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他の住人
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家に戻って来た立花は、三人の男達を連れて入って来た。
男達は本当にここの住人かと思うような出で立ちだった。高級そうなスーツを着ている者、ブランドで身を固めている者。ラフな格好だが高そうな腕時計をしている者。
「はいはい。今日の歓迎会の主役の・・・・名前聞いてなかったね」
「名前・・・」
自分でも信じられないが、一瞬自分の名前を思い出すことが出来なかった。
「ま、名前なんていいか。ここのみんなはそれぞれ名前を持ってるけど仮名なんだ」
「仮名?」
「そ、名前を言いたくない奴もいるだろ?この町は別に本名なんて名乗らなくてもいいのさ。自由な町だから。じゃあおっさんの名前は・・・田中。うん田中でいいや」
「田中・・・」
この自由な町での俺の名前は田中に決まってしまった。
「田中さん。よろしく」
パリッとした茶色のスーツをまとった男が物腰柔らかく最初に挨拶した。
この男は後藤というらしい。
細身の男で、三十代後半といったところだろうか。清潔そうな雰囲気を持った男だが、やけに首が長いのが気になる。
「飯野で~す」
次に飯野と名乗った男。
全身をブランド物で固めた男。(何て言うブランドなのかは知らない)みんなの中で一番背が低く、例えるなら猿。可愛らしい顔立ちをしているが皺は隠せない。後藤より年上の四十代ぐらいか。お調子者なのか愛想よく笑う顔は人懐っこさを感じさせる。
「どうも」
小さく頭を下げ言葉少なく挨拶したのは、高そうな腕時計をした男。
佐竹と名乗った。年は三十代前半位に見える。
もこもこのセーターにジーンズというラフな格好だが、よくよく見てみると、傷一つないピカピカの靴を履いている。この中で一番体格が良く・・・と言うかよく肥えている。少し気になったのは人と話すときに目を合わせない所だ。愛嬌のある顔でもしていれば良かったのだろうが、肉のついた顔の中に目や鼻などのパーツが埋もれているように見えるので、印象としては陰気な感じを受ける。しかし、身に着けている小物達がしっかりと自分を主張しているのが妙なアンバランスで滑稽だった。
「おっさんもこの町の中のどれかの家を選んでいいんだよ。なんせ自由なんだから」
立花はこの町の町長よろしく、俺に家を選び住む権利を与える。
「ああ」
「さてと、じゃあ今日の歓迎会の買い出し誰に行ってもらおうかな」
「あ、俺が行くよ」
直ぐに名乗りを上げたのは猿・・いや飯野だった。
この町で唯一車を持っているらしい。
「マジで?じゃあ頼むよ。金は俺に請求していいから。歓迎会は七時から始めようと思うんだけどいいかな」
「了解」
「・・・・・」
後藤は気持ちよく返事をし、佐竹は黙ってうなずいた。
「じゃ、七時にここ集合な。おっさんは自分の住む家選ぼうぜ。空いてる家案内するよ」
立花の仕切りで話がすぐに決まると、男達は家を出て行き俺は立花の案内で物件探しに出かけた。
男達は本当にここの住人かと思うような出で立ちだった。高級そうなスーツを着ている者、ブランドで身を固めている者。ラフな格好だが高そうな腕時計をしている者。
「はいはい。今日の歓迎会の主役の・・・・名前聞いてなかったね」
「名前・・・」
自分でも信じられないが、一瞬自分の名前を思い出すことが出来なかった。
「ま、名前なんていいか。ここのみんなはそれぞれ名前を持ってるけど仮名なんだ」
「仮名?」
「そ、名前を言いたくない奴もいるだろ?この町は別に本名なんて名乗らなくてもいいのさ。自由な町だから。じゃあおっさんの名前は・・・田中。うん田中でいいや」
「田中・・・」
この自由な町での俺の名前は田中に決まってしまった。
「田中さん。よろしく」
パリッとした茶色のスーツをまとった男が物腰柔らかく最初に挨拶した。
この男は後藤というらしい。
細身の男で、三十代後半といったところだろうか。清潔そうな雰囲気を持った男だが、やけに首が長いのが気になる。
「飯野で~す」
次に飯野と名乗った男。
全身をブランド物で固めた男。(何て言うブランドなのかは知らない)みんなの中で一番背が低く、例えるなら猿。可愛らしい顔立ちをしているが皺は隠せない。後藤より年上の四十代ぐらいか。お調子者なのか愛想よく笑う顔は人懐っこさを感じさせる。
「どうも」
小さく頭を下げ言葉少なく挨拶したのは、高そうな腕時計をした男。
佐竹と名乗った。年は三十代前半位に見える。
もこもこのセーターにジーンズというラフな格好だが、よくよく見てみると、傷一つないピカピカの靴を履いている。この中で一番体格が良く・・・と言うかよく肥えている。少し気になったのは人と話すときに目を合わせない所だ。愛嬌のある顔でもしていれば良かったのだろうが、肉のついた顔の中に目や鼻などのパーツが埋もれているように見えるので、印象としては陰気な感じを受ける。しかし、身に着けている小物達がしっかりと自分を主張しているのが妙なアンバランスで滑稽だった。
「おっさんもこの町の中のどれかの家を選んでいいんだよ。なんせ自由なんだから」
立花はこの町の町長よろしく、俺に家を選び住む権利を与える。
「ああ」
「さてと、じゃあ今日の歓迎会の買い出し誰に行ってもらおうかな」
「あ、俺が行くよ」
直ぐに名乗りを上げたのは猿・・いや飯野だった。
この町で唯一車を持っているらしい。
「マジで?じゃあ頼むよ。金は俺に請求していいから。歓迎会は七時から始めようと思うんだけどいいかな」
「了解」
「・・・・・」
後藤は気持ちよく返事をし、佐竹は黙ってうなずいた。
「じゃ、七時にここ集合な。おっさんは自分の住む家選ぼうぜ。空いてる家案内するよ」
立花の仕切りで話がすぐに決まると、男達は家を出て行き俺は立花の案内で物件探しに出かけた。
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