転移先では望みのままに〜神族を助け異世界へ 従魔と歩む異世界生活〜 

荘助

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第45話 分裂

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 イエローファンガスの数は4体。

 同じような所に群生?しているようで、小冊子によれば待ち伏せし奇襲するのが特徴のようだ。

 4体の反応に近付くが何も見えない。
 更に近づいて地面をよく観察すると、地面が黄色く染まっている箇所があった。

 イエローファンガス
【Lv】 16
【スキル】
 ノーマルスキル
 麻痺胞子<Lv4>
 ※麻痺状態にする胞子を広範囲に巻く。麻痺の強さはLvに依存 最大10Lv

 連結<Lv1>
 ※同じ種族の者を連結する事で回復する。連結速度、回復度はLvに依存 最大10Lv

 どうやらイエローファンガスの頭の部分のようだ。
 おそらく近付くか踏むかしたら胞子を撒き散らし、獲物を麻痺状態にするのだろう。

「いたね。あれに近付くと胞子出すんだろうからこちらも遠距離攻撃と行こうか」 

『はい。マスター。魔法で攻撃しますか?』

「ん~。火だと素材が採れないし、あまり傷付けたくないんだよね。確か弱点は胞子球の下にある顔みたいな皺の寄った部分だよね。なんとか地面から出せないかな」

『マスターがよろしければ、私の分裂を使いますか?分裂体ではなく分裂なので単純な行動しか出来ませんが、待ち伏せを解除する囮には使えますが』

 そういえば分裂の本来の使い方は囮だったな。
 分裂体の印象が強すぎて、ただの分裂ができる事すっかり忘れてた……。

「じゃあよろしくね」

 そういうと、ポシルの体の一部から4つの分裂物が切り離される。

 なんかあれだ。
 つきたてのお餅を1個分にちぎってくみたいな感じだ。

 切り離された1つ1つが、ふよふよと動きその場で待機?している。

 そこにポシルが何やら命令を飛ばしたようで、4つの分裂物はスライムっぽい移動でズリズリとイエローファンガスに向かって動き出した。

『マスター。マスターから教えていただいた。それぞれの反応に真っ直ぐ進むように、命令しました』 

「ありがとう。じゃあ一斉に4体のファンガスが出てくるかな。出てきたら皺を狙って攻撃ね。この距離でいける?」

『はい攻撃範囲です』

 ポシルは触腕2本をいつものように硬質化し空に向かって伸ばす。
 15m程伸びたところでまた縮める。範囲内である事をアピールしたのだろう。

 4つの分裂の反応が、それぞれのファンガスの正面に回り同じタイミングで近付く。

 ボフッ

 4箇所で一斉に黄色い胞子が撒き散らされる。

 これが恐らくイエローファンガスの《麻痺胞子》のスキルだろう。

 胞子が出たところで進行を止めた分裂を奇襲成功と判断し、地面が揺れ地中からイエローファンガスが飛び出してくる。

 1.5mくらいの身長に体の半分ほどの大きさの黄色い傘。傘の根元より少し下にイボのような球体の胞子球があり、そのすぐ下に人の顔のような模様の皺が寄っている。

 今回正面にいるファンガスの顔は、眉と目尻が垂れ下がり、何か失敗をして落ち込んでいる中年男性のような顔で、そのあまりのリアルな顔につい、吹き出しそうになってしまう。

「キー!」

【風太刀】×2!!

 笑いをこらえ、魔法を放つ。
 あえて縦方向ではなく横方向にした風太刀が地面と水平に2体のイエローファンガスに向かい傘とその根元を切り離す。
 同時にポシルの伸ばした触手が皺の部分を正確に突き破った。

「よし!」
 ほぼ同時に素材に全く傷付ける事なく、殲滅できた。

「ポシルー。今回も大成功だよ。素材の胞子球も綺麗なままだよ」

 ポシルの倒したファンガスの、討伐証明部位である傘を切り離し、こちらもその根元近くにある胞子球を取り出す。

 4体とも胞子球を取り出した瞬間に、体が萎み干からびたようになってしまった。

「これじゃ。買取部位には出来ないね。この胞子球だけが買取部位ってこういう事だったのか。きのこ鍋にでもして食べようかと思ってたのに、残念……」

 こんど機会があれば胞子球を取り出さないか、傘だけを食べてみよう。

 麻痺が怖いのは胞子だけみたいだし。まぁ黄色い傘自体は毒々しいんだけどね。

 コックスさんなら状態異常気にせず料理してくれそうだ。
 勝手に絶品料理を想像し、涎が口に広がる。
 本当にコックスさんの料理は一度食べたらやめられない。

「あれ?そういえば魔石・・・」

『マスター。ファンガスの魔石は胞子球の中にあります。それが買取素材のため売れば魔石込みの金額。取り出すのであれば、買取部位がなくなるという魔物です』

 なるほど。そういう魔物もいるのか。

 まぁスキルも《麻痺胞子》と《連結》って人間辞めれそうなスキルだし。諦めもつくかな。
 連結なんて想像しただけでもおぞましいよ……。

 4つの胞子球と、傘をBOXに入れていると、気配察知に何かが反応する。

 気配察知は広範囲を索敵するアクティブスキルの一面の他に、範囲は狭いがパッシブスキルとして気配を感知する事もできる。

 今回はパッシブの方が反応した。

「おっと。意外に速いね」

 背後から黒い物体が飛び込んでくる。元々反応していた為、余裕を持って躱す。

「ポシルー。そっち行ったよ。討伐対象じゃないから吸収していいよ」

 そう伝えると嬉しそうに体を揺らす。

「ユニコーンラビットか。初めての魔物だね。あれだ一角兎だ。なんか目が鋭くて毛も硬そう……」

 凶暴で、マスコット要素もモフリ要素も皆無って。
 あいつは、なんで出てきたんだろう。

 南無。

 速攻で倒されるであろう、憐れな兎に手を合わせる。
 憐れな兎の能力だけは観ておこう。

 ユニコーンラビット
【Name】ー
【age】3
【Lv】 11
【HP】 25/45
【MP】 50/50
【力】       20
【体力】    30
【器用】    60
【知力】 50
【素早さ】110
【魔力】   70

【スキル】
 ノーマルスキル
 癒し手<Lv1>
 ※触れた者の傷をMPと引き換えに回復する。回復量・回復速度はLvに依存。回復量Lv1で1.1倍以降Lv1につき+0.1倍Lv10で2倍

「ん!ちょっと待ったー!!!テイムするか……ら」

 はー⁈イメージと違いすぎるっ!
 ポシルに向かって叫ぶ

 グサッ 

 同時にポシルの触手がユニコーンラビットの体に突き刺さり、血が滴り落ちる。

 一瞬。刹那。時既に遅し。

 回復役の魔物……可愛くなかったけど……。
 ちょっと欲しかったな。

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