それは、あまりにも、唐突で、非凡で、日常だった

紫くらげ

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行くか、行かないか、二人で顔を見合わせた後、此処に居てもしょうがないと地下へと降りることとなった
地下には、誰もおらず、薄っすらと床の端に本の紋章みたいな物があることしかわからなかった
私は、先程部屋で見つけた本を意を決して開いた
薄目で、恐々とみると普通に文字が書いてある
「ねぇ、私これ、読める。読めるよ!」
彼は驚いて、本を覗き込んだが彼にはやっぱり読めず、具合が…と言って座り込んでしまった。
これ、読んだら元の世界に戻れるのかな…と、思ったが、具合が悪くなった彼を見る。
助けてもらって、私だけ出るなんて…と、億劫になった私を悟ったのか、彼は
「読めよ、元の世界に帰れるかもしれねえんだろ?俺は大丈夫だ」
そう言い、座り込み俯いてしまった
何か方法が無いかと、考えていたらぽつり、彼がこう言った
「お前も、変な本を読んだんだろ」
「えっ」
「俺たち、死んでいってる皆そうだ」
じゃあ、なんで私だけこの本を読めるのか…そう思っていたら
「あらぁ、あの部屋から逃げるなんて悪い子」
紅いドレスを纏った、正に魔女、と言うようが正しい格好の女性が現れた
そう、何もない所からいきなり
彼は、バッと立ち上がる。彼女の手には、本が複数握られていた。
どれも色の違う本が何冊も。
「ほら、坊や。貴方の本はこの中のどれかにるわ。ふふ、ほら。帰りたいでしょう?」
「挑発に乗っちゃダメ!」
そういう私に、彼は微笑み
「先帰ってろ。俺はぜってぇこの女から本取り戻して、また元の世界に帰るからよ」
そう言うと、彼は魔女のような人へ拳を振り落とした…筈だった。
それは意図も容易くすり抜けていく
「こんなの、勝ち目がないじゃない…!」
私の叫びに、彼は更に大きな声で叫ぶ
「良いから帰れ!!お前はもう自由なんだから!!!」
「そんなの…「良いから!!!!」
私は、部屋の隅で床に描かれた本の紋章の所で本を開く

「汝は、無事合格した。元の世界へ、回り、巡り、戻れ」

また頭がぐらりと揺れる。
涙目で最期に見えたのは、血に塗れる彼の姿だった
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