【完結】暴君王子は執愛魔王の転生者〜何故か魔族たちに勇者と呼ばれ、彼の機嫌を取る役割を期待されています〜

藍生蕗

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15. 聖なる精霊による祝福の教会

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 彼らは皆揃って国や民では無く自分第一主義である。
 国王夫妻は子どもたちを育て損なったような気がしなくもない。……心の内とはいえ、はっきり言うのは憚れる。

「……聖精祝の会は重婚が認められている。側妃にしなさい」

 それなのに何故か司祭が結婚出来ないこの宗教。隣国の作った国教だから御都合主義なんだろうな。

 隣国は側室制度が盛んで、後継に困らない代わりに、婚姻先に苦慮していると聞いた事がある。確かに王族の婚姻は国交に強みがあるけれど、近隣諸国でも多すぎれば持て余すし、全く交流がない国に軽々と引き渡す事も出来ない。

 国内なんてそれこそ王家の血統が溢れ返っているそうだ。
 彼の国で重婚が容認されているのは、確か精霊が節操無しだったからだと記憶している。

 子ども用の御伽噺には沢山の祝福を与えたとなっているが、実際は気に入った人間を見つけては結婚らしきものを繰り返していたらしい。精霊は姿形を好きに変えられるし、人間と寿命も違うから仕方がないと言えばそうなのかもしれないけれど。

 しかも彼らにとっては、子どもを宿すかどうかが婚姻の成立を意味するらしく、子どもがいない=夫婦では無い。となるらしい。

 この手の話は宗教論議で良く白熱される箇所ではあるけれど、そもそも聖剣を与えた精霊は魔王と不仲な魔族だったという説がよく浮上する。
 というのも、精霊も魔族も唯一気に入った相手としか子を儲けない。その番と呼ばれる存在がない限り、奔放で気まぐれな気質であるとされる。

 確か何かの説では、精霊と言われる者たちは陽光を好み、魔族たちは月光を好む……らしい。
 その明暗が人間の勝手な種族分けになるのだけれど、実のところは分からない。

 いかんせん、彼らが人間と深く関わらない事から情報が少ないが、その限られた人間たちもまた、積極的に彼らの情報は漏らさない。

 もし精霊と信じて関わっていたものが魔族認定をされたら、一族郎党どんな憂き目に合うかなど想像だに出来ない。
 また、例え精霊だったと教会に認定されたとしても、子を儲けていないなら精霊に気に入られなかった、遊ばれただけとレッテルを貼られ、女性なら目も当てられないだろう。
 何故なら魔族も精霊も手が早いというか……人間から見てとても魅力的な容姿らしく、拒めないらしいのだ。

 精霊に助けられた経緯である隣国では、前述したものは禁句ではあるが、聖精祝の会は数ある宗教の一つであって、唯一では無い。よって世界的の宗教家から活発な議論を行われている宗教の一つだ。
 まあ、ここでそれを口に出来るほど図太くは無いが。

「僕はそこの王女殿下を妃に迎える気はありません。そもそも側室など我が国では唾棄される制度でしょう」

 あ、言っちゃった……リュフィリエナ王女は第三妃の子なのに……。
 シーラは気詰まりする思いで視線を逸らそうとしたが、何故かリュフィリエナが嬉しそうに、はにかんでいるので目を丸くした。

「ええ、わたくしのお母様は精霊に見初められましたの。それで、お父様との結婚は大分渋られたのですわ。精霊からお母様を取り上げて良いものかと国の重鎮が悩み抜いたそうなのです」

「……」

 頭の中お花畑かとは言わない。
 恐らくこのお姫様はこのように育てられたのだろう。
 成る程彼の国ではそういう建前を使うのか。

 だけど、聖精祝の会が国教とされる以上、それこそが真実なのだろう。一歩国外に出れば違う慣習がある事も知らない。

 まあ、でも魔王を名乗る魔族の御伽噺はメシェル国だけで無く、いくつかの国にも残っているから、そういう国では受け入れられるだろうけど。

「ですからナタナエル殿下も、どうぞお気に病まないで下さい。わたくしの聖なる血筋が加護をもたらし、きっとこの国を邪心から護る事となるでしょう」

 メシェル国から政略結婚でも言い使ってきているのだろうか。
 王女の方は婚約にとても前向きである。けど例えメシェルにそういう思惑があったとしても、この王女様にはせいぜい、「ルデル王国を魔の手から救って差し上げて下さい」とか、その程度の話しか聞いていないような気がするが。

 まあ、宗教にどっぷり浸かっている正義感の強い王女殿下なら、それだけで十分やる気に満ちるのだろうけれど。

 ……はあ、それにしても……肩が痛いな。
 ナタナエルの指は相変わらずシーラの肩に食い込んでいた。







変な名前の教会だなあ。
名前センス無いなあ。
ゴロ悪っ!
……思ったものの、他に思いつかなかった(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
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