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正真正銘の淫魔です⁉
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「ありがとうございましたー」
最後のお客さんを見送った後、俺はグッと背伸びをして首を鳴らした。
「ふー、よしっと……今日も無事に終わったな」
あれから溝口さんに、魔法陣は剥がさない方がいいですよとお伝えした。
電話の向こうで「大丈夫です、私そういうの平気なので」と、笑っていたので、俺は「そうですか」とだけ返して通話を切った。
たぶん、もう彼女に会うことはない。
少し寂しいような気もするが、縁があればまたどこかで会うはずだ。
そんなDT臭いことを考えつつ、外看板の電気を落として閉店作業を始める。
売り上げの締め計算をしていると、誰かが入って来る音が聞こえた。
――あれ、鍵閉めるの忘れたかな?
「すみません、今日は閉店して……」
入り口に行くと、そこには紛れもない女子高生が立っていた。
うわ……JKだJK。
どうしよう、言葉通じるかな。
「あの、本当すみませんね、今日はもう終わったんですよー」
女子高生は俺の言葉など聞こえていないかのように、キョロキョロと周りを見た。
ていうかこの子……めっちゃくちゃ可愛いな。
それに天性の魔性感をお持ちのようだ。
関わると人生詰みそうなタイプにしか見えない……。
「あの、何か……?」
「シルフィ様は?」
「え……」
またアイツがらみか……。
何でこう次から次へとやって来るんだ?
しかも、俺のバイト先に。
「お兄さん、聞こえてます?」
俺の顔を覗き込む女子高生。
不覚にもドキッとして顔が熱くなってしまった。
は、恥ずかしい……こんな年下の女の子相手に……。
「き、聞こえてます! シルフィなら、家に居ますけど……」
「じゃあ、ここで待ってるんで」
「は?」
女子高生は「はぁ……」とため息をつき、俺のエプロンをぐいっと引っ張った。
え、何!? パーソナルスペースとか無いタイプ!?
か、顔、近い⁉ 吐息のかかる距離なんだが⁉
睫毛ながっ! 色、白っ⁉
「ここでお兄さんがお仕事終わるの待ってるんでお仕事が終わったら申し訳ありませんが家に案内してもらってもいいですかって、ここまで言わないとわかりません?」
「いえ、わかります……」
パッと手を離し、俺のエプロンの皺を手で伸ばしてニコっと口角を上げる。
「ご理解ありがとうございます、早く終わらせてくださいね」
「りょ、了解しました!」
俺はいそいそと締め作業に戻る。
電卓を打ちながらチラチラとJKを確認した。
彼女は棚から手に取った文庫本を開き、少し顔を斜めにしながら黒いショートボブの髪を耳に掛けている。まるで映画のワンシーンのような光景だ。
やはり美少女×古書店の組み合わせは最強かよ……。
いや、そんなことを考えている場合じゃない! 何なんだあのJKは⁉
また面倒にならなければいいが……。
* * *
仕事を終え、店のシャッターを閉める。
「さ、行きましょう」
「あ、うん」
並んで商店街を歩いているとかなり目立つ。
シルフィの時以上に、男共の下心を隠さぬ視線が凄い。
JKブランドのせいか?
いや、やっぱりこの子自体に、何か得体の知れない色香があるのだ。
見ているとこう……体の芯から掻き立てられるような衝動にかられそうになる。
一体、何者なんだ……?
井の頭線に乗り、下北沢で降りる。
もう時間も遅いし、制服姿のJKと歩くのは怖いな。
職務質問とかされたらどうするよ。
大体、名前も知らないし、何て説明すればいいんだ?
