異世界ツアーしませんか?

ゑゐる

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158 恐竜ツアー3日目です 7

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 ここは、ショニサウルスがいた海から離れた別の近海です。私たちはその上空にいます。

中村 「また海だ」

 わたしはMTVの光学迷彩を解除しました。

アンナ「撮影を開始してください。来ますよ。下からです」

 私たちは撮影を開始します。そして・・・

 バシャー・・・

三人 「うわー・・・」

 大きな生き物が海中から飛び出して、大きな口を開けます。

 ザッパーン・・・

 海中に戻って行きました。映画へのオマージュです。

西川 「サメじゃない」
中村 「モササウルスか・・・アンナ、追え」
アンナ「はい」

 わたしはMTVに光学迷彩をかけて、海中に潜航しました。追跡します。
 見えてきました。

吉田 「会長、あれがモササウルスですか?」
中村 「そうだ。間違いない」
西川 「すごい、本物・・・僕、映画で見ました」
中村 「俺も見た・・・本物だ。すごいぜ」
吉田 「会長、私も映画見ました」
中村 「そうか。吉田も見たか」

 モササウルスは全長16m、全身が濃い灰色で腹部が白っぽいです。
 ワニのような頭部、鋭い歯、円筒形の胴体、サメのような尾ビレが特徴です。
 恐竜ではなく、大型の海生爬虫類です。
 ちなみに『モサ』とは、化石発見場所の近くを流れる、川の名前に由来するそうです。
 日本人のわたしとしては、『猛者もさサウルス』のほうがしっくりきますね。

 三人は映画で見たモササウルスを間近にして大興奮です。

西川 「図鑑のイラストより、尾ビレが大きい」
中村 「上下を逆さまにすれば、サメの尾ビレそっくりだ。
    泳ぎ方もサメに似てる」
吉田 「会長、モササウルス、かっこいいですね」
中村 「吉田もそう思うか・・・こいつはマジでやばいぜ」
西川 「頭はワニ、尻尾はサメ、やばいです」
中村 「まさに化け物だ」

 モササウルスは、浅いところまでやって来ました。うっすら砂地の海底が見えます。

 目の前に直径50cmのアンモナイトが浮かんでいます。
 モササウルスが近づきました。

 ガブッ、バリッ。

 モササウルスは、アンモナイトの殻をくだき、丸呑まるのみにしました。

中村 「丸呑みかよ」
西川 「すごい」
中村 「豪快だな」

吉田 「か、会長、一緒に写真撮りましょう」
中村 「おう、撮るか」
西川 「吉田さん、僕も」
アンナ「三人で撮りましょう」

 三人が集合しました。吉田さんが真ん中です・・・ん?

アンナ「撮ります」

 カシャ。

アンナ「はい、OKです」

     *

 何となく気が付いていましたが、ようやくわかりました。三人の関係が。

 西川さんは、吉田さんが好き。

 吉田さんは、中村さんが好き。

 そして、中村さんは・・・・・・・・・・・・恐竜が好き。

 そういうことですね。

     *

中村 「アンナ、次を案内してくれ」
アンナ「はい。その前に興奮してちょっと疲れましたよね。
    おやつにしませんか?」
中村 「そうだな。そうするか」
吉田 「はい」
西川 「おやつ、いいですね」

 わたしはMTVの迷彩を解除して、海上に浮上しました。

アンナ「移動します・・・転移」


*    *    *


 ここは、山の中腹です。

 ふもとには熱帯雨林の密林が広がっています。とても見晴らしの良いところです。
 私たちはMTVを降りました。

吉田 「きれい」

 わたしは平らな場所に天幕やトイレなどを出しました。
 そしてアイテムボックスからケーキとティーセットを出します。
 

     *


 今日のおやつは、イギリスのヴィクトリア・スポンジケーキとロイヤルミルクティーです。

ヴィクトリア・スポンジケーキ作り方
 小麦粉、砂糖、バター、玉子を同じ分量で生地を作ります。
 円形の型を二つ用意して生地を流し込み、オーブンで焼きます。
 焼き上がったスポンジの片方にラズベリージャムとバタークリームを塗ります。
 もう片方のスポンジを上にのせて粉砂糖をかければ完成です。

 今回はイギリス王室のロイヤルレシピを参考に作りました。
 イギリスの一般的な家庭で作る伝統的なレシピはバタークリームを使わず、ジャムだけで作るそうです。
 
アンナ「お茶にしましょう・・・いただきます」
三人 「いただきます」

 ぱくっ。

吉田 「このお茶、いい香り」
中村 「ケーキうまいな」
西川 「はい。食べ応えがあります」

 わたしはケーキの説明をしました。
 今日のおやつは、ふわふわスポンジと生クリームで作る今時のケーキではありません。あえて伝統的なレシピで作りました。
 ベーキングパウダーも使っていない、ずっしりとした素朴なケーキです。
 コンビニスイーツを食べ慣れている人には、逆に新鮮な味かもしれませんね。

吉田 「パウンドケーキみたいで美味しい。このジャムも好き」
西川 「そうか、これパウンドケーキの味だ」
中村 「こういうケーキもいいな」

 素朴なケーキ、それと相性のいいミルクティー。眺めのいい景色。
 恐竜ツアーの合間にのんびりするのもいいですね。

中村 「アンナ、おかわりくれ」
西川 「僕も」
アンナ「はい」

     *

 おやつが終わりました。

 わたしは食器類と天幕などを片付けました。皆さん、トイレも済んでいます。
 私たちはMTVに乗り込みました。

西川 「吉田さん、ケーキ美味しかったね」
吉田 「うん。美味しかった」

 すっかり忘れていました。
 この三人の関係は、この先どうなるのでしょうか。
 今日はツアーの最終日です。時間も残り少ないです。
 わたしが心配しても仕方がないですね。なるようにしかなりません。

アンナ「それでは出発します・・・転移」



 私たちは次の場所に移動しました。
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