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ようこそeスポーツ部へ
2.天才って何のこと?
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「おいおい、天才って何言ってんだよ」
「こっちが聞きたいよ。まぁ、天才ってまで思ってなくても、ゲームが得意だとは思ってるだろ?」
「はぁ、得意なのか?そんなにゲームをやった記憶はないぞ」
「まじか、じゃあ聞き方変えるわ。簡単だと思ったゲームは?」
「大概のゲームは面白く思わせるために簡単に作られているだろ。一緒にやったパーティゲームもそうだし、あとは、あのゾンビ殺す奴だろ、、、あ、あと、あれだ、銃撃戦する奴も」
「それ!」×2
龍也がいくつかのゲームの内容を思い出し、簡単だと思ったゲームを提示していくと、突然、徹と彩華の二人が叫んだ。あまりに唐突に大きな声を出された龍也は体をびくつかせた。
「なんだよ、びっくりするだろ」
「それのこと言ってるんだよ」
「あ?それって」
「りゅうが言ってる銃撃戦って5対5で戦う奴だろ。ちょっと未来っぽい装備付けたりする」
「そうそれ、結構簡単に倒せたし、まぁでも殺されもしたから、あれで天才なんて思わないだろ」
「お前、あのゲームもってないよな?」
「俺、両親がそういうのNGだから。もってないよ」
「じゃあ、何回やったとこある?」
「お前の家でやった数回くらい?」
「あれがオンライン対戦なの知ってるよな」
「あぁ、わかるよ」
「俺と、あやのそのゲームでのランク、最高ランクだったんだよ!。お前がやった時」
「お、おう、だから?」
あまりの勢いに押され気味になる龍也と、少し興奮状態で教える徹と、それを呆れながら聞く彩華。傍目から見れば襲われているようにも見える状態であった。
「てつ。少し落ち着こうよ」
「え?あぁ」
徹は周囲を見渡すと、少しばかり視線を感じた。
「ごめん、少し熱くなりすぎた」
「いや、俺は気にしてない。いつものことだから」
「ありがとう」
徹は子供の頃から、熱くなりやすい性格で誰かが止めないとひたすら突き進む。まさに両親がつけた漢字の通りの性格になっている。
「それで、何だっけ?」
「あぁ、それでな。俺とあやはお前をちょっと小馬鹿にするつもりでやらせたんだよ。最高ランクだと、初心者ならボロボロにやられるものだから。でも、蓋を開けてみたらびっくり、さっきまで操作方法を見ていたはずの初心者が最高ランクまでやりこんでるベテランプレイヤーと互角に戦ってるんだから。これを天才と呼ばずして何と呼ぶ」
「なるほど、そういうことか。理解したよ」
竜也は徹が言いたいことを理解した。そして聞き返す。
「とりあえず、何部だっけ?」
「eスポーツ部」
「そう、そのeスポーツ部って奴は頭に入れておくよ。明後日になったらわかるんだろeスポーツって奴」
「きっとな、だから、ちゃんと見とけよ。りゅう」
「わかったよ」
「はい、それじゃあ、部活に誘う話はそこまでにして、高校生になったんだし、遊びに行かない?」
「おっ、いいね。行こうぜ」
「俺も問題ないよ。で?どこに行くんだ」
*
「ただいま」
「お帰り、りゅうちゃん。てつ君とあやかちゃんと遊んで来たの?」
龍也の母。坂本薫が話かける。
「そうだよ。母さん」
「高校も一緒でよかったわね」
「父さんはあまりよく思ってないかもね」
「大丈夫よ。りゅうちゃんなら高偏差値の進学校じゃなくても、成績維持できるわよ」
「ありがとう。母さん」
温和な母親に寡黙な父。そんな家庭で過ごした龍也は、当然一家の長である父の教えのもとに成長してきていた。龍也の父曰く、いい就職先に就職するためにもっとも大事なのは、どこの大学を出たかということらしい。
