惑わし

玉城真紀

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歓迎会

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その夜は、立花の家で俺の歓迎会が行われた。電気が来ていないので、灯りはランタンで賄っている。
立派なソファに五人で座り、テーブルには酒のつまみが主体の料理が並べられている。紙皿が少ないので、アルミホイルを皿代わりに使っていた。
これだけの物を買う金が一体どこにあるのかと思う程の量だ。
酒も大量にある。
「おっさん。やっぱりあの家に決めるかい?」
立花が顔を赤くしながら上機嫌で俺に言った。
あの家・・・
「ああ。あの家に住まわせてもらうよ」
「え?決まったの?」
飯野は、小さい体のどこに入って行くのか不思議なぐらいモリモリと料理を食べながら言う。
「そ、あの一番奥にある家だよ」
「ああ。あそこね。じゃあ、家の方の修繕と周りの草むしり手伝いましょうか?」
後藤は長い首をひねり、結構酒を飲んでいるはずなのに顔色一つ変えずに俺に言った。
「あ・・いえ。自分で少しずつやりますから」
後藤の雰囲気からなのか、何となくきちんとした敬語を使ってしまう。後藤の申し出は嬉しかったが、あの家に他人の手を入れたくなかった。どうせ時間はたっぷりとある。ただ、問題が一つ。
「あの、皆食事ってどうしてるんだい?」
「ああ食事はね、俺が買って来るんだよ。勿論すぐに食べられる様なものしか買えないけどね。ここには電気もガスもないから冷やしたり加熱不要な物ね」
飯野が口をもごもごさせながら言う。
なるほど、金は立花が出す様だが・・・では、他の人は何をしているのだろうか。
「普段はみんなここで何をしてるんだい?」
「私は散歩が好きなのでこの町の中をウロウロしてますよ」
後藤が答える。
そのスーツ姿で歩き回っているのか?不思議に思ったが、頷きながら佐竹の方を見る。
佐竹は、自分の周りを甘い食べ物で埋め尽くし幸せそうな顔をしながら食べている。
(甘党か・・・)
甘いものに夢中の佐竹からの答えは無理か、と思っていたが
「俺は力仕事」
と短いながらも答えてくれた。
「力仕事?」
「そ、佐竹は力だけはあるから力仕事全般頼んでるんだよ」
立花が目をとろんとさせながら言った。
「そうなんだ」
その日の歓迎会は、ゆったりとした楽しい時間になった。
こんな気持ちになるのは本当に久しぶりだった。俺は、あの家を見た衝撃を一時期忘れ心地よく酔いながら、立花の家で一晩を明かした。
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