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勝負は、コロッシアムの最後の決戦と同様、あっという間に終わった。
しかし、先程は勝者だったナトルシュカの身体は、ぐったりと地面に伏せていた。
おびただしいほどの血が流れ、ナトルシュカの身体を汚している。
コロッシアムで無敗の男。
戦場でも闘技場でも、ナトルシュカはずっと負けたことがなかったナトルシュカであるというのに、子供には全くといっていいほど叶わなかった。
(化物だ…)
ナトルシュカは一歩も動くことができず、複数回斬りつけられた。
ためらいのない斬りつけに、ナトルシュカは一瞬、死を覚悟した。
(サティ…)
死の瞬間、ナトルシュカ脳裏に浮かぶのは、サティウィンの顔であった。
「やはり、これだけ斬りつけても死なないとは…。
相当なものですね…貴方の加護は…」
倒れ込んだナトルシュカの喉元にゾルフはナイフを突きつけた。
しかし、突きつけた手はそれ以上動かすことができなかった。
おびただしい血が流れているが、おそらく、死ぬことはない。
ゾルフは、うすら笑いを消し、苦々しく舌打ちをした。
「忌々しい加護ですね…
ですが…愛とは実に容易い虚しいもの…」
ゾルフはナイフを放り投げナトルシュカを背負うと、子供をその場に残し王城へと戻っていった。
ナトルシュカが意識を戻すと、ナトルシュカはララールの部屋の前で倒れていた。
(何故、ララール様の部屋の前に…)
ゾルフが、運んだのだろうか。
何故、ララールの部屋の前に捨て置かれたのか。
ナトルシュカの傷は手当されておらず、ドクドクと血が流れたままだった。
よくぞ、今意識が保っていられていると自分で関心するほど、血は止まることはなく、激しい痛みに襲われている。
(子供…だったのに…。
俺が剣を構えた瞬間に、子供は人ならざる化物へと変化した…。
あれが、華の力だというのか…。)
襲い掛かってくる子供はヒトのナリをしていなかった。
襲いかかる一瞬、子供の肉体は盛り上がり、みるみるうちにヒトならずものへと変化した。
ヒトならざる化物は、少しのためないもなく、ナトルシュカを殺すつもりで襲いかかった。
今、生きているのが不思議なくらいだった。
『蒼き目が災いになりて
英雄が消え、絶望の華咲く
蒼き目の災いというのは、おそらくこの国の災いの姫であるララール様のことでしょう。
そして、英雄というのは貴方』
ゾルフの言っていた英雄が、本当に自分のことだったのだとしたら、ここで命を落とせばあの華を咲かせる手助けになるかもしれない。
(もしも、俺がここで朽ちたら…あの華は咲いてしまう…。
あんな化物を生み出す華が咲いてしまったら…この国はどうなる…。
サティウィン様は…)
ゾルフの企みを阻止しなければ。
ゾルフは華が成長さえすればいいと言っていたが、それだけでは終わることはないだろう。
あの華が成長しきってしまえば、この国はあの華に支配され、終わる。
一刻も早く、あの華を処分しなければ、あの子供のような化物がこの国を襲い、国は荒れる。
多くの血が流れ、あの子供のように食べるものがなく飢えで死んでしまう子供も出てきてしまうだろう。
サティウィンが理想とする国が、滅んでしまう。
一刻もはやく、事実を知った自分がなんとかしなくてはならない。
しかし、思いとは裏腹に、身体が言うことを聞かない。
(死ぬのか…、俺は…。こんなところで…)
せめて最後に、ララールにこの危険を伝えなくては。
蒼き目が災いになりて。
自分は消えても、ララールに伝えなくてはいけない。
あの絶望の華を成長させないためにも。
ナトルシュカは最後の力を振り絞り、ララールの部屋の扉を叩いた。しかし、ララールと言葉を交わす前に、意識を失った。
しかし、先程は勝者だったナトルシュカの身体は、ぐったりと地面に伏せていた。
おびただしいほどの血が流れ、ナトルシュカの身体を汚している。
コロッシアムで無敗の男。
戦場でも闘技場でも、ナトルシュカはずっと負けたことがなかったナトルシュカであるというのに、子供には全くといっていいほど叶わなかった。
(化物だ…)
ナトルシュカは一歩も動くことができず、複数回斬りつけられた。
ためらいのない斬りつけに、ナトルシュカは一瞬、死を覚悟した。
(サティ…)
死の瞬間、ナトルシュカ脳裏に浮かぶのは、サティウィンの顔であった。
「やはり、これだけ斬りつけても死なないとは…。
相当なものですね…貴方の加護は…」
倒れ込んだナトルシュカの喉元にゾルフはナイフを突きつけた。
しかし、突きつけた手はそれ以上動かすことができなかった。
おびただしい血が流れているが、おそらく、死ぬことはない。
ゾルフは、うすら笑いを消し、苦々しく舌打ちをした。
「忌々しい加護ですね…
ですが…愛とは実に容易い虚しいもの…」
ゾルフはナイフを放り投げナトルシュカを背負うと、子供をその場に残し王城へと戻っていった。
ナトルシュカが意識を戻すと、ナトルシュカはララールの部屋の前で倒れていた。
(何故、ララール様の部屋の前に…)
ゾルフが、運んだのだろうか。
何故、ララールの部屋の前に捨て置かれたのか。
ナトルシュカの傷は手当されておらず、ドクドクと血が流れたままだった。
よくぞ、今意識が保っていられていると自分で関心するほど、血は止まることはなく、激しい痛みに襲われている。
(子供…だったのに…。
俺が剣を構えた瞬間に、子供は人ならざる化物へと変化した…。
あれが、華の力だというのか…。)
襲い掛かってくる子供はヒトのナリをしていなかった。
襲いかかる一瞬、子供の肉体は盛り上がり、みるみるうちにヒトならずものへと変化した。
ヒトならざる化物は、少しのためないもなく、ナトルシュカを殺すつもりで襲いかかった。
今、生きているのが不思議なくらいだった。
『蒼き目が災いになりて
英雄が消え、絶望の華咲く
蒼き目の災いというのは、おそらくこの国の災いの姫であるララール様のことでしょう。
そして、英雄というのは貴方』
ゾルフの言っていた英雄が、本当に自分のことだったのだとしたら、ここで命を落とせばあの華を咲かせる手助けになるかもしれない。
(もしも、俺がここで朽ちたら…あの華は咲いてしまう…。
あんな化物を生み出す華が咲いてしまったら…この国はどうなる…。
サティウィン様は…)
ゾルフの企みを阻止しなければ。
ゾルフは華が成長さえすればいいと言っていたが、それだけでは終わることはないだろう。
あの華が成長しきってしまえば、この国はあの華に支配され、終わる。
一刻も早く、あの華を処分しなければ、あの子供のような化物がこの国を襲い、国は荒れる。
多くの血が流れ、あの子供のように食べるものがなく飢えで死んでしまう子供も出てきてしまうだろう。
サティウィンが理想とする国が、滅んでしまう。
一刻もはやく、事実を知った自分がなんとかしなくてはならない。
しかし、思いとは裏腹に、身体が言うことを聞かない。
(死ぬのか…、俺は…。こんなところで…)
せめて最後に、ララールにこの危険を伝えなくては。
蒼き目が災いになりて。
自分は消えても、ララールに伝えなくてはいけない。
あの絶望の華を成長させないためにも。
ナトルシュカは最後の力を振り絞り、ララールの部屋の扉を叩いた。しかし、ララールと言葉を交わす前に、意識を失った。
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