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ようこそeスポーツ部へ
1.eスポーツ部ってゲーム部のことでしょ?
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「皆さんこんにちは。桜が満開になり、春の訪れが皆さんを祝福しているように。私もこの私立皇后崎高校にご入学した第3期生である皆さんを歓迎します。」
私立皇后崎高校。創立3年の新設高校である。それがこの物語の主人公。坂本龍也が入学した高校の名前だ。偏差値50の高校で、中学である程度しっかり成績をとっていれば入れる高校である。
龍也は中学での偏差値は70前後であり秀才の部類に入る人物であった。そんな龍也がこの私立皇后崎高校を選んだ理由は単純に家から近いという理由であった。
≪はぁ、理事長の話なげぇ。早く終わんないかな≫
龍也は別段この入学式が終わった後何かすることがあるわけではないが、この苦痛の時間が少しでも早く終わることを考えていた。しかし、理事長のとある言葉に反応した。
「この私立皇后崎高校では学生の皆さんに必ず何らかの部活動もしくは同好会に加入してもらう決まりとなっています」
≪必ずかぁ、面倒くさ≫
龍也は中学三年間していた部活動といえば帰宅部であった。家に帰って毎日何時間も寡黙に勉強していたわけではなく、基本的にゲーマーの友達の家に行ってはやっているゲームを眺めている程度であり、家にいるときは一つ年下の妹の勉強を教えている日々であった。
「当然、この中にはやりたい活動なんてないといった人もいることだと思いますが、当校では他校とは比べ物にならないほど多種多様な部活動や同好会があり、きっとその中から自分のやりたいことが見つかると思います。それだけでなく......」
≪多種多様ね。ほんとにそんなに言うほどあるのかぁ?≫
「後日、丸一日通して開かれる。当校の活動紹介会では様々な部活動や同好会が皆さんに向けた面白いアピールをすると思います。その時はぜひ盛り上がってください。」
*
「よう、りゅう。友達出来たか?」
「友達はお前がいれば十分だよ。てつ」
西浦徹。保育園からの幼馴染の一人であり、中学時代まで龍也を家に招いてゲームをしていた友人の一人であった。
「うれしいこと言ってくれるねぇ」
徹も龍也と同じく皇后崎高校に入学していたが、残念ながらクラスは別々となってしまっていた。
「あやは?一緒じゃないのか」
「あぁ、あいつトイレだよ」
「そういうことか」
「それよりもさ、お前どうするの?部活」
「あの理事長がそんなこといってたな」
「え?理事長先生そんなこといってたんだ」
「お前は俺以上に何も聞いてないんだな」
「普通、聞き流すだろ。でもさ、どうせお前のことだから何も決めてないんだろ」
「そりゃあ、まぁな、でもまずどんな部活があるのか知ってから決めようと思ってるけど」
「ならさ、」
「ちょっとぉ、二人だけで何盛り上がってるの?」
会話を途中で遮ったのは、龍也のもう一人の幼馴染である。夏目彩華。龍也と同様徹の家に招かれていた友人であったが、龍也とは違い徹と一緒にゲームをするゲーマーであった。
「おぉ、丁度良かった。あや。今からりゅうを例の部活に誘おうと思ってたんだ」
「なるほど、いいねぇ」
「おい、何だよ。その部活って」
「よくぞ聞いてくれました。その名も」
徹と彩華は、小声でせーのと声を合わせていった。
「eスポーツ部さ(よ)」
「eスポーツ?何それ」
「わかりやすく言えば、ゲームの大会で優勝を目指す部活かな」
徹は自分なりに簡潔にわかりやすくいったであろう言葉を確認するように、彩華の方をみて確認する。
「たぶん、その説明であってるよ」
彩華も半信半疑であるかのような口調で答える。
「なんで教えるお前らがわからないんだよ。とにかくゲームして遊ぶ部活があるってことなんだろ?」
「ちがう(わ)よ」
龍也の言葉に対し、二人はすぐさま否定する。
「ただ、遊ぶだけじゃなくて、大会で優勝を目指すのよ」
「だから、いつもお前らが家でやってることと何か違うのか?」
「違うよ。大きなものになったら、実際の会場でプレイして、優勝すれば賞金ももらえるんだよ」
「ゲームするだけで?」
「うーん、その言い方だとまだ理解しきれてないな。りゅうは」
「ごめん」
「てつ、りゅうには言葉でいっても伝わらないわよ。私たちが初めてゲームを誘ったときのことを思い出しなさい」
「あの時か、確かに、なぜか勉強は授業聞いてるだけで点数とれるのに、ゲームとかアニメとかの説明はなぜか理解できないからな」
「うっ」
龍也は痛いところを突かれたような反応をした。
「とにかく、明後日だっけ、活動紹介会」
徹は彩華に確認を取る。
「えぇ、そうよ」
「その時にきっと先輩たちがお前にも理解できるようなデモンストレーションを行ってくれるさ」
徹はそういうと、龍也の肩を叩く。
「おぉ、そうか。でも、一つ聞いていいか?ほとんど、お前らがゲームしてるの見てるだけだっただろ。やった記憶なんて精々数回しかないのに、なんで誘うんだ?」
