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◆◇エピローグ◇◆
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「まぁ」
白い部屋に、華やかな笑い声がこぼれて広がった。
「よく来てくれたわね、元気そうで何より」
そこは、大理石で飾られた広い王宮には比べるべくもなかったが、煉瓦の暖かみとこぢんまりした部屋が、どことなく懐かしい思いを呼び起こした。
「変わりはない? 元気だったかしら」
椅子を勧められ、そこに腰を下ろして、アーシュラは彼女特有の笑みを浮かべた。
「おかげさまで、この通りよ」
侍女がアーシュラの前に置いた茶器からは、甘い匂いが立ち上った。
「大丈夫なの?」
そっとアーシュラがささやく。クレアは、その表情に首をかしげる。
「何が?」
「あの、体の調子が悪いって」
「ああ」
ほんの少し考えるように黙り込み、そして顔を上げて微笑みを返す。
「心配をかけて、ごめんなさいね。たいしたことではないの。大丈夫よ、ほら、このとおり」
両手を宙で握りしめて見せ、クレアが笑ったのにアーシュラもつられた。
「あんたがいないと退屈なんだもん。ね、王宮にはいつ帰ってくるの?」
尋ねるアーシュラに、クレアは悪びれずに言った。
「きっと、もう戻ることはないわ」
「何で?」
もっともなアーシュラの質問には答えず、クレアは茶器に手を伸ばした。開かれた窓からは、濃い緑の匂いが忍び込んでくる。
「アーシュラこそ、今日はどうしたの? こんなところまで訪ねてくれるなんて」
ここ、ヴァリスの離宮は、王都からは馬車で一日の場所にあった。訪ねてくるのはやはり、何かのついでというわけにはいかない。
「ちょっと遠いね。森とかはきれいでいいけど」
アーシュラはそう言い、そして少し上目遣いにクレアを見た。
「私、魔道研究院、出るんだ」
「まぁ、そうなの」
クレアは驚いて聞き返した。
「どうかしたのかしら、卒業には、もう少しあると思ったけれど」
「うん、あのさ」
言いにくそうに、それでいて聞いて欲しいというふうにアーシュラは言う。
「ラーケンがね、自分の魔道研究所開くの、許されたの」
それはすなわち、独立を認められたということだった。クレアは、アーシュラの保護者代わりだった魔道師の顔を思い浮かべた。彼は、もう王宮の魔道師ではないということになる。
「まぁ、そうなの、それはおめでとう。ラーケンは優秀だったものね、不思議はないわ」
「うん、本人も張り切っててさ」
アーシュラは顔を上げてクレアを見た。言葉を選ぶように、少し口をつぐんだ。
「それでね、あたしに一緒に来て欲しいって」
クレアは言葉を飲んでアーシュラを見た。アーシュラは、いささか照れたように頬を染めて小さく舌を出した。それが、単に助手としてとではないくらい、クレアにも理解できた。
「そうなの」
しきりに照れるアーシュラに近寄って、クレアはその手を自分のそれで包み込んだ。
「よかったわね、アーシュラ」
「まぁ、ね」
アーシュラは笑い声を洩らして、そしてクレアをいつになく真剣な瞳で見た。
「あたし、ラーケンがそう言ってくれないか、実はずっと待ってたんだ」
クレアに握られた手に、アーシュラは力を込めた。
「だから、すごく嬉しかった」
「ええ」
笑みを浮かべて、包み込んだアーシュラの手を、優しくなでた。
「よかったわ、本当に。アーシュラが幸せになってくれたら、私もこれ以上の喜びはないもの」
さらり、と音がして、大きな窓にかかった薔薇色のカーテンが風を受けて揺れた。緑の匂いのする風は、芽生えの季節の訪れを告げる使者。
「クレアは?」
そちらに視線をやったクレアの背中から、アーシュラが聞いた。
「クレアは、どうなっちゃったの? こんな王都から離れたところに来ちゃってさ」
「なにがなの?」
きょとんとアーシュラを振り向くクレアに、アーシュラは声を潜めて再び聞いた。
「殿下とのこと」
あたりを憚るようにそれとだけ言ったアーシュラに、クレアは一瞬なんのことかというような表情を浮かべたが、やがて微笑んでこう言った。