「そういや、名前聞いてなかったね、俺は森田って言うんだけど」
「森田……普通ですね」
「まあ、自分でもありふれた名前だとは思う」
「ワタシは黎 理子です。香港から日本に来たばかりです」
「香港⁉ そうなんだ……。えっと、リーちゃんで良い?」
「リーでも理子でも、お好きなように」
「あ、じゃあ、リー……」
そう言いかけると、急に言葉を遮られた。
「でも……森田になら理子って呼び捨てにして欲しいかな」
――我心臓大爆発不可避恋疑芽生⁉
「な……」
狼狽える俺の手を取り、ぐっと顔を近づけてくる。
ちょ⁉ 公衆の面前ですが⁉
「ほら、理子って言ってみ? ん?」
耳元で甘えたように言われる。
「ちょ……」
「ほら、早く!」
今度は急に怒ったような口調になった。
「リ、理子……」
「よくできたね~森田、偉い偉い」
何故か頭を撫でられる俺。
こ、これは何プレイ? てか、周りの冷たい目が怖い!
やはりシルフィの知り合いだけあって、こいつも変態の部類かっ!
ひ、ひとまずこの場を離れないと……。
「ほ、ほら急ごう、夜道は危ないからね」
「うん」
理子は至って平然と俺の隣を歩いている。
何だったんだ……ていうか満更でもなかったと思っている自分が怖い。
俺にこういう性癖はなかったはずなのに!
駅から離れるにつれ、段々と道は暗くなる。
街灯の数も減り、薄暗い住宅街の路地を二人で黙ったまま歩く。
薄明かりの中で見ると、理子はますますその色香を増している気が……。
沈黙に耐えかねた俺は理子に訊ねた。
「ほ、香港からどうして日本に来たの?」
「シルフィ様の近くに居たかったから」
シルフィのファン?
いや、そういう感じじゃないんだよなぁ。
「昔から知ってるの?」
「直接会ったことはないけど……出会いは三年前かな?」
「三年って……結構長いな」
「たかがゲームだけど、ワタシはシルフィ様を師と仰ぐことに決めたの」
ゲーム? そういやあいつオンゲにハマってたよな……。
「ゲームってもしかして……あのオンゲ?」
「そ、カオスロードオンラインね、ワタシはシルフィ様のギルド、奈落の牙で参謀長を務めるリリス。よろしくね~」
「よ、よろしく……」
JKらしからぬ妖艶な笑みを浮かべる理子……。
俺は言いようのない不安にかられていた。
最後のお客さんを見送った後、俺はグッと背伸びをして首を鳴らした。
「ふー、よしっと……今日も無事に終わったな」
あれから溝口さんに、魔法陣は剥がさない方がいいですよとお伝えした。
電話の向こうで「大丈夫です、私そういうの平気なので」と、笑っていたので、俺は「そうですか」とだけ返して通話を切った。
たぶん、もう彼女に会うことはない。
少し寂しいような気もするが、縁があればまたどこかで会うはずだ。
そんなDT臭いことを考えつつ、外看板の電気を落として閉店作業を始める。
売り上げの締め計算をしていると、誰かが入って来る音が聞こえた。
――あれ、鍵閉めるの忘れたかな?
「すみません、今日は閉店して……」
入り口に行くと、そこには紛れもない女子高生が立っていた。
うわ……JKだJK。
どうしよう、言葉通じるかな。
「あの、本当すみませんね、今日はもう終わったんですよー」
女子高生は俺の言葉など聞こえていないかのように、キョロキョロと周りを見た。
ていうかこの子……めっちゃくちゃ可愛いな。
それに天性の魔性感をお持ちのようだ。
関わると人生詰みそうなタイプにしか見えない……。
「あの、何か……?」
「シルフィ様は?」
「え……」
またアイツがらみか……。
何でこう次から次へとやって来るんだ?
しかも、俺のバイト先に。
「お兄さん、聞こえてます?」
俺の顔を覗き込む女子高生。
不覚にもドキッとして顔が熱くなってしまった。
は、恥ずかしい……こんな年下の女の子相手に……。
「き、聞こえてます! シルフィなら、家に居ますけど……」
「じゃあ、ここで待ってるんで」
「は?」
女子高生は「はぁ……」とため息をつき、俺のエプロンをぐいっと引っ張った。
え、何!? パーソナルスペースとか無いタイプ!?
