言わないで

宇流

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亮へ

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次の日学校に着くと廊下で固まっていた女子達の
会話が偶然俺と蓮の耳に入ってきた。
『ねぇ、私真田君狙ってたのに~』
『塩顔でクールだけどイケメンだったしね~』
『本当なんでいきなり引っ越しちゃうんだろ~』
そう言う女子達の会話に俺は耳を疑った
そしてそれは蓮も同じだった
『え?亮それ知ってたの?』と蓮が聞く
『…何も知らない』そう言うと蓮は
その会話をしていた女子の方へ向かっていった
『あ、おい!蓮!』
『ごめん!!なっちゃん達!今の話本当?』
『ん?多分本当だと思うよ??今日先生と話してるとかたまたま私聞いちゃったんだ』
『?』
『真田君元々地元大阪でしょ?
なんか詳しいことは分かんないけどそっちに戻るらしい』
『…そっか!教えてくれてありがとう!!』
そして蓮は俺を引っ張って裏庭に連れ出した
『ねぇ、亮どうする!?』
『え?どうするって何』
『いやいや、幸君!!!このまま会えなくてもいいの?』
『幸がそうしたくて俺らには言わなかったんだろ』
『そうかもしんないけど、絶対こんなのダメだよ。』
『なんでだよ』
『だって亮、幸君の事好きじゃん…』
『……は?』
『好きでしょ?』
そう言って蓮は真っ直ぐ俺を見る
『別に好きとかじゃねーよ』
俺が誤魔化そうとした時
蓮がカバンの中から何かを取り出し俺に手渡した。
『はい。これ。まさか渡せる日が来るとは思ってなかったよ』
それはどこか懐かしい見覚えのある字で
『亮へ』と書かれた手紙だった。
『な、にこれ』
俺が戸惑っていると
『あの日、和樹が自殺した日俺が普通に家に帰ったらポストに入ってたんだよ。最初はなんだこれって
思ったけど和樹が自殺したって聞いて
俺宛の手紙を読んだ時最後の内容が
"もし亮に新しく好きな人が出来たらこれを渡してほしい"
って書いてあってずっと残してたんだ』
『なんだ、よ、それ。』
『最初は俺もそう思って捨ててやろうとも思った
けど亮、和樹の事がストッパーになって
次に進めなくなるかもって思ったら捨てれなくて
そんなの和樹も望んでないと思うから。』
『…』
『俺ももうお前に後悔して欲しくないから
渡そうか迷ったけど渡せって和樹に言われた気がするから』
そして蓮は俺に無理やり手紙を握らせて
『俺先に教室行ってるからお前は手紙の内容で
今から自分がしなきゃならない事考えろ』
そう言って蓮はその場を後にした。
1人になった俺はその手紙を恐る恐る開いていった。
『亮へ
この手紙見てるって事はそう言うことやんな?
でも亮は馬鹿波に優しいから絶対俺のこと気にして
次に進めへんくなってるんやろうな。
でももう俺は死んでるねんで??
織姫と彦星みたいに1年待ったら会えるとか
そんなおとぎ話みたいなことじゃないんやで。
だからちゃんと次に進んで。俺の分まで幸せになって。
俺の事は気にせんと今を生きて。
酷いやんな俺本間に。
お前にも蓮にも凄い酷いなこと言ってるよな
わかってるで。それでももうこの世に居らん人間追いかけるより今いる世界で今いる好きな人と幸せになってほしい。
俺さこの前五十嵐橋からの景色好きって言ってたやん
その時亮になんでって言われて内緒にしたけど
今やからもう教えてあげるわ。
俺な本間は入学式の前にも1回こっちに
下見しにきててん。その時に実はお前の事見かけててん。
俺急に大阪からこっちに1人で来て道分からんくて
五十嵐の下の崖で休憩しててん。
そしたら橋の上に亮がおってなんとなく
目で追っかけてたらたまたま目合って亮が
ニコッて笑って見せてん。そん時の亮の笑顔が
夕日のせいかめっちゃ綺麗で大阪帰っても
全然頭から離れへんし目瞑ったらいつもあの笑顔があってん。
入学早々遅刻してたまたまお前と一緒になった時運命やと思った。お前は気付いてへんみたいやったけどな笑。
仲良くなってあの日橋の下から見たお前の笑顔を
近くで見れて俺本間に嬉しかった。
どんな嫌な事あってもお前の笑顔見たら
本間に全てがどうでも良くなった。
亮。お前にはそんな力があるで。お前のその笑顔には。
だから俺の事は来世に預けて
今は目の前にいるおまえの好きな人を幸せにしろ。
亮は優しいからその優しさで包んでやれ
思いやりはあるけど不器用で伝わりにくいお前やから
今も苦労してるんやと思うけど
自分の気持ちに素直になって突き進め。
俺の事は忘れて幸せになれ。

ps.誰がなんと言おうとお前の処女を
奪ったのは俺やからそれだけは忘れんな笑
それと俺を愛してくれてありがとう。』
亮は涙が止まらなかった。
『なんなんだよお前。こんな大事な事
手紙じゃなくて直接言えよ』
そしてそれと同時に走り出した。
まだ幸がいるかもしれない〇〇駅に向かって。
もう遅いかもしれない。
でも行きたい。話したい。謝りたい。会いたい。
確かに俺は和樹の事が好きだった。大好きだった。
中坊のガキだけど本気で愛してた。
今もその気持ちが完全に無いと言ったら嘘になる。
けどそれ以上に好きな奴ができた。ただそれだけ。
俺は傷つきたく無いからこの気持ちから逃げて
逆に幸を傷つけた。本当に馬鹿だ。
こんな俺が今更何て言って幸を引き止めればいいか
なんて全然分からない。けどもう逃げない。
後悔したく無いから。もう大事なものをなくしたく無いから。
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