その言葉に、徹と彩華は何を言っているんだこいつはといったような顔を見せ、同時に答えた。
「お前(あなた)が天才だからだ(よ)」
私立皇后崎高校。創立3年の新設高校である。それがこの物語の主人公。坂本龍也が入学した高校の名前だ。偏差値50の高校で、中学である程度しっかり成績をとっていれば入れる高校である。
龍也は中学での偏差値は70前後であり秀才の部類に入る人物であった。そんな龍也がこの私立皇后崎高校を選んだ理由は単純に家から近いという理由であった。
≪はぁ、理事長の話なげぇ。早く終わんないかな≫
龍也は別段この入学式が終わった後何かすることがあるわけではないが、この苦痛の時間が少しでも早く終わることを考えていた。しかし、理事長のとある言葉に反応した。
「この私立皇后崎高校では学生の皆さんに必ず何らかの部活動もしくは同好会に加入してもらう決まりとなっています」
≪必ずかぁ、面倒くさ≫
龍也は中学三年間していた部活動といえば帰宅部であった。家に帰って毎日何時間も寡黙に勉強していたわけではなく、基本的にゲーマーの友達の家に行ってはやっているゲームを眺めている程度であり、家にいるときは一つ年下の妹の勉強を教えている日々であった。
「当然、この中にはやりたい活動なんてないといった人もいることだと思いますが、当校では他校とは比べ物にならないほど多種多様な部活動や同好会があり、きっとその中から自分のやりたいことが見つかると思います。それだけでなく......」
≪多種多様ね。ほんとにそんなに言うほどあるのかぁ?≫
「後日、丸一日通して開かれる。当校の活動紹介会では様々な部活動や同好会が皆さんに向けた面白いアピールをすると思います。その時はぜひ盛り上がってください。」
*
「よう、りゅう。友達出来たか?」
「友達はお前がいれば十分だよ。てつ」
西浦徹。保育園からの幼馴染の一人であり、中学時代まで龍也を家に招いてゲームをしていた友人の一人であった。
「うれしいこと言ってくれるねぇ」
徹も龍也と同じく皇后崎高校に入学していたが、残念ながらクラスは別々となってしまっていた。
「あやは?一緒じゃないのか」
「あぁ、あいつトイレだよ」
「そういうことか」
「それよりもさ、お前どうするの?部活」
「あの理事長がそんなこといってたな」
「え?理事長先生そんなこといってたんだ」
「お前は俺以上に何も聞いてないんだな」
「普通、聞き流すだろ。でもさ、どうせお前のことだから何も決めてないんだろ」
「そりゃあ、まぁな、でもまずどんな部活があるのか知ってから決めようと思ってるけど」
「ならさ、」
「ちょっとぉ、二人だけで何盛り上がってるの?」
会話を途中で遮ったのは、龍也のもう一人の幼馴染である。夏目彩華。龍也と同様徹の家に招かれていた友人であったが、龍也とは違い徹と一緒にゲームをするゲーマーであった。
「おぉ、丁度良かった。あや。今からりゅうを例の部活に誘おうと思ってたんだ」
「なるほど、いいねぇ」
「おい、何だよ。その部活って」
「よくぞ聞いてくれました。その名も」
徹と彩華は、小声でせーのと声を合わせていった。
「eスポーツ部さ(よ)」
「eスポーツ?何それ」
「わかりやすく言えば、ゲームの大会で優勝を目指す部活かな」
徹は自分なりに簡潔にわかりやすくいったであろう言葉を確認するように、彩華の方をみて確認する。
「たぶん、その説明であってるよ」
彩華も半信半疑であるかのような口調で答える。
「なんで教えるお前らがわからないんだよ。とにかくゲームして遊ぶ部活があるってことなんだろ?」
「ちがう(わ)よ」
龍也の言葉に対し、二人はすぐさま否定する。
「ただ、遊ぶだけじゃなくて、大会で優勝を目指すのよ」
「だから、いつもお前らが家でやってることと何か違うのか?」
「違うよ。大きなものになったら、実際の会場でプレイして、優勝すれば賞金ももらえるんだよ」
「ゲームするだけで?」
「うーん、その言い方だとまだ理解しきれてないな。りゅうは」
「ごめん」
「てつ、りゅうには言葉でいっても伝わらないわよ。私たちが初めてゲームを誘ったときのことを思い出しなさい」
「あの時か、確かに、なぜか勉強は授業聞いてるだけで点数とれるのに、ゲームとかアニメとかの説明はなぜか理解できないからな」
「うっ」
龍也は痛いところを突かれたような反応をした。
「とにかく、明後日だっけ、活動紹介会」
徹は彩華に確認を取る。
「えぇ、そうよ」
「その時にきっと先輩たちがお前にも理解できるようなデモンストレーションを行ってくれるさ」
徹はそういうと、龍也の肩を叩く。
「おぉ、そうか。でも、一つ聞いていいか?ほとんど、お前らがゲームしてるの見てるだけだっただろ。やった記憶なんて精々数回しかないのに、なんで誘うんだ?」
その言葉に、徹と彩華は何を言っているんだこいつはといったような顔を見せ、同時に答えた。
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