梟(フクロウ)の山

玉城真紀

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失笑

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もう部屋の中は真っ暗になっていた。
すっかり夜になってしまった日引邸。
息をするのも忘れるぐらい日引の話に引き込まれていた水島は、その日引の姿が暗闇の中にぼんやりとだけしか見えない事に気が付き、慌てて部屋の電気をつけた。
「なんか、不思議で・・・やりきれない話ですね」
水島は、自分の心の中に何か重いものが入ってしまったようにすっきりとしなかった。
「この人形を持ってきたのは、梅二やその家族と縁もゆかりもない人なんだよ。どういう流れでその人の手に渡ったのかは分からないけどね。持ってきた人が言うには、この人形が家に来てからというもの火の気がない所から火が出るそうだ」
「火が・・・」
「最初は、自分達の不注意かと思っていたらしいがそこの主人が自分の目の前に置いてあった新聞がいきなり燃え出した事で、これはおかしなことが起きていると思ったそうだ。私は、この人形がその事に関係しているのか確かめるため、一日だけ預かってこの人形の話を聞いたのさ」
「それで、今の話が聞けたという事ですね。確かに、今の話の中にも火は出てきますね」
「いわくがある物と言うのは、最初の持ち主から全く関係のない人へと渡り歩くものさね。それに、この人形に憑いているのは梅二か・・はたまた・・」
「日引さんにしては、自信なさげですね。分からないんですか?」
「ふん。この人形は、今回の話に出てきた全ての人の行動を全て見てきたように何もかも知っている。幽霊は千里眼などは持たないからねぇ」
「そうなると、何がこの人形に憑いているんでしょうね」
水島は、気味が悪そうに床の間に立つ市松人形を見た。
「特定は出来ないね」
日引は、長い昔話をした事で疲れて来たのか正座していた足を崩しながら言った。
「日引さん。その山の事なんですが、その山は今でもあるんですか?」
「ああ、勿論あるさ。村は跡形もなくなくなっちまったけど、山は残ってるよ」
「その山も不思議な山ですよね。自分の裏側と出会える山・・・」
水島は、腕を組み唸った。
「結局、三つの村が滅んでしまった日という事なんだが、私はおいちの気持ちを汲んでこのまっさらな着物を着ているって訳さね」
「それで、「おいちの日」という事なんですね」
「悲恋というのはやりきれないねぇ。所詮。世の中男と女だけしかいない。それしかいないんだからお互いを大切にしていきたいと思うよねぇ・・・みずっちは彼女はいないのかい?」
「えっ!い、いませんよ。僕は、オカルト一筋ですから!」
「ひひひ。ま、それも人生か・・・」
日引は、もうすっかり冷めてしまったお茶を飲み干した。


(ちっ。人の事ぺらべらと勝手に喋って。ま、そんな風にしていればいいさ。は叶ったんだからね)
床の間に飾られている市松人形は、薄い笑みを浮かべながらな目で座敷に座る二人を見た。




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