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ようこそeスポーツ部へ
3.お前らストーカーか!
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「りゅうや。学校はどんな感じだ」
家族で晩飯を食べている中、そう聞いてきたのは龍也の父。坂本鉄也である。
「とりあえず、担任は優しそうな先生だったよ。授業はまだカリキュラムの説明だったからどんな感じになるかわからないけど」
「そうか、もし自分のためにならないと判断したらいつでも言いなさい。すぐに転校の手続きをするから」
「大丈夫だよ。先生で成績変わるようなタイプじゃないし」
「そうよ、お父さん。りゅうちゃんなら、大丈夫よ。ところでりゅうちゃん部活動は目星くらいは付けたの?」
「部活動?」
父が母の言葉に反応する。
「そうですよ。お父さん。りゅうちゃんが入学した高校は何かの活動が必須なんですって。今どき変わってますよね」
「なら、りゅうやは帰宅部だろ」
父のその言葉に食卓を囲んでいた母と妹が笑い出す。母は軽く声を出す程度だったが、妹の方はツボにハマったらしく、腹を抱えて笑い出す。龍也も少し笑ってしまっていた。
「父さん、帰宅部なんて部活動は実態として存在しないよ」
「そうなのか...今の時代ならそういう部活があってもおかしくはないと思っていたんだが」
そうして、場が和んだ中で龍也きりだす。
「まだ、さっぱり、でも明後日にそういう部活動とかの紹介をするらしいからその時に決めるよ」
「だが、りゅうや。運動部はやめておいた方が良い。お前はきっとついていけない」
「父さん。それは自分が一番よく理解しているよ」
龍也は生まれてから一度も運動系の活動をしたことがなかったため、体には筋肉と言えるものはついていなかった。
そんな話をしている中、僕の隣に座っている妹は未だツボにハマり続けている。
*二日後
「レディース&ジェントルマン。ついにこの日がやって来た。新入生の皆、はじめまして。私はこの学校の生徒会長の御堂優だ。まぁ、僕のことは今日はどうでいい。これから皆には丸一日かけたこの学校の活動紹介を行う」
「やけにテンションの高い生徒会長だな」
龍也は若干あきれぎみに一人言をいった。
「あの生徒会長、演劇部の部長もやってるらしい」
そんな、隣にいる人くらいにしか聞こえない龍也の小言に返事をしたのは、同じクラスの佐久間智である。
「どっから、そんな情報仕入れてるんだ?」
「簡単さ、僕が今朝学校に来たときに偶然あの生徒会長が演劇部の発表練習してるの見たのさ」
「偶然…ね」
龍也は智の言葉を全く信用してないかのような返事をした。
そんな感じでこそこそと話していると、いよいよ始まる時がきた。
「さぁ、それでは記念すべき最初の部活は野球部だ」
*
「よお、りゅう。なにしてんだ」
時間は昼になり、活動紹介の午前の部は終了し昼休みになっていた。
「てつか、見ればわかるだろ。一人で飯食いにいってるんだよ」
「寂しいやつだな」
「ほっとけ」
「さっきまで一緒にいたのは友達じゃないのか?」
「お前はストーカーか。さとしなら購買にいってるよ」
「なんだ、できてるんじゃないか。友達。俺は嬉しいよ」
「お前は俺の母親か!」
龍也がつっこむと、徹は笑い声をあげる。
「いい突っ込みだな」
「で、用があるから来たんだろ」
「そうそう、午後の部で紹介やるから、ちゃんと見とけよ」
「わかってるよ。しつこいな」
「じゃ、俺用事あるから」
徹はそう言うと、駆け足でさっていく。
「嵐のような人だね」
「うわっ」
その様子を眺めていた龍也の後ろから突如声かかる。
「いつからいたんだよ。さとし」
「今さっき戻ったら君がお話し中だったからこっそり背後に回った」
「背後に回るなビックリしただろ」
「それが目的」
智はそう言うと不適に笑う。
「今の5組の西浦徹だろ?知り合い」
「お前もストーカーだな。そうだよ、幼なじみだ」
「へえ」
「何か気になることでも?」
「僕のライバルになるかもしれないからね」
「なんのだよ!怖いわ」
「そのうちわかるさ」
「そうかよ」
*
「新入生の皆。お腹はいっぱいで眠たいかい?これから、午後の部が始まるよ。眠気も吹き飛ばす活動紹介は書道部からだ」
生徒会長の掛け声と共に書道部のパフォーマンスが始まる。
「なぁ、聞いてもいいか?」
「僕に答えられることなら」
「この学校っていくつ部活動あるんだ?」
「今日配られたパンフレットは?」
「教室に置いてきた」
「興味無さすぎない?さすがに」
「よく言われる」
「まぁ、いいけど。同好会も入れると約100個あるって書いてある」
「ありすぎないか?それ」
「まぁ、今回発表してるのは最低でも10人以上のメンバーのいるところだけだから、それでも30近くはあるな」
「あの理事長が言ってたこともあながち嘘じゃないな。……帰宅部があったりしてな」
龍也は冗談半分で昨日の父の言ったことを聞いてみた。
「......あるよ」
