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アルトとマリーナ 2通の手紙と永遠の愛

13 アルト視点⑨

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家令が客間に通し、マリーナが会いに行った。

そして。興奮したマリーナが戻ってきた。

「アルト。リリーが来たのよ。覚えてない?お姉様の侍女のリリーよ。」

「ローズの側に、ずっといた侍女のリリーかい?まさか。ローズに、なにかあったのか?」

「リリーが教えてくれたの。お姉様が病に倒れて、あと少しの命だそうよ。(涙)一部の人間しか知らないそうよ。アルト。あなたと同じ時期に倒れたみたいよ。そして余命も同じ。それを聞いた時。リリーと2人はやはり運命なのねと。笑ってしまったわ(涙)」

「ローズ…。」

「それとね。お菓子の箱を、2人っきりの時に開けてほしいと言われたわ。」

マリーナが箱を開けると。
私達が好きなお菓子と、2通の手紙が入っていた。

差出人は~ローズマリー。

なかなか封を切らずにいると、マリーナに読むように言われた。

久しぶりに見る。ローズの字。
乱れていたが、愛おしかった。

そして~手紙を胸に抱きしめて泣いた。マリーナも泣いていた。

それから私は、幸せな気持ちで残り少ない時を過した。

いつもこの手紙を持ちながら。

とうとう。その日がやってきた。

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