異世界ツアーしませんか?

ゑゐる

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001 召喚魔法は、万能です

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 マリトッツォが食べたいです。
 チョコレートが食べたいです。
 アニメが見たいです。
 ラノベが読みたいです。
 インターネットがしたいです・・・

 わたしはアンナ、16歳、高校生です。元高校生と言ったほうがいいかもしれません。
 現在、異世界で生活しています。おしゃれな服がないので、いまだに制服を着たままです。
 いま宿の客室でくつろいでいます。
 
 日本から異世界に来て1ヶ月が過ぎました。わたしは冒険者活動をしています。
 魔物を討伐・納品して、それなりにお金を稼ぎました。
 最初は楽しかった異世界生活でしたが、徐々に不満が溜まってきました。
 食べ物、娯楽、情報、買い物など。日本のものが恋しいです。
 魔法でどうにかできないしょうか。

 『召喚魔法は便利よ』

 女神様がそう言っていたことを思い出しました。
 召喚魔法で日本からお取り寄せが出来るかもしれません。やってみましょう。

     *

 場所は、私がいつも買い物をしていた100円コンビニ・・・
 商品は、マリトッツォ(いちごホイップ)、テーブルの上に・・・

アンナ「召喚」

 マリトッツォ・・・召喚成功です。

 わたしは、マリトッツォを食べました。美味しいです。
 久しぶりのスイーツです。
  
 あ、やってしまいました。これは万引きです。窃盗罪です。
 どうしましょう・・・お金・・・支払い・・・

 召喚魔法を逆に使って転移させれば、日本におカネを送金出来るはずです。
 
 わたしはアイテムボックスからスクールバッグを取り出します。
 バッグから、財布とノートを取り出しました。
 ノート1ページを切り取って、次のように書きました。



*    *    *                    
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  



 マリトッツォ(いちごホイップ)
 1個いただきました。

 お支払いします。お釣りは寄付します。

 すみません。

 
 アンナ



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
*    *    *



 110円とメモを、コンビニのレジ横に・・・

アンナ「転移」

 うまくいきました。これで日本からお取り寄せできます。

 ポロロ、ポロロ、ポロロ・・・
 ん? 電話?

 わたしはバッグからスマホを取り出しました。
 画面には、「女神ローラ」と表示されています。

ローラ「いま食べたの、何?」
アンナ「どこから、見てるんですか?」
ローラ「もちろん天界からよ。千里眼を使ったわ」
アンナ「のぞきは犯罪ですよ」
ローラ「そんなことより、いま何を食べたの?」
アンナ「マリトッツォです」
ローラ「えっ、まり、まりと、何? それって美味しいの?」
アンナ「美味しいですよ」
ローラ「私も食べたいわ」
アンナ「わかりました。ちょっと待ってください。一旦切りますよ」

 異世界なのに、電話が鳴るからびっくりしました。女神様の能力って、すごいです。

 さて、今度は複数の商品を召喚してみましょう。
 
 欲しいものは・・・

 マリトッツォ(いちごホイップ)、
 袋入りビターチョコ、2個入りメロンパン、ハートチップ○、
 ストレートティー1L、ミックスサンド、ウインナー弁当、

 すべてをロックオンして・・・

アンナ「召喚」

 成功です。商品はすべてアイテムボックスに入れます。
 先ほどと同様に、ノートを1ページ切り取って、商品名を記入、
 千円札を用意して・・・

アンナ「転移」

 お取り寄せが完了しました。
 わたしは、女神様に電話をします。
 番号はありませんが、名前は登録されています。

アンナ「準備できました。召喚してください」
ローラ「天界へ・・・召喚」

 わたしは天界に召喚されました。

 天界には白い宮殿と広い庭園があります。どちらも西洋風です。
 敷地の外は真っ白です。霧の包まれている感じです。
 わたしが立っているところは、庭園の東屋あずまやです。

ローラ「座って」

 わたしは着席して、スマホをテーブルの上に置きました。

アンナ「女神様・・・」
ローラ「ロ・ー・ラ」
アンナ「すみません。そう呼ぶ約束でしたね。ローラ。
    これがマリトッツォです」
アンナ「袋を開けますね。それと、冷たいお茶飲みますか?」
ローラ「冷たいお茶? 飲んでみたいわ」
アンナ「グラスをお願いできますか」
ローラ「ええ、いいわよ」

 わたしは用意された2個のグラスにストレートティーをそそぎました。
 ローラはマリトッツォを食べています。

ローラ「美味しい。これは日本のお菓子なの?」
アンナ「発祥はイタリアという国ですが、
    最近日本で流行っているそうです。お茶をどうぞ」
ローラ「このお茶、少し甘くて美味しい。冷たいお茶も悪くないわね」
アンナ「それから、これもどうぞ」

 わたしはアイテムボックスから、袋入りのチョコレートを取り出しました。

アンナ「あ、この収納魔法も召喚魔法の一種、ということですね」
ローラ「そういうことになるわね。それより、それは何?」
アンナ「チョコレートです。美味しいですよ」

 わたしは袋を開けて、ひとつかみのチョコレートをローラに差し出しました。

ローラ「いい香り」

 ぱくっ。

ローラ「美味しい。甘くて口の中でとろけるわ」

ローラ「いいわね、地球の人は。こんなに美味しいものを食べられて」
アンナ「ローラも召喚魔法が使えるから、欲しいものは日本から
    召喚できますよね。支払いは・・・金貨にするとか」

 現在、地球ではきんの相場価格がプラチナの2倍以上です。
 でも換金に手間がかかるので、お店の人には申し訳ないです。

ローラ「それはできないわ。地球は私の管轄ではないから、
    ネモウス様に怒られてしまうわ」
アンナ「ねもうす様って・・・誰ですか?」
ローラ「地球の神様だけど・・・知らないの?」
アンナ「聞いたことがあるような・・・
    ネモウス様・・・覚えておきましょう」
 
 わたしはなんとなくスマホを見つめて、あることに気付きました。

アンナ「さっきの通話・・・」
ローラ「どうしたの?」
アンナ「あの通話、音声信号の召喚ですか?」
ローラ「そうよ」
アンナ「だとしたら、デジタル信号も・・・」

 わたしは、スマホのブラウザを立ち上げます。
 ヤッホーニュースの情報を・・・

アンナ「召喚」

 出ました。最新のニュースです。インターネットが繋がりました。

 召喚魔法は魔物を召喚するだけの魔法だと思っていましたが、
 認識を改める必要がありますね。



 召喚魔法は、万能です。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

*後書き*

設定は2020年です。

ローラの年齢は?歳です。
見た目はアンナと同じ16歳、金髪、碧眼へきがんです。
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