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2章 婚約と新たな火種
デート
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マリア王女の服が買い終わったためにこれからが俺たちの自由時間となるそうだ。
時間制限は1時間と短いが、それでも自由な時間があるのはマリア王女も嬉しいようで少し前から機嫌がいい。
「近衛騎士の言うことはよく聞いて、私の目の届く範囲にいなさいね。」
「「はーい」」
自由時間に遊べる場所は商業区の商店街の場所だった。
人通りは昼間のためか人が少なく、脇道さえ入らなけばほとんど一直線のため目が届きやすい。
カナリア王妃様がついてくればいいと思ったけど、出ていったら大騒ぎになるのは考えればわかることだ。
そのため、カナリア王妃は馬車の中からマリア王女を見守ることになっている。
「それじゃ行ってらっしゃい」
「アーマン君、早く行こ。時間が短いから急がないと」
「急ぐと危ないですよ。それに近衛騎士たちのいうことを聞かないと」
近衛騎士達は今回前方以外の三方向を囲むようにして護衛をしている。
前に近衛騎士がいないのは自分たちが小さいため立つと前が見えなくなってしまうためだ。
「マリア王女様。カナリア王妃様も見ているため後でお叱りを受けても私たちは知りませんからね。」
近衛騎士の一人がそう言うと、マリア王女は馬車から出て最初に行こうとしていた屋台に走うと思った足を、ピタッと止めた。
カナリア王妃様に怒られるのはよほど怖いのか、歩きよりは早いが、走るほど早くもないペースで気になっていた屋台の方に一緒に歩いていった。
「あそこの肉を焼いてるやつ私食べたい!」
「一人一本は多いので二人で分けて食べましょうか」
「うん!」
そして目的の屋台につくと顔に傷がついている怖そうなおじさんがニコニコしながら「いらっしゃい!」と言ってきた。
「ひっ」
人見知りなマリア王女は案の定俺の後ろに隠れてしまった。
「すみません。ちょっと人見知りな子でして。悪く思わないでください。」
「ガハハハハハ。気にするな。こんな顔だと初めて見た奴らならだれでも、お嬢ちゃんみたいに怖がるさ。むしろボウズが怖がらないことの方が感心したぜ。」
「そんなことないです。あ、その串焼き1本ください。」
「おう。50ウォルだ。」
俺は事前にカナリア王妃様から渡されていたカードみたいのを渡した。
この世界に来てから一番驚いたのはお金についてだ。
この国では硬貨がほとんど使われておらず、地球にもあった電子マネーみたいなものを使い、ものを売り買いしていた。
ちなみにこの技術は人類の住んでいる大陸ならどこでも共通で使える。ただし、まだ捕まっていない犯罪者や裏の組織などは使うとバレるため硬貨でやりとりされているらしい。
「あいよ」
カードを変な形をした魔道具に差し込みすぐに返してきた。
「おじさんの名前はなんて言うんですか。それと焼いてる肉はなんの肉なんですか?」
「俺か。俺の名前はダザンだ。今後ともよろしくな。この焼いている肉はオークの肉だ。魔物のランクで言えば下の中くらいだな。」
そう言ってオークの串焼きを渡してきた。
「ありがとうございます。また来ますね」
「おう。じゃあな」
挨拶を済ませると近くにあったベンチに座りマリア王女に串焼きを渡した。
「どうぞ。焼きたてなので火傷しないようにしてくださいね」
「アーマン君ありがとね」
マリア王女はお礼を行ってくるとオークの串焼き肉にかぶりついた。
「美味しい~」
マリア王女はオーク肉は食べるのが初めてなのかとても美味しそうに食べていた。
「僕にもひと口ください」
そう言って串をもらおうとすると、
「私があげる!アーマン君あーんして」
「いえ、自分で」
「あーんして」
「じぶん」
「あーんして」
「はい……」
結局あーんをしオーク肉を食べた。オーク肉はとても美味しかった。
食べ物の表現などなんて言えばいいのか分からないが肉汁がかんだ瞬間に溢れ出て塩コショウと合わさってやみつきになる味だった。
それから二人はほかの屋台を回って買い食いをしたり、日常品売り場に入ってどんな物が売ってるのかを見て回った。
店の中に入るのは許可が出ていたためなんの問題もなく見舞われた。
王都内をじっくり見回ると言うのはマリア王女も俺も初めてなので、とても楽しい1時間を過ごすことが出来た。
1時間がたったと近衛騎士から伝えられるとマリア王女は疲れていたのか素直に馬車の方に戻っていき、中に入って少しすると眠ってしまった。
「アーマン君。楽しかったですか」
「はい。屋台のご飯も美味しくて、日常に使われている魔道具も初めてのものばかりで、とても楽しかったです。」
「それは良かったですね。」
「マリア王女にこれを渡しておいてもらえますか?」
そう言って取り出したのはマリア王女が欲しそうに見ていたピンク色の花の髪留めだ。
「直接渡さなくてよいのですか」
「渡そうと思いましたが、タイミングが無かったので。それに直接渡すのは恥しいので」
