~春の国~片足の不自由な王妃様

クラゲ散歩

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ジーク 出会いと永遠の別れ

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昏睡状態から3日後。
ローズが奇跡的に目を覚ました。

ジークは「ローズ。目を覚ましたんだね。良かった。私をおいていかないでくれ。」と手を握ろうとすると…避けられた。

ジークはその行動に驚いて、
ローズを見るといつもと違う?いや(結婚当初の)昔のローズの雰囲気だった。

「ローズ?」

「ジーク。私ね。少し前に全てを思い出したのよ。最後の最期だから女神様がプレゼントしてくれたのね。それに、ジークに直接言える機会もつけて下さるなんて。」

「え!ローズ。何を言っているんだ?今、主治医を呼んでくる。ローズ。目覚めたばかりで混乱しているんだよ。」慌てて椅子から立とうとするが、ローズの言葉で動けなくなった。

「ジーク。私が好きなのは、今も昔もアルトよ。あなたではないわ。裏切られても、気持ちは変わらないのよ。妹のマリーナに対してもよ。あなたが裏で全てを仕組んだのね。私はもうすぐこの世を去るわ。私は来世では、今度こそは愛している人と一緒になるわ。それはあなたではない。私はもうすぐ自由よ。ジーク。あなたには一つだけ感謝はするわ。愛しい我が子達に出会えた事に。」と息を引き取った。

「ローズ。ローズ。駄目だ。いかないでくれ。ローズ。君がなんと言おうとも、未来永劫 俺のだ。あいつには渡さない。
ローズマリー。俺から離れるのは許さない。また会おう。しばしの自由を楽しんでくれ。」とローズの左薬指に指輪をはめ、そこに口づけをした。

外では~鐘の音が鳴り響いていた。王家の誰かが亡くなった報せである。
それを聞き。あちらこちらで泣き声が聞こえた。


そして。もう一人。同時に家族に見守られながら、息を引き取った者がいた。

その者の名はアルト=ローバー。
ローバー侯爵家の前当主である。
その手には、大事そうに一枚の封筒を握りしめていた。

差出人の名前は~ローズマリー




次回からは、アルトとマリーナの話です。
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