か、顔、近い⁉ 吐息のかかる距離なんだが⁉
睫毛ながっ! 色、白っ⁉
「ここでお兄さんがお仕事終わるの待ってるんでお仕事が終わったら申し訳ありませんが家に案内してもらってもいいですかって、ここまで言わないとわかりません?」
「いえ、わかります……」
パッと手を離し、俺のエプロンの皺を手で伸ばしてニコっと口角を上げる。
「ご理解ありがとうございます、早く終わらせてくださいね」
「りょ、了解しました!」
俺はいそいそと締め作業に戻る。
電卓を打ちながらチラチラとJKを確認した。
彼女は棚から手に取った文庫本を開き、少し顔を斜めにしながら黒いショートボブの髪を耳に掛けている。まるで映画のワンシーンのような光景だ。
やはり美少女×古書店の組み合わせは最強かよ……。
いや、そんなことを考えている場合じゃない! 何なんだあのJKは⁉
また面倒にならなければいいが……。
* * *
仕事を終え、店のシャッターを閉める。
「さ、行きましょう」
「あ、うん」
並んで商店街を歩いているとかなり目立つ。
シルフィの時以上に、男共の下心を隠さぬ視線が凄い。
JKブランドのせいか?
いや、やっぱりこの子自体に、何か得体の知れない色香があるのだ。
見ているとこう……体の芯から掻き立てられるような衝動にかられそうになる。
一体、何者なんだ……?
井の頭線に乗り、下北沢で降りる。
もう時間も遅いし、制服姿のJKと歩くのは怖いな。
職務質問とかされたらどうするよ。
大体、名前も知らないし、何て説明すればいいんだ?
「そういや、名前聞いてなかったね、俺は森田って言うんだけど」
「森田……普通ですね」
「まあ、自分でもありふれた名前だとは思う」
「ワタシは黎 理子です。香港から日本に来たばかりです」
「香港⁉ そうなんだ……。えっと、リーちゃんで良い?」
「リーでも理子でも、お好きなように」
「あ、じゃあ、リー……」
そう言いかけると、急に言葉を遮られた。
「でも……森田になら理子って呼び捨てにして欲しいかな」
――我心臓大爆発不可避恋疑芽生⁉
「な……」
狼狽える俺の手を取り、ぐっと顔を近づけてくる。
ちょ⁉ 公衆の面前ですが⁉
「ほら、理子って言ってみ? ん?」
耳元で甘えたように言われる。
「ちょ……」
「ほら、早く!」
今度は急に怒ったような口調になった。
「リ、理子……」
「よくできたね~森田、偉い偉い」
何故か頭を撫でられる俺。
こ、これは何プレイ? てか、周りの冷たい目が怖い!
やはりシルフィの知り合いだけあって、こいつも変態の部類かっ!
ひ、ひとまずこの場を離れないと……。
「ほ、ほら急ごう、夜道は危ないからね」
「うん」
理子は至って平然と俺の隣を歩いている。
何だったんだ……ていうか満更でもなかったと思っている自分が怖い。
俺にこういう性癖はなかったはずなのに!
駅から離れるにつれ、段々と道は暗くなる。
街灯の数も減り、薄暗い住宅街の路地を二人で黙ったまま歩く。
薄明かりの中で見ると、理子はますますその色香を増している気が……。
沈黙に耐えかねた俺は理子に訊ねた。
「ほ、香港からどうして日本に来たの?」
「シルフィ様の近くに居たかったから」
シルフィのファン?
いや、そういう感じじゃないんだよなぁ。
「昔から知ってるの?」
「直接会ったことはないけど……出会いは三年前かな?」
「三年って……結構長いな」
「たかがゲームだけど、ワタシはシルフィ様を師と仰ぐことに決めたの」
ゲーム? そういやあいつオンゲにハマってたよな……。
「ゲームってもしかして……あのオンゲ?」
「そ、カオスロードオンラインね、ワタシはシルフィ様のギルド、奈落の牙で参謀長を務めるリリス。よろしくね~」
「よ、よろしく……」
JKらしからぬ妖艶な笑みを浮かべる理子……。
俺は言いようのない不安にかられていた。
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