【R15】専属執事に階段から突き落とされたのですが、どうも様子が変です。【完結】

ヨウカン

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30 告白

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エメラルドグリーンの瞳を見開いているその表情は、驚きに満ちていた。


「エリーゼ様は…………私にドキドキされている……のですか?」


ちょっと待って!


その確認は恥ずかしすぎる!


「そ……それはそうですよ!
人と全く交流することのなかった私にとって、今のフレディの距離感は刺激が強すぎます」


「エリーゼ様……気に障ってしまっていたら申し訳ありません。
決して、子供扱いしているわけではございません。
1人のレディーであるエリーゼ様を一番にと考えての行動です」


困ったように眉を下げるフレディに、私はむず痒さを感じていた。


フレディが私の執事として、とても熱心に働いてくれていることはこの数日でよく分かっている。


でも、それ以上なんじゃないかって、勘違いしてしまいそうにもなっていた。


だから、この気持ちを理解してもらいたい。


そういうつもりじゃないなら、もっと離れてくれないと困る。


「私……フレディのこと、気になってしまうんです!
このままでは……す、好きに……なってしまいます」


目をギュッと瞑りながら、口から出るのは絞り出すような情けない声だった。


しかし、フレディからは何の返答もないので、ゆっくり彼を見上げる。


すると、フレディは驚きの表情のまま固まっていた。


あれ……?


しばしの間、静寂が流れる。


ど……どうしよう、変なことを言っちゃったのかな。


急にこんなこと言って、困らせたよね。


「えっと、今のはやっぱり……」



無かったことに……と言おうと思ったが、不意にフレディは大切なものに触れるように丁寧に私の手を握った。


「……夢みたいです。
まさかエリーゼ様にそんなふうに思っていただいていたなんて。
エリーゼ様が私を好きになってくださるのなら、それはこの上ない幸せです。
誰よりも大切に致します」


私を見上げる切ない眼差しと、その直球すぎる言葉に、心臓がどくりと跳ねる。


急に、口が石になったかのように、何も言えなくなった。


それは、私の初恋を痛いほど自覚した瞬間だった。


しばらく沈黙が続いた後、耐えきれなくなって、ぷいと顔を逸らす。


「ほ、本当にそう思ってるんですか?」


「ええ、私の人生はエリーゼ様のためにあります。
私からの一方的な気持ちで十分良かったのですが、エリーゼ様から好意をもらえるのは、こんなにも幸せなことなんですね」


「も!もう、ダメ!!
この話終わり!!」


これ以上フレディに喋らせたら毒だ。


頭がおかしくなってしまう!


信じたいけど信じられないし、都合よく解釈したくもなってしまう!


私は話を打ち切ると、にこにこするフレディの方を向かないままで食事を終えた。





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