異世界ツアーしませんか?

ゑゐる

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193 修学旅行初日です 1

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 ここは飛行島、コテージの前にいます。
 陽子さんとマオも一緒です。

 異世界修学旅行当日の朝、時間は5時55分です。

 わたしと陽子さんは制服を新調しました。
 今回のツアー客は同年代の高校生です。ツアーガイドのわたしが高校の制服ではおかしいので、日本からお取り寄せしました。
 白のブラウス、ピンクのリボン、黒のスカート、グレーのベスト、グレーのミニハット、白手袋です。
 手には、Aの文字が入った赤い旗を持っています。
 この旗は魔道具になっていて、手を放しても浮かんでいます。
 陽子さんも同じ制服です。持っているのは、Bの文字、青い旗です。
 メイド服以外の陽子さんを初めて見ました。ちょっとコスプレっぽいですが気にしたら負けです。

 今わたしは、千里眼で高校の様子を見ています。
 修学旅行は人数が多いため3回に分けて実施します。今回はA組31人とB組30人です。
 校庭には、61人の生徒が並んでいます。全員そろっています。
 教師はA組担任の志村健一先生(30歳)、B組担任の高木風花ふうか先生(28歳)、
 A組とB組の副担任をしている加藤千晶先生(24歳)の三名です。

 離れたところに大人の男性二人がいます。
 おそらく校長と教頭だと思います。見送りですね。

     *

 6時になりました。

アンナ「召喚」

 生徒と教師を召喚しました。

アンナ「ようこそ、異世界へ。
    わたしは異世界ツアーガイドのアンナと申します。
    皆さんを異世界へご案内します」

生徒達「おおお・・・」
男子 「すげえ」
女子 「本当に異世界?」
高木 「驚きました・・・」

志村 「アンナさん、紹介します。B組担任の高木先生です」
高木 「高木風花です。よろしくお願いします」
アンナ「アンナです。よろしくお願いします。
    彼女は妹の陽子です」
陽子 「陽子です。よろしくお願いします」


アンナ「前回と同様に検疫から始めます」
志村 「はい」
加藤 「みんな静かにしてねー」

 生徒と教師にロックオン・・・

アンナ「クリーン・・・鑑定」

 A組に二人、B組に一人の感染者がいました。
 三人とも、すでに抗体が出来ており、ウイルスは少ないです。自覚症状はないでしょう。

アンナ「三人の生徒がウイルスに感染しています。
    これから魔法で治療を行います」
志村 「はい」

 わたしは密封されたガラスの小瓶を出しました。

アンナ「転移」

 ウイルスはガラスの小瓶に転移、熱処理をして終了です。

アンナ「検疫は終了しました。皆さん問題ありません。
    マスクを外してください」

志村 「よかった」
加藤 「ひと安心ですね」

アンナ「ツアー代金のお支払い、よろしいですか?」

 志村先生が四角い紙の包みを出しました。
 わたしは受け取り、鑑定しました。

 代金15万円の64人分、合計960万円です。
 2泊3日分なので、日給は320万円です。なんだか恐ろしいですね。
 すぐにアイテムボックスに収納しました。

アンナ「鑑定魔法で960万円を確認しました。
    これが領収証です」

 わたしは、明細を記入した手書きの領収証を志村先生に渡します。
 収入印紙はありません。異世界で発行した領収証が日本で有効とは思えません。
 先生の話では、体裁を整えるためだそうです。

     *

アンナ「それでは魔道具を配ります」
志村 「はい」
加藤 「魔道具を配るので、班長は前に出て来て」

 8人の班長が前に出て来ました。腕には「班長」の腕章を着けています。
 ひとクラス4班で、ひとつの班は7~8人です。
 わたしは班長に人数分の魔道具配ります。先生にも配りました。

 魔道具が全員に行き渡り、その場で説明をします。
 今回の魔道具は、攻撃魔法と鑑定魔法が使用できないようにロックしてあります。
 先生の魔道具は通信機能がついています。
 それ以外は今までの魔道具と同じです。
 アイテムボックスには、飲み物と軽食が入っていますが、ルームウエアーとルームシューズはありません。
 体操服と上履きは持参してもらいました。

 早速皆さん魔道具を使っています。スクールバッグを収納したり、クリーン魔法を使ったり・・・
 後ろの方では男子がガチの殴り合いをしています。
 防御魔法の結界があるので、痛くもかゆくもありません。

アンナ「朝食にしましょう」

 芝生の上には、テーブルとイスをすでに用意してあります。
 各テーブルの頭上にはマジックミラーの結界が張ってあります。
 日除けですが、空が見えるので圧迫感がありません。
 離れたところに男子トイレを4個、間隔をあけて女子トイレを8個、用意しました。

アンナ「皆さん、座ってください」

アンナ「陽子さんはB組の朝食を出してください」
陽子 「はい」

 生徒が着席したので朝食を出します。

 朝食はジョージア料理、ハチャプリとマツォーニです。

ハチャプリ
 楕円だえん形のパン生地の上にチーズ、ハム、玉子をのせて、オーブンで焼いたものです。
 トルコのピデに似ています。ジョージアでは定番の朝食です。

マツォーニ
 ヨーグルトのような発酵乳製品です。酸味が少なく滑らかで粘りがあります。カスピ海ヨーグルトの元祖です。
 今回は、刻んだチュルチヘラをトッピングしました。
 チュルチヘラとは、ぶどう果汁、デンプン、ナッツで作るグミのようなお菓子です。

     *

アンナ「パンは焼きたてなので熱いです。飲み物は各自出してください」

アンナ「いただきます」
生徒達「いただきます」

 わたしと陽子さんは、先生と同じテーブルです。
 マオはキャットフードを食べています。
 わたしはA組とB組の生徒に料理の説明をしました。

 ハチャプリは少し大きめです。ハムとチーズはたっぷり、玉子は2個です。食べ応えがあります。

女子 「食べきれるかな」
女子 「食べきれなかったらアイテムボックスに入れて、
    後でたべれば?」
女子 「そうか」

     *

 わたしは朝食を半分食べて、残りをアイテムボックスに収納しました。
 そしてカメラで生徒達の写真を何枚か撮影しました。

アンナ「すみません。席をはずします。15分ほどで戻ります」
志村 「はい」
アンナ「転移」

     *

 わたしはコテージの玄関ホールに転移しました。
 おカネが足りず、買えなかったものをお取り寄せします。

アンナ「召喚」

 一眼レフカメラ、レンズ、メモリーカードなどを購入しました。
 メモとおカネを送金します。

アンナ「転移」

 カメラなどは箱から取り出して、すぐに使えるようにしました。空き箱は収納します。
 このカメラは陽子さんが使うものです。
 今回はツアー客が多いので、陽子さんには、B組の撮影をしてもらう予定です。
 撮影の仕方は事前に教えてあります。そのため同じ機種のカメラを買いました。

 生徒達のところに戻りましょう。



アンナ「転移」
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