陰鬼

玉城真紀

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プロローグ

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皆さんは影踏みという遊びを知っているだろうか。
鬼が相手の影を踏み、踏まれた人は鬼となりまた別の影を踏むというアレである。私は幼い時よくこの遊びをやったものだ。何気ない子供の遊びの中にも時には恐ろしい云われがあるものがある。


「いいかい。満月の夜は決して外に出てはいけないんだよ」

「なんで?」

「この村にはね。昔からそう言い伝えられているんだよ。満月の夜は、とても明るいだろう?だから、恐ろしい影が歩いているのがよく分かるんだ。その影と出会ってしまうと、自分の影を踏まれて、今度は自分がその影となり、この世に帰ってこれず歩き回る事になると。だからね、満月の夜は外には出てはいけないよ」

「ふ~ん」

この話は、私が幼い頃に祖母の家に泊まりに行った時に祖母から聞いた話だ。
当時の私は、夜寝る前にしてくれる祖母がお話がとても好きだった。色々な昔話。楽しい話。悲しい話。そして恐ろしい話。母が話す「桃太郎」等、絵本によくあるお話ではなく聞いた事もない話。今思えば、本当の事なのか創作なのか分からないがとにかく魅力的な話ばかりしてくれた。その話を聞くために祖母に会いに行っていたと言っても過言ではない。
昔話と言うのは、戒めや教訓など何か意味がある事が多いが。この「影」の話もそう言う意味で、夜に外を出歩くなという事なのではないかと思っていた。

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