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またもや
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「なあ水島。俺が樹海の方へ行くって事は出来ないのか?」
「田中さんが?出来ません。もし田中さんがこの町から出たとしたら首吊りの途中で止まってるものが続行されてしまいます」
俺は、前回日引と水島が話している時少しでも近づこうとして町の外に出た時、激しい頭痛に襲われたことを思い出した。
「そんな・・それって俺は自殺の途中って事だろ?もし俺が自殺をやめたいと思ったらやめられるのか?」
「はい。それはもちろん。田中さんの本体がいる場所も分かってますので、そこに行って救出します。ただ、その後身体の回復に努めてもらわなくてはいけませんが。ずっと宙吊り状態ですからね」
「今、助けることは出来ないのか?」
「できません。「縄」の力が働いているので触ることが出来ないんです。「縄」を捕まえてしまえば、半分は日引さんが田中さんの半分を持っているので触る事は可能です」
「成る程ね・・」
そんな話をしている時、上の方でコンと音がした。
「来た」
水島が素早く天井を見上げる。続けざまにコンコンコンコンコンと鳴る。
これが烏からの連絡の音か。天井を見ていた俺は、どんな連絡だったのか聞こうと水島を見る。水島は手帳を出し、それをぺらぺらとめくりながら何やら一人でブツブツ言っていた。
「大変ですよ」
「何て言ってきたんだ?」
「日引さんからで、「縄」がこちらに向かっているそうです」
「は?こっちに向かってる?「縄」がか?おいおい。そこもよく分からないが、相手は得体のしれない奴にしたって「縄」だろ?どうやって移動するんだよ」
「日引さんの話によると、地面を蛇のように移動したり、木から木へ猿のように渡ったりするそうです」
「マジかよ。で、こっちに何の目的で向かってるんだ?」
「恐らく後藤と一つになろうとしているのかと・・・」
「後藤と・・・もし、後藤と「縄」が一つになったらどうなるんだ?」
「分かりません。でも分裂する前の状態で、日引さんが手に負えないと判断した「縄」です。単純に考えてもかなり厄介な事になる事は間違いないと思います」
「そんな力を持っているなら、何故「縄」は分裂なんかしたんだ?」
「恐らく、どちらかが捕まったとしてもいいようにだと思います」
「意外に頭のいい奴だな。じゃあ。後藤と「縄」を一緒にさせなきゃいいんだな」
「はい。日引さんもこちらに・・・」
水島がそこまで話した時、玄関がバァンと勢いよく開けられた。飯野だ。飯野は肩で息をしながら部屋に入って来ると
「水島ちゃん。もう俺駄目かも」
泣きそうな顔になりながら水島にすがるようにして言った。
「え?え?どうしたの?」
突然の事に訳が分からない水島はあたふたしている。
「猿っち」
「うわぁぁぁぁぁ!」
見ると、いつの間にか佐竹が玄関に立っている。猿っちと言ったのは佐竹か?いや、違う。佐竹の背中に誰かがいる。佐竹がゆっくりとしゃがみおんぶしていた人を床に下ろした。日引だ。
今日の出で立ちは、茶色の着物に緑色の帯。白髪の髪を頭の頂点で結い手には小さな赤い巾着。真っ白な足袋に茶色の草履。
しかし、今まで会った日引と何かが違う。
小綺麗に着物を着こなす皺だらけの婆さんには間違いないのだが、何が違うのか。俺は何に対して違和感を感じているのだろうか。