父は龍也が皇后崎高校を受験することを聞いて、「わかった」の一言で許可してくれていたが、恐らく内心はもっと、龍也の偏差値と同等の高校に進学してほしかったに違いない。
「ほのかは?」
「ほーかちゃんは部屋にいるわよ」
龍也の一つ年下の妹。坂本穂乃香のもとに龍也は向かう。そして、ドアのノックする。
「ほのか。約束のもの借りて来たぞ」
「りゅうにー。入っていいよ」
入室の許可を得た龍也はドアを開け、中の光景を見る。
「相変わらずの部屋だな」
「うるさいなぁ、別にいいでしょ」
妹の部屋は、棚には漫画とフィギュアが所狭しと並んでいて、床にはお菓子が散乱している。そして、
「よくそんな堂々と禁止されてるゲームしてるよな」
「えぇ、いいじゃん別に」
坂本家には禁止されている娯楽がある。ゲームである。理由は勉強がおろそかになるからそれだけの理由である。漫画やアニメなどはゲームに比べ区切りをつけやすいと判断され多少は許されている。とはいっても、多少のはずだ。
しかし、妹の部屋には明らかに許容の範囲を逸脱しているレベルのフィギュアや漫画が並んでいる。だが、なによりも、禁止事項のゲームを堂々と兄の前でする妹がいる。
「それに、ちゃんとイヤホン付けて音漏れしないようにしてるし」
「父さんが入ってきたら。没収されるぞ?」
「パパは私が中学生になってから一度も部屋に入ってこないから大丈夫」
穂乃香は基本的に子供の頃から甘えるのが得意であった。龍也が思うに基本的に父親というのは息子には厳しく、娘には甘くなるのか、見て見ぬふりをしている気がしている。
だが、一番の問題は恐らく母であろう。母はとても財布のひもが緩い、ちょっと妹が甘えて物をねだれば簡単に買い与えている。それが、この部屋の減少を引き起こしていた。とはいえ、唯一禁止されているゲームだけは買い与えることはない。
では、なぜ妹が目の前でゴロゴロしながらゲームをしているかと言えば、
「ほら、あやから借りてきたぞ」
「ありがとう。りゅうにー。愛してる」
「そうか、ありがとよ」
淡々と感情のない感謝に龍也も感情もなく返す。
≪俺も甘やかしている一人か≫
「こっちが聞きたいよ。まぁ、天才ってまで思ってなくても、ゲームが得意だとは思ってるだろ?」
「はぁ、得意なのか?そんなにゲームをやった記憶はないぞ」
「まじか、じゃあ聞き方変えるわ。簡単だと思ったゲームは?」
「大概のゲームは面白く思わせるために簡単に作られているだろ。一緒にやったパーティゲームもそうだし、あとは、あのゾンビ殺す奴だろ、、、あ、あと、あれだ、銃撃戦する奴も」
「それ!」×2
龍也がいくつかのゲームの内容を思い出し、簡単だと思ったゲームを提示していくと、突然、徹と彩華の二人が叫んだ。あまりに唐突に大きな声を出された龍也は体をびくつかせた。
「なんだよ、びっくりするだろ」
「それのこと言ってるんだよ」
「あ?それって」
「りゅうが言ってる銃撃戦って5対5で戦う奴だろ。ちょっと未来っぽい装備付けたりする」
「そうそれ、結構簡単に倒せたし、まぁでも殺されもしたから、あれで天才なんて思わないだろ」
「お前、あのゲームもってないよな?」
「俺、両親がそういうのNGだから。もってないよ」
「じゃあ、何回やったとこある?」
「お前の家でやった数回くらい?」
「あれがオンライン対戦なの知ってるよな」
「あぁ、わかるよ」
「俺と、あやのそのゲームでのランク、最高ランクだったんだよ!。お前がやった時」
「お、おう、だから?」
あまりの勢いに押され気味になる龍也と、少し興奮状態で教える徹と、それを呆れながら聞く彩華。傍目から見れば襲われているようにも見える状態であった。
「てつ。少し落ち着こうよ」
「え?あぁ」
徹は周囲を見渡すと、少しばかり視線を感じた。
「ごめん、少し熱くなりすぎた」
「いや、俺は気にしてない。いつものことだから」
「ありがとう」
徹は子供の頃から、熱くなりやすい性格で誰かが止めないとひたすら突き進む。まさに両親がつけた漢字の通りの性格になっている。