「私も、幸せなのよ」
その笑みは、アーシュラが今まで見たことのないものだった。穏やかな、何かを乗り越えた表情。クレアがこんな表情を浮かべることはついぞなかった。アーシュラは、その意味がわからずに首をかしげる。
「私は、もう王都に戻ることもないでしょうけど、それも、すべて私が今、幸せだからなのよ」
腑に落ちない、と言ったアーシュラの前にクレアは立って、そしてそっと下腹部をなでた。アーシュラは首をかしげたが、見る者が見れば、すぐにそうとわかるわずかな膨らみがそこにはあった。
「私たちの、願いが、叶ったのよ」
このうえもなく幸せそうな微笑みがそこにあった。
◆◇
「来て下さって、嬉しいですわ」
庭園の緑が生い茂り、濃い緑が作る影が涼を誘う。太陽はきらきらと輝きを惜しげもなく放ちながら、あらゆるものを熱い光で撫でてゆく。
「お変わりは、ないでしょうか」
見上げる微笑みに、応えるその表情も、同じように幸福に彩られている。
「お前こそ、元気そうで何よりだ」
そっと、その体をなでるように手が添えられる。
「体の調子はどうだ、ちゃんと回復しているだろうね」
「ええ、それは、ご心配いりませんわ」
くるり、とその場で体をひねり、そして笑って見せる。
「この通り、元気なのよ」
「無理をしてはいけないよ」
そんな彼女の動きを、彼は笑いながらたしなめる。
「まだ、そう経ってはいないのだからね」
彼は天を仰ぎ、その強い日差しに目を細めた。
「行こうか、ここはお前の体には堪えるだろう」
彼がすっと彼女の腕を取り、そしてふたりは煉瓦のその屋敷の中に姿を隠す。
「もっと、しばしば来てやれたらいいのだが」
彼はため息をついた。
「お前が、一番大変なときにそばにいてやれなくて、悪かったと思っているよ」
「まぁ、そんな」
彼女は何でもないことのように笑った。
「私には私の、セフィにはセフィのお仕事がありますもの。それぞれが、自分のなさなくてはいけないことをしっかり務めなければ」
彼は笑って、そっと彼女の頭をなでた。幼かったころの彼女にしたのと、同じ仕草で。
「そうだね」
滑るように廊下を行くと、ある部屋の前で侍女が姿を表し、ふたりに向かって会釈をした。屋敷の中でも、もっとも暖かな日差しの当たる部屋だ。
「起きているかしら」
彼女がそう言うと、侍女はうなずいて部屋の中に入る。彼女はそれに従い、そして彼もそれに倣った。
「いらっしゃいませ」
彼女は、腕の中に抱き上げ、そして彼にそっと指し示した。
「ご覧なさいませ、セフィにそっくりだわ」
くすっ、と笑って、腕の中の嬰みどりごを、あやすように腕をゆする。それを、彼は目をしばたたかせながら見つめた。
「瞳のあたりが、特に」
見慣れないものを、恐る恐ると言ったように彼は手を伸ばした。指先で、生まれたばかりのみずみずしい肌をそっと撫でる。
「そうかな、私は、お前の方によく似ていると思うよ」
その指に、ぴくっと眉間が震えた。それに驚くように、彼は指を離す。
「小さい、ものだな」
「ええ」
彼女は彼を見上げた。微笑んで、そして腕の中の、言葉を解すはずもない赤子にそっと語りかける。
「ご挨拶しなさい」
彼にその姿がよく見えるように、座らない首を支えながら彼女は腕をかかげた。
「あなたの、お父様よ」
◆◇
マインラードという小国。小さな国土しか持たないこの国が明らかな発展を成したのは十五代国王の治世だった。彼はその即位の当初から慣習を破る破天荒さを見せ、そしてその君臨もまた異例のものだった。そして、それがマインラードを名実ともに先進国へと押し上げる。自種族以外とは交わらないとされたラクシュ神族を重臣に取り上げたのも、それが史上初の女性騎士であったことも、彼の治世にあったことだった。
彼の名は、マインラードの歴史に深く刻まれることとなった。彼の国は、彼自身が手ずから養育した少年に受け継がれる。王によく似た容貌を持った彼の母が誰なのか、明かされることはない。
マインラードの十五代国王は、生涯妻を娶ることはなかった。
End.
