疑心暗鬼

玉城真紀

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何の話?

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次の日

「千絵。昨日行っていた資料これね」

私は約束通り資料を貸す為に、他の友達と楽しそうに話している千絵のもとへ行った。千絵は私が持っている資料に目をやる事もなく

「あ、それもう大丈夫」

「え?」

「他ので代用しちゃったの。ごめんね」

悪びれた様子もなく人懐っこい笑顔を見せながら言う。

「・・・そう」

(わざわざ電話までして・・借りたかったんじゃなかったの?)
少し頭に来たが仕方なく自分の荷物がある場所へ戻り、資料を鞄に仕舞おうとしていると

「あ、それ貸してくれない?」

いつの間にか彼が隣に来て、私が持っている資料を見ながら慌てて声を掛けてきた。
結局千絵に貸さなくても済んだので、

「いいわよ」

と渡した。
その日は、何故か彼がいつも私の側にいるので千絵は気を使ってなのかこちらに来ることはなかった。

「ただいま~」

アパートへ帰るとすぐに冷蔵庫から飲み物を出し一気に流し込む。

「ふぅ~。何か今日は疲れたな」

彼と一日中いられたのは嬉しかったが、千絵に悪い感じがして余り楽しめなかった。気のせいか、彼のファンの人達の視線がいつもより強く私に突き刺さっている感じもした。こんな時、千絵といれば気にしなくて済んだのに・・・やはり友達は大切にしたい。
今日はバイトがないので、布団を敷くとその上に横になる。

「あ~あ」

複雑な気持ちだった。
一人暮らしが出来て、友達や彼氏も出来楽しいはずが何でこんな気持ちになるのだろう。
いっその事一人になった方がいいのか。そんな事を考え天井を見ながらぼうっとしていた。

「ぽん」

(来るか・・・毎回毎回、登場するたびなるこの音は太鼓のようね)

もう何だか慣れっこになっている自分がいた。

「助言を聞かんからだ」

やはり出た。しかし私は声の主を見ることなく天井を見たまま

「助言ね。はいはい」

「己の進むべき道を誤るな」

「進むべき道?」

「わしはある女中を気に入った時があった」

(?女中?なに?いきなり)

突然出てきた聞きなれない言葉に驚き、私は又兵衛を探した。又兵衛はテーブルの上で足をぶらぶらさせながら座りこちらを見ている。

「しかし、わしと幼馴染の男もその女中の事が気に入っていてな。・・・だがもう遅かった。それを知ったのは、わしがその女中と恋仲になってからだった・・・」

「?それから?」

又兵衛はそこまで話すと黙り込んだので、先が気になり、体を起こすと又兵衛に話の先を促す。

「・・・わしは全てをなくした」

「え?どうして?何があったの?」

突然結果だけを言われても話が見えない。

「その幼馴染と女中の両方なくしたって事?」

「全てと言ったろうが」

「だからそれじゃわからないのよ。どうして全てなくしてしまったのかを言ってくれなくちゃ」

「聞かない方がいい。お主は助言を聞きソレを守れば良し」

そう言うと、箪笥の上の人形に吸い込まれていった。

「・・・・・」

何となく又兵衛の最後消える時、とても悲しい表情をしたように見えたのが気になった。
それにしてもどういう事なんだろう。

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