「それで、何だっけ?」
「あぁ、それでな。俺とあやはお前をちょっと小馬鹿にするつもりでやらせたんだよ。最高ランクだと、初心者ならボロボロにやられるものだから。でも、蓋を開けてみたらびっくり、さっきまで操作方法を見ていたはずの初心者が最高ランクまでやりこんでるベテランプレイヤーと互角に戦ってるんだから。これを天才と呼ばずして何と呼ぶ」
「なるほど、そういうことか。理解したよ」
竜也は徹が言いたいことを理解した。そして聞き返す。
「とりあえず、何部だっけ?」
「eスポーツ部」
「そう、そのeスポーツ部って奴は頭に入れておくよ。明後日になったらわかるんだろeスポーツって奴」
「きっとな、だから、ちゃんと見とけよ。りゅう」
「わかったよ」
「はい、それじゃあ、部活に誘う話はそこまでにして、高校生になったんだし、遊びに行かない?」
「おっ、いいね。行こうぜ」
「俺も問題ないよ。で?どこに行くんだ」
*
「ただいま」
「お帰り、りゅうちゃん。てつ君とあやかちゃんと遊んで来たの?」
龍也の母。坂本薫が話かける。
「そうだよ。母さん」
「高校も一緒でよかったわね」
「父さんはあまりよく思ってないかもね」
「大丈夫よ。りゅうちゃんなら高偏差値の進学校じゃなくても、成績維持できるわよ」
「ありがとう。母さん」
温和な母親に寡黙な父。そんな家庭で過ごした龍也は、当然一家の長である父の教えのもとに成長してきていた。龍也の父曰く、いい就職先に就職するためにもっとも大事なのは、どこの大学を出たかということらしい。
父は龍也が皇后崎高校を受験することを聞いて、「わかった」の一言で許可してくれていたが、恐らく内心はもっと、龍也の偏差値と同等の高校に進学してほしかったに違いない。
「ほのかは?」
「ほーかちゃんは部屋にいるわよ」
龍也の一つ年下の妹。坂本穂乃香のもとに龍也は向かう。そして、ドアのノックする。
「ほのか。約束のもの借りて来たぞ」
「りゅうにー。入っていいよ」
入室の許可を得た龍也はドアを開け、中の光景を見る。
「相変わらずの部屋だな」
「うるさいなぁ、別にいいでしょ」
妹の部屋は、棚には漫画とフィギュアが所狭しと並んでいて、床にはお菓子が散乱している。そして、
「よくそんな堂々と禁止されてるゲームしてるよな」
「えぇ、いいじゃん別に」
坂本家には禁止されている娯楽がある。ゲームである。理由は勉強がおろそかになるからそれだけの理由である。漫画やアニメなどはゲームに比べ区切りをつけやすいと判断され多少は許されている。とはいっても、多少のはずだ。
しかし、妹の部屋には明らかに許容の範囲を逸脱しているレベルのフィギュアや漫画が並んでいる。だが、なによりも、禁止事項のゲームを堂々と兄の前でする妹がいる。
「それに、ちゃんとイヤホン付けて音漏れしないようにしてるし」
「父さんが入ってきたら。没収されるぞ?」
「パパは私が中学生になってから一度も部屋に入ってこないから大丈夫」
穂乃香は基本的に子供の頃から甘えるのが得意であった。龍也が思うに基本的に父親というのは息子には厳しく、娘には甘くなるのか、見て見ぬふりをしている気がしている。
だが、一番の問題は恐らく母であろう。母はとても財布のひもが緩い、ちょっと妹が甘えて物をねだれば簡単に買い与えている。それが、この部屋の減少を引き起こしていた。とはいえ、唯一禁止されているゲームだけは買い与えることはない。
では、なぜ妹が目の前でゴロゴロしながらゲームをしているかと言えば、
「ほら、あやから借りてきたぞ」
「ありがとう。りゅうにー。愛してる」
「そうか、ありがとよ」
淡々と感情のない感謝に龍也も感情もなく返す。
≪俺も甘やかしている一人か≫
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