ゆっくりと飯野に近づいていく日引を見ながら考えていた。
「猿っち。あんたって子は」
「ひぃぃぃぃ!ごめんなさい。だって、だって、佐竹が!お、お、お前!佐竹!お前が悪いんだぞ!お前があんな事言わなきゃ・・・」
飯野は、日引の後ろで突っ立っている佐竹に言うが、佐竹は知らん顔をしている。
「アレはここに来る。あんた達が何とかしな。みずっちお茶くれるかい?」
「は・・はい!」
水島は、自分に抱き着く飯野をどかすと慌てて紙コップにお茶を注ぎ始める。
日引は、ソファに腰を掛け水島が入れてくれたお茶を一気に飲み干した。
「ふぅ~ようやく一息ついたよ」
その時俺はやっとわかった。日引の何が違うのか。日引の体に沿ってほんのわずかだがぼんやりと赤く光って見えたのだ。よく注意して見ないと分からないが、今ソファに座ってお茶を飲み終えた日引の体の周りに何もなくなったのを見て分かった。
「気が付いたかい?あんたに見えるという事は、アレがもう近くにいるね」
日引は俺の考えを読んだかのように話す。
「え?何が見えるんですか?」
水島が日引に聞く。
「アレが近くにいるから、田中さんの魂が薄くなってきたんだよ。だから、私の「気」が見えたんだ。赤かっただろ?そりゃそうさ、馬鹿な子二人がまた喧嘩して折角捕まえた「縄」を逃がしちまったんだからね」
「え~!逃がした?」
水島が驚く。
「すみません!」
「ごめんなさい」
飯野と佐竹は二人並んで頭を下げる。どうやら、今まで飯野と佐竹は日引の手伝いをしていたようだ。
「もういいよ。過ぎちまったことをねちねち言ってもしょうがない。田中さんにも変化があるぐらいだ。近くにいるよ。捕まえてきてごらん」
「あの~日引さんは・・・」
飯野はおずおずと日引に問う。
日引はそれには答えず黙っている。二人の方を見もしない。
「・・・いってきます」
二人は後ろを何度も振り返りながら家から出て行った。
「おい。いいのか?あの二人で大丈夫なのか?相手は厄介な奴なんだろ?」
「大丈夫。死にゃあしないよ」
この非常事態に、落ち着き払ってお茶のおかわりを頼んでいる日引に俺は少し呆れてしまった。
「俺、行ってくる」
後藤一人でも、二人を自殺に追い込めるんだ。ソレが「縄」と一緒になったとしたらどんなことになってしまうのか。俺は居てもたっても居られなくなり、水島の家を出た。
後藤と「縄」が会わなきゃいいんだ。今、後藤は何処にいるんだ?アイツを捕まえておけば何とかなるだろうか。それに、もう片方は何と言ってもただの「縄」だ。見つけるまでが大変だが、捕まえてしまえば・・・
そう思いながら俺は後藤の家の方へ走る。
案の定、後藤の家の方に行くとさっき家を出た飯野と佐竹が歩いている。
何やら揉めている様だ。
飯野が佐竹の腕をしきりにグーで殴っている。佐竹は痛くないのか全く動じていない。
「お前のせいだぞ」
ボコ
「・・・・・」
「どうすんだよ」
ボコ
「・・・・・」
「日引さんなしであの「縄」を見つける事が出来ると思うか?」
ボコ
「・・・・・出来る」
「出来ないだろ?」
ボコ
「・・・ちょっと待て、出来る?どうやって」
飯野の質問に対し、佐竹は黙ってある方向を指さした。ようやく二人の後ろにたどり着いた俺も佐竹の指さした方向を見る。
そこに後藤がいた。
後藤は、家の近くの大きな木の枝で首を吊っていた。長い首がさらに長くなっているように見える
「は?」
「・・・・」
「え?」
俺達は不思議なものを見たかのように動きを止める。
(何で?何で後藤が?)