白い部屋に、華やかな笑い声がこぼれて広がった。
「よく来てくれたわね、元気そうで何より」
そこは、大理石で飾られた広い王宮には比べるべくもなかったが、煉瓦の暖かみとこぢんまりした部屋が、どことなく懐かしい思いを呼び起こした。
「変わりはない? 元気だったかしら」
椅子を勧められ、そこに腰を下ろして、アーシュラは彼女特有の笑みを浮かべた。
「おかげさまで、この通りよ」
侍女がアーシュラの前に置いた茶器からは、甘い匂いが立ち上った。
「大丈夫なの?」
そっとアーシュラがささやく。クレアは、その表情に首をかしげる。
「何が?」
「あの、体の調子が悪いって」
「ああ」
ほんの少し考えるように黙り込み、そして顔を上げて微笑みを返す。
「心配をかけて、ごめんなさいね。たいしたことではないの。大丈夫よ、ほら、このとおり」
両手を宙で握りしめて見せ、クレアが笑ったのにアーシュラもつられた。
「あんたがいないと退屈なんだもん。ね、王宮にはいつ帰ってくるの?」
尋ねるアーシュラに、クレアは悪びれずに言った。
「きっと、もう戻ることはないわ」
「何で?」
もっともなアーシュラの質問には答えず、クレアは茶器に手を伸ばした。開かれた窓からは、濃い緑の匂いが忍び込んでくる。
「アーシュラこそ、今日はどうしたの? こんなところまで訪ねてくれるなんて」
ここ、ヴァリスの離宮は、王都からは馬車で一日の場所にあった。訪ねてくるのはやはり、何かのついでというわけにはいかない。
「ちょっと遠いね。森とかはきれいでいいけど」
アーシュラはそう言い、そして少し上目遣いにクレアを見た。
「私、魔道研究院、出るんだ」
「まぁ、そうなの」
クレアは驚いて聞き返した。
「どうかしたのかしら、卒業には、もう少しあると思ったけれど」
「うん、あのさ」
言いにくそうに、それでいて聞いて欲しいというふうにアーシュラは言う。
「ラーケンがね、自分の魔道研究所開くの、許されたの」
それはすなわち、独立を認められたということだった。クレアは、アーシュラの保護者代わりだった魔道師の顔を思い浮かべた。彼は、もう王宮の魔道師ではないということになる。
「まぁ、そうなの、それはおめでとう。ラーケンは優秀だったものね、不思議はないわ」
「うん、本人も張り切っててさ」
アーシュラは顔を上げてクレアを見た。言葉を選ぶように、少し口をつぐんだ。
「それでね、あたしに一緒に来て欲しいって」
クレアは言葉を飲んでアーシュラを見た。アーシュラは、いささか照れたように頬を染めて小さく舌を出した。それが、単に助手としてとではないくらい、クレアにも理解できた。
「そうなの」
しきりに照れるアーシュラに近寄って、クレアはその手を自分のそれで包み込んだ。
「よかったわね、アーシュラ」
「まぁ、ね」
アーシュラは笑い声を洩らして、そしてクレアをいつになく真剣な瞳で見た。
「あたし、ラーケンがそう言ってくれないか、実はずっと待ってたんだ」
クレアに握られた手に、アーシュラは力を込めた。
「だから、すごく嬉しかった」
「ええ」
笑みを浮かべて、包み込んだアーシュラの手を、優しくなでた。
「よかったわ、本当に。アーシュラが幸せになってくれたら、私もこれ以上の喜びはないもの」
さらり、と音がして、大きな窓にかかった薔薇色のカーテンが風を受けて揺れた。緑の匂いのする風は、芽生えの季節の訪れを告げる使者。
「クレアは?」
そちらに視線をやったクレアの背中から、アーシュラが聞いた。
「クレアは、どうなっちゃったの? こんな王都から離れたところに来ちゃってさ」
「なにがなの?」
きょとんとアーシュラを振り向くクレアに、アーシュラは声を潜めて再び聞いた。
「殿下とのこと」
あたりを憚るようにそれとだけ言ったアーシュラに、クレアは一瞬なんのことかというような表情を浮かべたが、やがて微笑んでこう言った。
「私も、幸せなのよ」
