ようこそeスポーツの世界へ

黒紙 創

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ようこそeスポーツ部へ

4.こんにちはeスポーツ部です

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≪ようやく、来たか≫


 龍也は徹たちから聞かされていた。eスポーツ部の発表開始のアナウンスに反応した。





 巨大なモニターに映像が流れ始める。映っているのは頭にヘッドセットを付け、右手にはマウス、左手にはキーボードを添えている人物が居て、何やら熱く話しているのが伝わる。

 場面は切り替わり、ゲームの画面が映し出される。それは一人称視点で、プレイヤーはどこか工場の倉庫のような場所を駆けているのがわかる。
 
 すると、目の前に、見た目は白を基調としていて、顔に機械でできた虎のような見た目をした装備を被り、体にも見た目から重装備とわかるほど分厚い機械の鎧を身に纏った敵と思われる人間が現れる。

 互いに存在を認識した瞬間、敵は手に持った連射銃で発砲を始める。

 一方、プレイヤーの方は視点の高さが下がり、移動の速度が上がる。そして、近くの遮蔽物へと回避する。

 何回か画面の一部が赤く光、被弾したことを伺わせたが、プレイヤーは殺られることはなく、遮蔽物の影に入ると画面には右手が表示される。手にはボタンのようなものを持っていてプレイヤーがそれを押すと画面の外側にキラキラとガラスが反射しているようなエフェクトが表示される。

 すると、プレイヤーは突如反転し、遮蔽物から身を出す。そこには、さらに追い討ちを加えようと近寄ってきている敵がいたが、何故か目の前にいる筈のプレイヤーに気づかすそのまま前進してくる。

 そして、プレイヤーの手にショットガンが持たれると、敵に対して一発打ち込む。

 敵はその衝撃で吹き飛び、画面の右側に今倒したであろうプレイヤーの名前と髑髏のマークが現れる。また、画面の外側で光っていたエフェクトも弾を撃つと同時に消えた。


 再び画面は切り替わり、人が写し出され、集中して画面を見ていたと思ったら、突如大喜びをした。そして、隣にいる仲間とハイタッチをかわす。

 そして、最後に優勝賞金500万とかかれたプレートを五人が持ち上げるシーンが映し出された。





 映像が途切れ、一瞬会場が暗闇に包まれる。そして、明かりがつくとそこには総勢12名が壇上に上がっていた。そのうちの5人が他の7人よりも一歩前に出ている。すると、段々と会場がざわめき始める。なぜなら、先程まで画面なかで喜んでいた5人が勢揃いしているからだ。


「皆さん。始めまして。自分がこのeスポーツ部ガンシューティング部門の部長を努めています。神堂しんどう隼人はやとです。
 先程、皆さんに見ていただいた映像は私達ガンシューティング部門が参加したとあるeスポーツ大会の映像です。見て分かる通り、私達はその大会で優勝し賞金を獲得しました。さらに、現在このチームは企業様よりスポンサードされています」


 その言葉に再び会場がどよめき出す。


「スポンサーって、あのスポンサーのことだよな」

「eスポーツ界隈だと有名だよ。あのチーム!全員高校生で構成された日本初のプロゲーマー集団って」

「つまり、あれか、あの部活ってただゲームの大会で優勝しようとかそういう次元じゃなくて、企業からお金をもらってるのか」

「ま、そういうことだろうね」


 竜也は徹たちの言っているただのゲーム部ではないことを理解する。


「自分たちが最初から特別な才能があるから、このようなすごい業績や企業様からスポンサードしていただけた訳ではありません。また、幼い頃からゲームをしていたからでもありません。
 うちのメンバーの内の約10名。まぁ、ほとんどのメンバーは高校でこの部活に入ってからガンシューティングゲームを始めています。
 eスポーツは他の運動系のスポーツのように何年も辛い練習してやっとのことで、一部の才能のある人だけがプロになる訳ではなく、短期間でもそのゲームを楽しみ、やり込めた人なら誰しもが、プロになれる可能性のある。夢のスポーツです。
 日々の生活に退屈しているそこの君!一度僕たちの部室に来て見てほしい」

「退屈......」

「eスポーツはまだまだ発展途上、これからもっともっと盛り上がっていく世界ですので、ぜひとも見学に来て入部していただければと思います」


 部長が礼をすると、他のメンバーも続けて礼をする。そして、会場は拍手に包まれる。

 再び画面が暗転するとゲームの映像が流れ出す。


「まだ、何かあるのか?」

「さっき部長さんが言ってただろ、eスポーツ部は部門別に別れてるんだよ」

「部門別?」

「そう、今のがガンシューティング部門、他には格闘に、スポーツ、戦車や戦艦とかの戦争シミュレーション、パズルゲーム部門なんてのもあるらしい」

「そんなにeスポーツって種類があったのか」

「一昔前は、格闘かガンシューティング系のものしか流行ってなかったらしいけど、今や世界の市場規模、数千億って言われてるくらいすごい世界だよ」

「そうなのか」


 龍也は智の簡単なeスポーツの世界のことを聞きながら、ただその目はひたすら前を見ていた。
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