恐らく三人の頭の中は一緒だっただろう。
しかし、その後藤の姿が突如あり得ない事になる。
枝に「縄」を結びソレを使って首を吊っていた後藤の体が、その「縄」にシュルシュルと吸い込まれていったのだ。
その瞬間、空間がぐにゃんと歪んだような気がした。眩暈を起こしたような妙な感覚が一瞬起こる。そしてすぐに元に戻った。
(なんだ?いまの)
周りを見渡し、飯野と佐竹の反応も見たが二人は何も感じていない様子だ。
しかしそれよりも・・何としてでも防ぎたかったことが、目の前で起こってしまった。
木の枝に残された「縄」は、まるで勝ち誇るかのようにぶらりぶらりと揺れている。
「ヤバいぞ。ヤバいぞ。ヤバいぞ」
飯野は呪文のように同じ言葉を繰り返す。佐竹は何も言わずじっと「縄」を見ている。
俺は二人に近づき小声で
「おい。どうするんだ?一緒になっちまったぞ。アイツをどうやって捕まえるんだ?」
「あ、田中ちゃん。・・・どうやってって・・・おい、佐竹、お前も考えろよ」
「燃やす」
佐竹は、何処から出したのか右手に火のついた蝋燭左手にライターを持っていた。
おいおい。そりゃ、最終的には燃やす事になるが俺が聞いてるのはどうやって捕まえるのかって事なのに。
俺は、佐竹の短絡的な行動に驚き呆れていた。飯野も俺と同じように呆れているだろうと思ったが
「そうだな」
大きく頷いている。
不安が一気に大きくなった。
(大丈夫だろうか。しかし、日引さんでさえ捕まえるのに苦労した相手だ。俺達が捕まえられるのか?)
「おい飯野。日引さんはアイツをどうやって捕まえたんだ?知ってるか?」
「え?ああ。なんかゴニョゴニョ言ってたな。そうしたら、アイツの動きが止まったんだ。そこに俺達が飛び掛かって捕まえた」
絶望的だ。それじゃあ、日引さんがいないと捕まえられないって事じゃないか。だとしたら、何故この二人を行かせたのか。何か呪文のような物が必要ならこの二人を行かせても捕まえられない事は分かっているはずだ。俺は日引さんが何を考えているのか必死になって考える。
「あっ!逃げた!」
飯野の声で我に返った俺は、咄嗟に「縄」の方を見た。ブラブラと揺れていた「縄」は輪っかになった方を蛇が鎌首を持ち上げるかのように上げるとスルスルと枝から枝へ伝っていく。
「追う」
「おう!」
おかしな号令をかけた飯野と佐竹は、「縄」が逃げた方向へ走って行ってしまった。
「田中さんが?出来ません。もし田中さんがこの町から出たとしたら首吊りの途中で止まってるものが続行されてしまいます」
俺は、前回日引と水島が話している時少しでも近づこうとして町の外に出た時、激しい頭痛に襲われたことを思い出した。
「そんな・・それって俺は自殺の途中って事だろ?もし俺が自殺をやめたいと思ったらやめられるのか?」
「はい。それはもちろん。田中さんの本体がいる場所も分かってますので、そこに行って救出します。ただ、その後身体の回復に努めてもらわなくてはいけませんが。ずっと宙吊り状態ですからね」
「今、助けることは出来ないのか?」
「できません。「縄」の力が働いているので触ることが出来ないんです。「縄」を捕まえてしまえば、半分は日引さんが田中さんの半分を持っているので触る事は可能です」
「成る程ね・・」
そんな話をしている時、上の方でコンと音がした。
「来た」
水島が素早く天井を見上げる。続けざまにコンコンコンコンコンと鳴る。
これが烏からの連絡の音か。天井を見ていた俺は、どんな連絡だったのか聞こうと水島を見る。水島は手帳を出し、それをぺらぺらとめくりながら何やら一人でブツブツ言っていた。
「大変ですよ」
「何て言ってきたんだ?」
「日引さんからで、「縄」がこちらに向かっているそうです」
「は?こっちに向かってる?「縄」がか?おいおい。そこもよく分からないが、相手は得体のしれない奴にしたって「縄」だろ?どうやって移動するんだよ」
