惑わし

玉城真紀

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二つのドア

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家に残された俺は、改めて部屋を見渡す。
玄関を開けたら別世界。という言葉がピッタリと当てはまる状況だ。でも、立花は他の部屋は手を付けていないと言っていた。俺は好奇心に駆られ、他の部屋を見て回る事にした。
奥に二つのドアが並んでついている。
(ドアが二つ並んでるって・・変な作りだな)
俺は、どちらを開けるか迷った。
どっちを開けたとしても、荒れた部屋が広がっているだけなのだろうが、目の前に同じドアが二つあるだけで、ちょっとしたゲーム感覚に陥る。
(どっちが天国で、どっちが地獄なんだ)
等とふざけた事を考えながら俺は左のドアを選び開いた。
ドアを開けた瞬間、かび臭い匂いが俺を包む。
外は晴れて明るいはずだが、家の周りを囲む木々のせいで部屋が薄暗い。暫くすると、目が慣れ部屋の全貌が分かってきた。
手を付けていないと言った立花の言う通り、部屋の中は荒れ果てている。家具が倒れ、段ボールやぬいぐるみ等が至る所に散乱している。
一気に興味を失った俺は部屋に入る事もなくドアを閉め、右側のドアを開けようとドアノブに手をかけた。
「ん?」
何か違和感を感じる。
たった今見た左の部屋。
何か変だ。
俺はドアノブから手を離し、もう一度左のドアを開けた。
「・・・・これは」
俺は部屋の隅々まで余すことなく見渡す。
「ここは・・・・俺の部屋じゃねぇか!」
自分の部屋が欲しくて妻に我儘を言って作った部屋。ミニカーが好きで集めた物を置くための棚を買い、そこにミニカーを並べてクッションに座りソレを眺めながら酒を飲む。俺の至福の時間をもたらしてくれた部屋。ローンが払えなくなり、差し押さえになった家を出て行く時に見た俺の部屋。それが今目の前にある。棚が倒れ床にはミニカーが散らばっている。それにあのぬいぐるみ・・・娘のだ。
そっくりだった。
(そんな馬鹿な。ここは俺の家じゃない。でも・・・・どう見ても俺の部屋だ)
部屋の前で呆然としていると、何やら外が騒がしいのに気が付き慌ててドアを閉めた。
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