「あるのか!」
「それでは、続いては全国でも非常に珍しく、最近話題のeスポーツ部の発表です」
家族で晩飯を食べている中、そう聞いてきたのは龍也の父。坂本鉄也である。
「とりあえず、担任は優しそうな先生だったよ。授業はまだカリキュラムの説明だったからどんな感じになるかわからないけど」
「そうか、もし自分のためにならないと判断したらいつでも言いなさい。すぐに転校の手続きをするから」
「大丈夫だよ。先生で成績変わるようなタイプじゃないし」
「そうよ、お父さん。りゅうちゃんなら、大丈夫よ。ところでりゅうちゃん部活動は目星くらいは付けたの?」
「部活動?」
父が母の言葉に反応する。
「そうですよ。お父さん。りゅうちゃんが入学した高校は何かの活動が必須なんですって。今どき変わってますよね」
「なら、りゅうやは帰宅部だろ」
父のその言葉に食卓を囲んでいた母と妹が笑い出す。母は軽く声を出す程度だったが、妹の方はツボにハマったらしく、腹を抱えて笑い出す。龍也も少し笑ってしまっていた。
「父さん、帰宅部なんて部活動は実態として存在しないよ」
「そうなのか...今の時代ならそういう部活があってもおかしくはないと思っていたんだが」
そうして、場が和んだ中で龍也きりだす。
「まだ、さっぱり、でも明後日にそういう部活動とかの紹介をするらしいからその時に決めるよ」
「だが、りゅうや。運動部はやめておいた方が良い。お前はきっとついていけない」
「父さん。それは自分が一番よく理解しているよ」
龍也は生まれてから一度も運動系の活動をしたことがなかったため、体には筋肉と言えるものはついていなかった。
そんな話をしている中、僕の隣に座っている妹は未だツボにハマり続けている。
*二日後
「レディース&ジェントルマン。ついにこの日がやって来た。新入生の皆、はじめまして。私はこの学校の生徒会長の御堂優だ。まぁ、僕のことは今日はどうでいい。これから皆には丸一日かけたこの学校の活動紹介を行う」
「やけにテンションの高い生徒会長だな」
龍也は若干あきれぎみに一人言をいった。
「あの生徒会長、演劇部の部長もやってるらしい」
そんな、隣にいる人くらいにしか聞こえない龍也の小言に返事をしたのは、同じクラスの佐久間智である。
「どっから、そんな情報仕入れてるんだ?」
「簡単さ、僕が今朝学校に来たときに偶然あの生徒会長が演劇部の発表練習してるの見たのさ」
「偶然…ね」
龍也は智の言葉を全く信用してないかのような返事をした。
そんな感じでこそこそと話していると、いよいよ始まる時がきた。
「さぁ、それでは記念すべき最初の部活は野球部だ」
*
「よお、りゅう。なにしてんだ」
時間は昼になり、活動紹介の午前の部は終了し昼休みになっていた。
「てつか、見ればわかるだろ。一人で飯食いにいってるんだよ」
「寂しいやつだな」
「ほっとけ」
「さっきまで一緒にいたのは友達じゃないのか?」
「お前はストーカーか。さとしなら購買にいってるよ」
「なんだ、できてるんじゃないか。友達。俺は嬉しいよ」
「お前は俺の母親か!」
龍也がつっこむと、徹は笑い声をあげる。
「いい突っ込みだな」
「で、用があるから来たんだろ」
「そうそう、午後の部で紹介やるから、ちゃんと見とけよ」
「わかってるよ。しつこいな」
「じゃ、俺用事あるから」
徹はそう言うと、駆け足でさっていく。
「嵐のような人だね」
「うわっ」
その様子を眺めていた龍也の後ろから突如声かかる。
「いつからいたんだよ。さとし」
「今さっき戻ったら君がお話し中だったからこっそり背後に回った」
「背後に回るなビックリしただろ」
「それが目的」
智はそう言うと不適に笑う。
「今の5組の西浦徹だろ?知り合い」
「お前もストーカーだな。そうだよ、幼なじみだ」
「へえ」
「何か気になることでも?」
「僕のライバルになるかもしれないからね」
「なんのだよ!怖いわ」
「そのうちわかるさ」
「そうかよ」
*
「新入生の皆。お腹はいっぱいで眠たいかい?これから、午後の部が始まるよ。眠気も吹き飛ばす活動紹介は書道部からだ」
生徒会長の掛け声と共に書道部のパフォーマンスが始まる。
「なぁ、聞いてもいいか?」
「僕に答えられることなら」
「この学校っていくつ部活動あるんだ?」
「今日配られたパンフレットは?」
「教室に置いてきた」
「興味無さすぎない?さすがに」
「よく言われる」
「まぁ、いいけど。同好会も入れると約100個あるって書いてある」
「ありすぎないか?それ」
「まぁ、今回発表してるのは最低でも10人以上のメンバーのいるところだけだから、それでも30近くはあるな」
「あの理事長が言ってたこともあながち嘘じゃないな。……帰宅部があったりしてな」
龍也は冗談半分で昨日の父の言ったことを聞いてみた。
「......あるよ」
「あるのか!」
「それでは、続いては全国でも非常に珍しく、最近話題のeスポーツ部の発表です」
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