「日引さんの話によると、地面を蛇のように移動したり、木から木へ猿のように渡ったりするそうです」
「マジかよ。で、こっちに何の目的で向かってるんだ?」
「恐らく後藤と一つになろうとしているのかと・・・」
「後藤と・・・もし、後藤と「縄」が一つになったらどうなるんだ?」
「分かりません。でも分裂する前の状態で、日引さんが手に負えないと判断した「縄」です。単純に考えてもかなり厄介な事になる事は間違いないと思います」
「そんな力を持っているなら、何故「縄」は分裂なんかしたんだ?」
「恐らく、どちらかが捕まったとしてもいいようにだと思います」
「意外に頭のいい奴だな。じゃあ。後藤と「縄」を一緒にさせなきゃいいんだな」
「はい。日引さんもこちらに・・・」
水島がそこまで話した時、玄関がバァンと勢いよく開けられた。飯野だ。飯野は肩で息をしながら部屋に入って来ると
「水島ちゃん。もう俺駄目かも」
泣きそうな顔になりながら水島にすがるようにして言った。
「え?え?どうしたの?」
突然の事に訳が分からない水島はあたふたしている。
「猿っち」
「うわぁぁぁぁぁ!」
見ると、いつの間にか佐竹が玄関に立っている。猿っちと言ったのは佐竹か?いや、違う。佐竹の背中に誰かがいる。佐竹がゆっくりとしゃがみおんぶしていた人を床に下ろした。日引だ。
今日の出で立ちは、茶色の着物に緑色の帯。白髪の髪を頭の頂点で結い手には小さな赤い巾着。真っ白な足袋に茶色の草履。
しかし、今まで会った日引と何かが違う。
小綺麗に着物を着こなす皺だらけの婆さんには間違いないのだが、何が違うのか。俺は何に対して違和感を感じているのだろうか。
ゆっくりと飯野に近づいていく日引を見ながら考えていた。
「猿っち。あんたって子は」
「ひぃぃぃぃ!ごめんなさい。だって、だって、佐竹が!お、お、お前!佐竹!お前が悪いんだぞ!お前があんな事言わなきゃ・・・」
飯野は、日引の後ろで突っ立っている佐竹に言うが、佐竹は知らん顔をしている。
「アレはここに来る。あんた達が何とかしな。みずっちお茶くれるかい?」
「は・・はい!」
水島は、自分に抱き着く飯野をどかすと慌てて紙コップにお茶を注ぎ始める。
日引は、ソファに腰を掛け水島が入れてくれたお茶を一気に飲み干した。
「ふぅ~ようやく一息ついたよ」
その時俺はやっとわかった。日引の何が違うのか。日引の体に沿ってほんのわずかだがぼんやりと赤く光って見えたのだ。よく注意して見ないと分からないが、今ソファに座ってお茶を飲み終えた日引の体の周りに何もなくなったのを見て分かった。
「気が付いたかい?あんたに見えるという事は、アレがもう近くにいるね」
日引は俺の考えを読んだかのように話す。
「え?何が見えるんですか?」
水島が日引に聞く。
「アレが近くにいるから、田中さんの魂が薄くなってきたんだよ。だから、私の「気」が見えたんだ。赤かっただろ?そりゃそうさ、馬鹿な子二人がまた喧嘩して折角捕まえた「縄」を逃がしちまったんだからね」
「え~!逃がした?」
水島が驚く。
「すみません!」
「ごめんなさい」
飯野と佐竹は二人並んで頭を下げる。どうやら、今まで飯野と佐竹は日引の手伝いをしていたようだ。
「もういいよ。過ぎちまったことをねちねち言ってもしょうがない。田中さんにも変化があるぐらいだ。近くにいるよ。捕まえてきてごらん」
「あの~日引さんは・・・」
飯野はおずおずと日引に問う。
日引はそれには答えず黙っている。二人の方を見もしない。
「・・・いってきます」
二人は後ろを何度も振り返りながら家から出て行った。
「おい。いいのか?あの二人で大丈夫なのか?相手は厄介な奴なんだろ?」
「大丈夫。死にゃあしないよ」
この非常事態に、落ち着き払ってお茶のおかわりを頼んでいる日引に俺は少し呆れてしまった。
