74 / 146
令嬢の恋編
72.またお節介をします。
しおりを挟む
前より頻度は格段に落ちたけれども、アルマがまた城に来るようになった。なぜかって? お目当てはヴェネリオだよ! でも俺の護衛だから、ヴェネリオに会うには俺とも会わなきゃいけないということで、絶賛巻き込まれ中という……。まあ俺は他の皆さんと違って時間の都合がつきやすいけどさぁ……。
アルマが吹っ切れて変わった、という事は俺の近くにいたからヴェネリオもよく知っていて、満更でも無さそうに見えるんだけど……。休憩時間とかに二人で会えばいいのにっていつも思う。
ので、自分のためにもお節介します! 毎度付き合う身にもなれっての!
「えっ!?」
「だから、二人で会ったらどうなの? ヴェネリオだって、満更でもないんだろ?」
「いや、でも、しかし……」
なんだってこんなに煮え切らないんだ……。アルマといる時、優しい顔してるの知ってるんだぞ俺は。
「まぁとりあえず、今日来るらしいから行ってきなって。これはレオにも通してあるし安心していいから。な? ……というか、ほぼほぼ命令ですこれは。うん。」
「うぅ……。御意……。」
朝の清々しい空気とは違う、緊張感のある空気を纏ったヴェネリオはどこか落ち着かなさそうにしていたけれど、仕事の時間になるといつものように集中して業務にあたっていた。
あと一時間くらいしたらアルマがやってくる。はてさてどうなるか……。ことを性急に運ぶことは別にしなくていいと思うけど、変化は徐々につけていかないとね。それが今日! 火付け役は請け負うから、うまくやってくれよ。
ソファに座ってゆったりしていると、そろそろアルマが来るかな、というタイミングでレオが部屋に来た。そう、ヴェネリオが抜ける間はレオが傍に居てくれるんだと。……それ狙って、抜けるの許可したんじゃないよな?
「……別に、カイといたいから許可したわけじゃないからね?」
「えっ」
隣に座りながら、そんなことをしれっと言ってくる。えぇ……、よ、読まれている!? エスパーかなんか!? いやまて、それより、だ。
「はい。これアルマに渡して欲しいんだ。」
したためておいた手紙をヴェネリオに渡すと、笑顔で送り出した。これなら俺がいないことも納得して貰えるだろうし、最初の話題のきっかけくらいにはなるだろう。
「ふぅ、なんか進展あるかなぁ。」
「カイは人がいいよねえ」
「いや、半分以上は自分のためだし、俺そんなにいい人じゃないよ。」
まぁ、応援したい気持ちもあるけれどね。それが俺の手が届くところにあれば、手を貸したくもなる。
「それを言うなら、レオでしょ。夜に自分のベッドに座ってる見知らぬ男を、よく面倒見ようと思ったよね。」
そう、俺がこの世界に来たあの日のことだ。今思えば、自分でも怪しさ満点だったなって思うのに。
「もう、ほとんど一目惚れみたいなものだったんだよ。月に照らされたカイが綺麗だったのを、鮮明に覚えてる。」
かぁっと顔が熱くなるのがわかる。綺麗ってなんだよ……もう。
「……そうだったのか。俺は、ちゃんと話聞いてくれて、しかも傍に置いてくれて、すごく嬉しくて安心したんだ。レオが拾ってくれなかったら、どうなってたかな……考えたくもないけど。」
「それは……あんまり良くないことになってたと思う。俺も考えたくはないけど。」
顔を見合わせて、くすくす笑い合った。今が幸せだなぁとつくづく思う。
しばらくとりとめもない話をしてヴェネリオを待っていると、控えめにノックがされた。入室許可をすると、ヴェネリオが入ってきた。
「おかえり! ……首尾はどう?」
「お時間、ありがとうございました。実はその……今度、出かける約束を……しました。」
おお!? これはなかなか上々なのでは! デートだなんて。心なしか嬉しそうに見えるし、今後も楽しみになってきたなと思う俺だった。
アルマが吹っ切れて変わった、という事は俺の近くにいたからヴェネリオもよく知っていて、満更でも無さそうに見えるんだけど……。休憩時間とかに二人で会えばいいのにっていつも思う。
ので、自分のためにもお節介します! 毎度付き合う身にもなれっての!
「えっ!?」
「だから、二人で会ったらどうなの? ヴェネリオだって、満更でもないんだろ?」
「いや、でも、しかし……」
なんだってこんなに煮え切らないんだ……。アルマといる時、優しい顔してるの知ってるんだぞ俺は。
「まぁとりあえず、今日来るらしいから行ってきなって。これはレオにも通してあるし安心していいから。な? ……というか、ほぼほぼ命令ですこれは。うん。」
「うぅ……。御意……。」
朝の清々しい空気とは違う、緊張感のある空気を纏ったヴェネリオはどこか落ち着かなさそうにしていたけれど、仕事の時間になるといつものように集中して業務にあたっていた。
あと一時間くらいしたらアルマがやってくる。はてさてどうなるか……。ことを性急に運ぶことは別にしなくていいと思うけど、変化は徐々につけていかないとね。それが今日! 火付け役は請け負うから、うまくやってくれよ。
ソファに座ってゆったりしていると、そろそろアルマが来るかな、というタイミングでレオが部屋に来た。そう、ヴェネリオが抜ける間はレオが傍に居てくれるんだと。……それ狙って、抜けるの許可したんじゃないよな?
「……別に、カイといたいから許可したわけじゃないからね?」
「えっ」
隣に座りながら、そんなことをしれっと言ってくる。えぇ……、よ、読まれている!? エスパーかなんか!? いやまて、それより、だ。
「はい。これアルマに渡して欲しいんだ。」
したためておいた手紙をヴェネリオに渡すと、笑顔で送り出した。これなら俺がいないことも納得して貰えるだろうし、最初の話題のきっかけくらいにはなるだろう。
「ふぅ、なんか進展あるかなぁ。」
「カイは人がいいよねえ」
「いや、半分以上は自分のためだし、俺そんなにいい人じゃないよ。」
まぁ、応援したい気持ちもあるけれどね。それが俺の手が届くところにあれば、手を貸したくもなる。
「それを言うなら、レオでしょ。夜に自分のベッドに座ってる見知らぬ男を、よく面倒見ようと思ったよね。」
そう、俺がこの世界に来たあの日のことだ。今思えば、自分でも怪しさ満点だったなって思うのに。
「もう、ほとんど一目惚れみたいなものだったんだよ。月に照らされたカイが綺麗だったのを、鮮明に覚えてる。」
かぁっと顔が熱くなるのがわかる。綺麗ってなんだよ……もう。
「……そうだったのか。俺は、ちゃんと話聞いてくれて、しかも傍に置いてくれて、すごく嬉しくて安心したんだ。レオが拾ってくれなかったら、どうなってたかな……考えたくもないけど。」
「それは……あんまり良くないことになってたと思う。俺も考えたくはないけど。」
顔を見合わせて、くすくす笑い合った。今が幸せだなぁとつくづく思う。
しばらくとりとめもない話をしてヴェネリオを待っていると、控えめにノックがされた。入室許可をすると、ヴェネリオが入ってきた。
「おかえり! ……首尾はどう?」
「お時間、ありがとうございました。実はその……今度、出かける約束を……しました。」
おお!? これはなかなか上々なのでは! デートだなんて。心なしか嬉しそうに見えるし、今後も楽しみになってきたなと思う俺だった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
220
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる