陰鬼

玉城真紀

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計画

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「へ~。そんな話聞いたことないわ」

私は馴染みの喫茶店で、同じ大学に通う友人の由美子と軽く食事をしていた。

夏真っ盛りの今日。
夏休みになったら旅行に行こうと考えていたが、お互いバイトが忙しく中々会えなかったので思い切って大学をさぼり話をする事になったのだ。
その話の中、ふと祖母がしてくれた「影」の話を思い出したので話してみた。
由美子は始め興味なさそうに聞いていたが、次第に食いつくように私の話を最後まで聞くと

「よし!決まり。そこにしよう!」

「え?そこって?」

「だから。あんたのお祖母ちゃんの家の村よ。勿論満月の夜を狙ってね!」

「え・・・・」

「お互い彼氏誘ってさ。最初、涼しい場所って思ってたけどそういう所は何処も混んでるし、お金もかかるじゃない?でも、お祖母ちゃんの家に泊まらせてもらえば安く済むじゃない!肝試しも出来て一石二鳥よ!」

「肝試しって・・・それに、お祖母ちゃん亡くなったのよ」

「え?そうなの?じゃ、お爺ちゃんは?」

「お爺ちゃんは、お祖母ちゃんより先に病気で亡くなったって聞いたわ。私がまだ生まれてない頃に。それからずっと一人で住んでたの。お祖母ちゃんが亡くなってからは誰もその家を相続しなかったから、空き家のままになってるけど」

「マジで!じゃあ丁度いいじゃない!色々持ち寄ってそこに泊まろうよ」

「別にいいけど。もうあの村誰も住んでないんじゃなかったかなぁ・・・取り敢えず、お母さんに聞いてみるよ」

「誰も住んでない村?最高じゃん!絶対そこに決まり!!この時期どこもっぱいで、諦めて近場で済ますことになるかなって思ってたんだぁ。早速ユウに連絡しなくちゃ!あんたも早く彼氏に連絡してよ?」

その言葉を聞いて、少しだけ気持ちが重くなった。
私には、大学に入ってから付き合いだした年上の彼氏(司)がいる。友達と飲みに行った店で知り合い、何回か遊んでいるうちに付き合う事になった人だ。司は社会人だったので、その当時の私には凄く大人に見えたものだった。その事を由美子に話すと何と、由美子の彼氏(ユウ)の友人だという事が分かった。あの時程、世の中の狭さを感じた事はなかった。優しくて明るい司だったが、何故かここ最近様子が変なのだ。妙によそよそしい。思い当たる事が何もないし、もし話をした事で別れ話なんて出されたら・・・と思うと、中々話を切り出せないでいた。
もしかしたら、この旅行を機会にまた仲良くできるかもと考え由美子の提案に乗った。

家に帰り早速母親に話してみる。
母親はあまりいい顔はしなかったが、最後は了承してくれた。その事を由美子に伝え、司にも連絡する。
案の定司は、喜ぶわけでもなく「任せるよ」と言っただけで電話は切れた。
泣きそうなほど悲しかったが、この旅行にかけて駄目だったら別れよう。と決めた。

その後、働いている彼氏二人の都合が会う日を選び、私達は出発した。
目的の祖母が住んでいた村は、もう人が住んでいなく廃村と化していると母が言っていたが、少し離れた所に温泉があるという事なのでその温泉に入り、その後はお祖母ちゃんの家で騒ぐ計画を立てた。


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