「俺、行ってくる」
後藤一人でも、二人を自殺に追い込めるんだ。ソレが「縄」と一緒になったとしたらどんなことになってしまうのか。俺は居てもたっても居られなくなり、水島の家を出た。
後藤と「縄」が会わなきゃいいんだ。今、後藤は何処にいるんだ?アイツを捕まえておけば何とかなるだろうか。それに、もう片方は何と言ってもただの「縄」だ。見つけるまでが大変だが、捕まえてしまえば・・・
そう思いながら俺は後藤の家の方へ走る。
案の定、後藤の家の方に行くとさっき家を出た飯野と佐竹が歩いている。
何やら揉めている様だ。
飯野が佐竹の腕をしきりにグーで殴っている。佐竹は痛くないのか全く動じていない。
「お前のせいだぞ」
ボコ
「・・・・・」
「どうすんだよ」
ボコ
「・・・・・」
「日引さんなしであの「縄」を見つける事が出来ると思うか?」
ボコ
「・・・・・出来る」
「出来ないだろ?」
ボコ
「・・・ちょっと待て、出来る?どうやって」
飯野の質問に対し、佐竹は黙ってある方向を指さした。ようやく二人の後ろにたどり着いた俺も佐竹の指さした方向を見る。
そこに後藤がいた。
後藤は、家の近くの大きな木の枝で首を吊っていた。長い首がさらに長くなっているように見える
「は?」
「・・・・」
「え?」
俺達は不思議なものを見たかのように動きを止める。
(何で?何で後藤が?)
恐らく三人の頭の中は一緒だっただろう。
しかし、その後藤の姿が突如あり得ない事になる。
枝に「縄」を結びソレを使って首を吊っていた後藤の体が、その「縄」にシュルシュルと吸い込まれていったのだ。
その瞬間、空間がぐにゃんと歪んだような気がした。眩暈を起こしたような妙な感覚が一瞬起こる。そしてすぐに元に戻った。
(なんだ?いまの)
周りを見渡し、飯野と佐竹の反応も見たが二人は何も感じていない様子だ。
しかしそれよりも・・何としてでも防ぎたかったことが、目の前で起こってしまった。
木の枝に残された「縄」は、まるで勝ち誇るかのようにぶらりぶらりと揺れている。
「ヤバいぞ。ヤバいぞ。ヤバいぞ」
飯野は呪文のように同じ言葉を繰り返す。佐竹は何も言わずじっと「縄」を見ている。
俺は二人に近づき小声で
「おい。どうするんだ?一緒になっちまったぞ。アイツをどうやって捕まえるんだ?」
「あ、田中ちゃん。・・・どうやってって・・・おい、佐竹、お前も考えろよ」
「燃やす」
佐竹は、何処から出したのか右手に火のついた蝋燭左手にライターを持っていた。
おいおい。そりゃ、最終的には燃やす事になるが俺が聞いてるのはどうやって捕まえるのかって事なのに。
俺は、佐竹の短絡的な行動に驚き呆れていた。飯野も俺と同じように呆れているだろうと思ったが
「そうだな」
大きく頷いている。
不安が一気に大きくなった。
(大丈夫だろうか。しかし、日引さんでさえ捕まえるのに苦労した相手だ。俺達が捕まえられるのか?)
「おい飯野。日引さんはアイツをどうやって捕まえたんだ?知ってるか?」
「え?ああ。なんかゴニョゴニョ言ってたな。そうしたら、アイツの動きが止まったんだ。そこに俺達が飛び掛かって捕まえた」
絶望的だ。それじゃあ、日引さんがいないと捕まえられないって事じゃないか。だとしたら、何故この二人を行かせたのか。何か呪文のような物が必要ならこの二人を行かせても捕まえられない事は分かっているはずだ。俺は日引さんが何を考えているのか必死になって考える。
「あっ!逃げた!」
飯野の声で我に返った俺は、咄嗟に「縄」の方を見た。ブラブラと揺れていた「縄」は輪っかになった方を蛇が鎌首を持ち上げるかのように上げるとスルスルと枝から枝へ伝っていく。
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