その笑みは、アーシュラが今まで見たことのないものだった。穏やかな、何かを乗り越えた表情。クレアがこんな表情を浮かべることはついぞなかった。アーシュラは、その意味がわからずに首をかしげる。
「私は、もう王都に戻ることもないでしょうけど、それも、すべて私が今、幸せだからなのよ」
腑に落ちない、と言ったアーシュラの前にクレアは立って、そしてそっと下腹部をなでた。アーシュラは首をかしげたが、見る者が見れば、すぐにそうとわかるわずかな膨らみがそこにはあった。
「私たちの、願いが、叶ったのよ」
このうえもなく幸せそうな微笑みがそこにあった。
◆◇
「来て下さって、嬉しいですわ」
庭園の緑が生い茂り、濃い緑が作る影が涼を誘う。太陽はきらきらと輝きを惜しげもなく放ちながら、あらゆるものを熱い光で撫でてゆく。
「お変わりは、ないでしょうか」
見上げる微笑みに、応えるその表情も、同じように幸福に彩られている。
「お前こそ、元気そうで何よりだ」
そっと、その体をなでるように手が添えられる。
「体の調子はどうだ、ちゃんと回復しているだろうね」
「ええ、それは、ご心配いりませんわ」
くるり、とその場で体をひねり、そして笑って見せる。
「この通り、元気なのよ」
「無理をしてはいけないよ」
そんな彼女の動きを、彼は笑いながらたしなめる。
「まだ、そう経ってはいないのだからね」
彼は天を仰ぎ、その強い日差しに目を細めた。
「行こうか、ここはお前の体には堪えるだろう」
彼がすっと彼女の腕を取り、そしてふたりは煉瓦のその屋敷の中に姿を隠す。
「もっと、しばしば来てやれたらいいのだが」
彼はため息をついた。
「お前が、一番大変なときにそばにいてやれなくて、悪かったと思っているよ」
「まぁ、そんな」
彼女は何でもないことのように笑った。
「私には私の、セフィにはセフィのお仕事がありますもの。それぞれが、自分のなさなくてはいけないことをしっかり務めなければ」
彼は笑って、そっと彼女の頭をなでた。幼かったころの彼女にしたのと、同じ仕草で。
「そうだね」
滑るように廊下を行くと、ある部屋の前で侍女が姿を表し、ふたりに向かって会釈をした。屋敷の中でも、もっとも暖かな日差しの当たる部屋だ。
「起きているかしら」
彼女がそう言うと、侍女はうなずいて部屋の中に入る。彼女はそれに従い、そして彼もそれに倣った。
「いらっしゃいませ」
彼女は、腕の中に抱き上げ、そして彼にそっと指し示した。
「ご覧なさいませ、セフィにそっくりだわ」
くすっ、と笑って、腕の中の嬰みどりごを、あやすように腕をゆする。それを、彼は目をしばたたかせながら見つめた。
「瞳のあたりが、特に」
見慣れないものを、恐る恐ると言ったように彼は手を伸ばした。指先で、生まれたばかりのみずみずしい肌をそっと撫でる。
「そうかな、私は、お前の方によく似ていると思うよ」
その指に、ぴくっと眉間が震えた。それに驚くように、彼は指を離す。
「小さい、ものだな」
「ええ」
彼女は彼を見上げた。微笑んで、そして腕の中の、言葉を解すはずもない赤子にそっと語りかける。
「ご挨拶しなさい」
彼にその姿がよく見えるように、座らない首を支えながら彼女は腕をかかげた。
「あなたの、お父様よ」
◆◇
マインラードという小国。小さな国土しか持たないこの国が明らかな発展を成したのは十五代国王の治世だった。彼はその即位の当初から慣習を破る破天荒さを見せ、そしてその君臨もまた異例のものだった。そして、それがマインラードを名実ともに先進国へと押し上げる。自種族以外とは交わらないとされたラクシュ神族を重臣に取り上げたのも、それが史上初の女性騎士であったことも、彼の治世にあったことだった。
彼の名は、マインラードの歴史に深く刻まれることとなった。彼の国は、彼自身が手ずから養育した少年に受け継がれる。王によく似た容貌を持った彼の母が誰なのか、明かされることはない。
マインラードの十五代国王は、生涯妻を娶ることはなかった。
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