「分かりました。では私からマリアに渡しておきますね」
「お願いします」
そう伝えると俺も疲れていたのかそのまま寝てしまった。
時間制限は1時間と短いが、それでも自由な時間があるのはマリア王女も嬉しいようで少し前から機嫌がいい。
「近衛騎士の言うことはよく聞いて、私の目の届く範囲にいなさいね。」
「「はーい」」
自由時間に遊べる場所は商業区の商店街の場所だった。
人通りは昼間のためか人が少なく、脇道さえ入らなけばほとんど一直線のため目が届きやすい。
カナリア王妃様がついてくればいいと思ったけど、出ていったら大騒ぎになるのは考えればわかることだ。
そのため、カナリア王妃は馬車の中からマリア王女を見守ることになっている。
「それじゃ行ってらっしゃい」
「アーマン君、早く行こ。時間が短いから急がないと」
「急ぐと危ないですよ。それに近衛騎士たちのいうことを聞かないと」
近衛騎士達は今回前方以外の三方向を囲むようにして護衛をしている。
前に近衛騎士がいないのは自分たちが小さいため立つと前が見えなくなってしまうためだ。
「マリア王女様。カナリア王妃様も見ているため後でお叱りを受けても私たちは知りませんからね。」
近衛騎士の一人がそう言うと、マリア王女は馬車から出て最初に行こうとしていた屋台に走うと思った足を、ピタッと止めた。
カナリア王妃様に怒られるのはよほど怖いのか、歩きよりは早いが、走るほど早くもないペースで気になっていた屋台の方に一緒に歩いていった。
「あそこの肉を焼いてるやつ私食べたい!」
「一人一本は多いので二人で分けて食べましょうか」
「うん!」
そして目的の屋台につくと顔に傷がついている怖そうなおじさんがニコニコしながら「いらっしゃい!」と言ってきた。
「ひっ」
人見知りなマリア王女は案の定俺の後ろに隠れてしまった。
「すみません。ちょっと人見知りな子でして。悪く思わないでください。」
「ガハハハハハ。気にするな。こんな顔だと初めて見た奴らならだれでも、お嬢ちゃんみたいに怖がるさ。むしろボウズが怖がらないことの方が感心したぜ。」
「そんなことないです。あ、その串焼き1本ください。」
「おう。50ウォルだ。」
俺は事前にカナリア王妃様から渡されていたカードみたいのを渡した。
この世界に来てから一番驚いたのはお金についてだ。
この国では硬貨がほとんど使われておらず、地球にもあった電子マネーみたいなものを使い、ものを売り買いしていた。
ちなみにこの技術は人類の住んでいる大陸ならどこでも共通で使える。ただし、まだ捕まっていない犯罪者や裏の組織などは使うとバレるため硬貨でやりとりされているらしい。
「あいよ」
カードを変な形をした魔道具に差し込みすぐに返してきた。
「おじさんの名前はなんて言うんですか。それと焼いてる肉はなんの肉なんですか?」
「俺か。俺の名前はダザンだ。今後ともよろしくな。この焼いている肉はオークの肉だ。魔物のランクで言えば下の中くらいだな。」
そう言ってオークの串焼きを渡してきた。
「ありがとうございます。また来ますね」
「おう。じゃあな」
挨拶を済ませると近くにあったベンチに座りマリア王女に串焼きを渡した。
「どうぞ。焼きたてなので火傷しないようにしてくださいね」
「アーマン君ありがとね」
マリア王女はお礼を行ってくるとオークの串焼き肉にかぶりついた。
「美味しい~」
マリア王女はオーク肉は食べるのが初めてなのかとても美味しそうに食べていた。
「僕にもひと口ください」
そう言って串をもらおうとすると、
「私があげる!アーマン君あーんして」
「いえ、自分で」
「あーんして」
「じぶん」
「あーんして」
「はい……」
結局あーんをしオーク肉を食べた。オーク肉はとても美味しかった。
食べ物の表現などなんて言えばいいのか分からないが肉汁がかんだ瞬間に溢れ出て塩コショウと合わさってやみつきになる味だった。
それから二人はほかの屋台を回って買い食いをしたり、日常品売り場に入ってどんな物が売ってるのかを見て回った。
店の中に入るのは許可が出ていたためなんの問題もなく見舞われた。
王都内をじっくり見回ると言うのはマリア王女も俺も初めてなので、とても楽しい1時間を過ごすことが出来た。
1時間がたったと近衛騎士から伝えられるとマリア王女は疲れていたのか素直に馬車の方に戻っていき、中に入って少しすると眠ってしまった。
「アーマン君。楽しかったですか」
「はい。屋台のご飯も美味しくて、日常に使われている魔道具も初めてのものばかりで、とても楽しかったです。」
「それは良かったですね。」
「マリア王女にこれを渡しておいてもらえますか?」
そう言って取り出したのはマリア王女が欲しそうに見ていたピンク色の花の髪留めだ。
「直接渡さなくてよいのですか」
「渡そうと思いましたが、タイミングが無かったので。それに直接渡すのは恥しいので」
「分かりました。では私からマリアに渡しておきますね」
「お願いします」
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