〜アンケート〜吉田

クラゲ散歩

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スポーツジム

1話

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俺は現在。
どこか知らない国の鉱山で。
朝から日が暮れるまで、毎日岩を運んでいる。

言葉は通じている。小説などでよくある、罪人が送られてくる強制労働の場所ではないそうだ。体罰はない。ただ。生活に対しての規則や、仕事場のルールは厳しい。ま。生死にかかわる事もあるしな。

食事も三食(無料)でるし、週1だが休みもある。給料もきちんと出る。体力的には、辛く過酷だ。みんなお金が他より何倍も良いため、頑張って働いている。ただ。一度ここに来ると、死ぬまで出られないそうだ。
家族にも~会えない。
その覚悟をもって、来るそうだ。殆どの者は、仕送りをしている。

以前「家族に会えなくて、寂しくないか?」と聞いた事がある。そうしたら「確かに。会えないのは寂しいさ。しかし。俺のいた村は貧しくてさぁ~。毎年。人がなくなるんだよ。俺はそれを見てどうにかしたいけど。学力もなく。仕事の賃金も少なくてさぁ~自分だけでもギリギリだったんだ。その時にな。ここの鉱山の仕事を知ってさ。あ、あそこにいるやつも同じ村出身なんだけど。俺達、体力だけはあるからさぁ~。2人で働きに来たんだよ。給料も高いし。少しでも村の為になるように、2人分の仕送りをしているんだよ。毎月手紙が来るんだ。字は書ける者が代表として書いてるんだか、あ。俺達はな。ここで教えてもらったから、読めるし書けるんだぞ。今年は、何人生まれてスクスク育ったとか。学校に行けたとか。感謝の言葉と報告がくるんだ。俺達は、その言葉を聞くたびに頑張ろうと力が湧くんだよ。」と笑顔で答えてくれた。

それを聞いて、俺は~今までの自分を振り返っていた。

鉱山からは出れないが、小さな商店街みたいなのがある。
郵便局の役割をする場所もあるし、病院もある。
曜日ごとに講習会みたいなのがあり、そこで文字の読み書きを習う日もある。

大変だが、恵まれているのかも知れない…そう思うようにしている。

あのジム通いの時よりも、筋肉がついた。体の大きさも、顔つきも変わった。きっと…俺だとわからないだろう。俺も…自分と思わない。

食事を取り。仲間達の誘いを断り、部屋に戻った。

イスに座り、昨日買った酒を少し飲みながら~どうしてここにいるのかを考えた。





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