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ハジメテの出会い
その後、二人はどうなった?
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何だかんだで、出すものを出してスッキリして賢者タイムを迎えた俺は、己の行為を存分に後悔した。
「拒めないことをいいことに、あんなことやこんなことを強制するなんて、俺はなんて最低な男なのだろう……」
あまりの鬼畜っぷりに死にたくなる。こんな男、豆腐の角で頭を打って死んでしまえばいいのだ。
ところでこの世界にも豆腐は存在するのだろうか?
「ヨウ様……大丈夫ですか? ご気分が悪いのですか?」
「いや、身体的には何の問題はないんだけれど! 己の良心のちっぽけさに嘆いているというか、何というか」
——だが、出会った当初は絶望的に光を失っていた彼女の表情が明るくなっているのを見て、少しだけ救われた気分になった。
少なくても悪いことばかりではなかったようだ。
「……あの、ヨウ様。もしよろしければ……貴方様の側に置いて頂けませんか?」
「俺の側に?」
「私はこの世界を破滅に追い込もうとした反逆者。きっと他の者に見つかってしまえば、捕えられて拷問の日々が始まると思います。今まではそれでも良かったのですが、その……」
彼女は俺の服の裾を掴んで、キュッと唇を噛み締めた。
「ヨウ様がいけないんですよ……? 私にこんな——気持ちのいいことを教えるから」
だぁぁぁぁぁ! 何だ、この破壊力!
ヤンデレのデレってコレだろう?
あまりにも可愛過ぎるデレを見せられ、俺に選択権はなかった。
とはいえ、問題は山積みだ。
人目を避けて生活するには、自給自足の基盤を作らないくてはならない。そして最低限の生活基盤も同様だ。
「なぁ、アリアさん。この世界には魔法とか存在しないのかな?」
「魔法ですか? それなら【status】と唱えてから目の前に浮かんだ言葉を口にして下さい。それで魔法が唱えられると思います」
ふむ、思ったよりも親切設定で助かった。ちなみにアリアさんの魔法は水魔法。これで水源の確保はクリアできた。
そして俺の魔法は……
【 修復・促進魔法 】
「修復・促進魔法? 回復なのか?」
「初めて聞く魔法ですね。試しに唱えてみますか?」
俺は手をかざし、詠唱を唱えた。手のひらが温かくなり、空気が揺れた。不思議な感覚が伝わってくるのが分かる。
しかもその後、驚くことにアリアさんが纏っていたボロボロの服が、新品同様に綺麗に修繕されたではないか。
それだけではない。彼女の肌に刻まれていた無数の傷も、綺麗に治り赤ん坊のような柔肌へと戻ったのだ。
「うそ、こんな奇跡が起きるなんて……! これではまるで、伝記に記されていた聖女の大魔法のようだわ!」
羨望の眼差しが痛い! そんなに見つめられても、俺は何も知らないし!
だが、聖女は他にもいるのだろう?
俺がいなくても問題ないはずだ。
そう、アリアさんを迫害し、皇太子の妃の座を射止めた悪名高い聖女様が君臨しているのだ。
こんなに儚く尊いアリアさんを虐げた世界がどうなろうと俺達には関係ない。
俺は彼女さえ守れればいいのだ。
「そんなのダメです! この聖なる力は皆の為に使わなくては!」
「いーや、俺は決めたんです。アリアさん、貴女を愛でて愛でて愛でまくると!」
こうして俺たちは、廃屋同然だった砦を修復し、二人きりの生活を始めたのであった。
———……★ ハジメテの出会い終了
お読み頂きありがとうございます!
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「拒めないことをいいことに、あんなことやこんなことを強制するなんて、俺はなんて最低な男なのだろう……」
あまりの鬼畜っぷりに死にたくなる。こんな男、豆腐の角で頭を打って死んでしまえばいいのだ。
ところでこの世界にも豆腐は存在するのだろうか?
「ヨウ様……大丈夫ですか? ご気分が悪いのですか?」
「いや、身体的には何の問題はないんだけれど! 己の良心のちっぽけさに嘆いているというか、何というか」
——だが、出会った当初は絶望的に光を失っていた彼女の表情が明るくなっているのを見て、少しだけ救われた気分になった。
少なくても悪いことばかりではなかったようだ。
「……あの、ヨウ様。もしよろしければ……貴方様の側に置いて頂けませんか?」
「俺の側に?」
「私はこの世界を破滅に追い込もうとした反逆者。きっと他の者に見つかってしまえば、捕えられて拷問の日々が始まると思います。今まではそれでも良かったのですが、その……」
彼女は俺の服の裾を掴んで、キュッと唇を噛み締めた。
「ヨウ様がいけないんですよ……? 私にこんな——気持ちのいいことを教えるから」
だぁぁぁぁぁ! 何だ、この破壊力!
ヤンデレのデレってコレだろう?
あまりにも可愛過ぎるデレを見せられ、俺に選択権はなかった。
とはいえ、問題は山積みだ。
人目を避けて生活するには、自給自足の基盤を作らないくてはならない。そして最低限の生活基盤も同様だ。
「なぁ、アリアさん。この世界には魔法とか存在しないのかな?」
「魔法ですか? それなら【status】と唱えてから目の前に浮かんだ言葉を口にして下さい。それで魔法が唱えられると思います」
ふむ、思ったよりも親切設定で助かった。ちなみにアリアさんの魔法は水魔法。これで水源の確保はクリアできた。
そして俺の魔法は……
【 修復・促進魔法 】
「修復・促進魔法? 回復なのか?」
「初めて聞く魔法ですね。試しに唱えてみますか?」
俺は手をかざし、詠唱を唱えた。手のひらが温かくなり、空気が揺れた。不思議な感覚が伝わってくるのが分かる。
しかもその後、驚くことにアリアさんが纏っていたボロボロの服が、新品同様に綺麗に修繕されたではないか。
それだけではない。彼女の肌に刻まれていた無数の傷も、綺麗に治り赤ん坊のような柔肌へと戻ったのだ。
「うそ、こんな奇跡が起きるなんて……! これではまるで、伝記に記されていた聖女の大魔法のようだわ!」
羨望の眼差しが痛い! そんなに見つめられても、俺は何も知らないし!
だが、聖女は他にもいるのだろう?
俺がいなくても問題ないはずだ。
そう、アリアさんを迫害し、皇太子の妃の座を射止めた悪名高い聖女様が君臨しているのだ。
こんなに儚く尊いアリアさんを虐げた世界がどうなろうと俺達には関係ない。
俺は彼女さえ守れればいいのだ。
「そんなのダメです! この聖なる力は皆の為に使わなくては!」
「いーや、俺は決めたんです。アリアさん、貴女を愛でて愛でて愛でまくると!」
こうして俺たちは、廃屋同然だった砦を修復し、二人きりの生活を始めたのであった。
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