~春の国~片足の不自由な王妃様

裏

12

朝。三人が、優雅に朝食を頂いている時。

廊下から慌ただしい音がした。

扉が開き。春の国で一番の冷静沈着と言われている宰相と。英雄であり一部の部下からは鬼と言われている騎士団長という、珍しい組み合わせで慌てながら入ってきた。

「陛下。食事中。申し訳ございません。緊急事態です。」

「よい。それよりなにがあった？そなたがそんなに慌てるなど。」　

「ローバー侯爵家が昨夜、何者かに侵入されたようです。現在での状況は、まだ把握しておりません。」

「なんだと～！どういう事だ」

私も聞いた話ですが「今朝。牛乳配達の少年が、いつものように調理場に行ったそうです。いつもは、誰かが出て来てから渡すそうなんですが～ドアがパタパタと開いていたそうなんです。不思議に思い。中を覗くと～料理人達が倒れていたそうです。
少年は慌てて門番に話。一人が騎士がいる場所に駆け込み、状況を説明したそうです。そして、私に報告をしにきました。
宰相に事情を説明し、二人でこちらに伺った所存です。
もし。まだ侵入者がいるかもしれませんし、家にいる方々がどういう状況なのかを把握するためにも。ローバー侯爵家に、部下を数名引き連れて行く許可をお願いします。」

「わかった。今すぐ。出発してくれ。頼んだぞ。」
　
「は。」騎士団長は歩き出した。

それを見てジークは

「父上。食事の途中に、席を立つのをお許し下さい。私もローバー侯爵家に行きます。(最後の仕上げをしないとな。)それとですが～私専用の医療チームを連れていきます。ケガ人がいるかも知れないので。(証人も大勢いたほうがいいからな。)
急ぎますので失礼します。」

急いで歩き出した息子に

「ジーク。少し待て。もしかして。そなたが関与してるのでは～。」

少し無言になるジーク。

「そうなの？ジーク。」母が尋ねると

「父上。母上。時間がないので、詳しい話は帰ってからにしますので。」と。出ていった。


詳しい事を知らない宰相は
「臣下思いの素晴らしい王太子ですね。」と絶賛していた。

「あなた。」と不安そうにしている王妃を王は優しく抱き締めていた。