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2章 婚約と新たな火種

休憩時間

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「アーマンよく頑張ったな」

「アーくんちゃんと出来てて良かったわよ!」

 待機部屋に戻ると、さっきまで別の場所で見ていたお父さんとお母さんが部屋の中にいた。

 アルバーン国王陛下とアイズ教皇も入ってきてそれぞれ褒めてくれた。

「アーマン公爵、堂々としていて良かったぞ」

「うむ。アルバーン国王の言う通り、大人数の人を前にあそこまで堂々としていたのは見事じゃった」

「アイズ教皇、アルバーン国王陛下ありがとうございます」

 それぞれにお礼を言っていると、背中を指でつつかれたため後ろを向くとマリア王女が立っていた。

「アーマンくん、私の存在忘れてたでしょ」

 マリア王女のことを忘れてたと正直に言ったら、いじけるのが目に見えていたため誤魔化すことにした。

「僕がマリア王女のことを忘れるわけないですよ」

「本当かなぁ~」

 このままではまずいと思ったため、強引に話を変えることにした。

「お父さん! このあとのパーティーってどんなことするんですか」

「あ! やっぱり忘れてたんだ!」

 マリア王女の機嫌を悪くさせてしまった。

 お父さんはため息をつきながらフォローしてくれた。

「ほかの貴族達を招いて簡単な挨拶をするだけだ。今回は王族の人たちもいらっしゃるから悪目立ちするようなことはしてこないと思うぞ」

「気をつけることなどありますか」

「一般的な場合は、大きな声で話したり周りの貴族をバカにしたような発言をしない事だな」

「お主の場合、ムスメとのお花見や側室の話が来ると思うからそこで「はい」と返事はしないようにした方がいいぞ。一度言った言葉を取り消すのは大変だからな」

「側室にどうですかって聞かれた時などはどうすればいいんでしょうか」

「その場合はきっぱりと断った方がいいわ。考えておきますなんて曖昧な返事をしたら、もしかしたらって思われて毎日のように手紙が届くわよ」

「わかりました」

 毎日のように手紙が届くって怖すぎる。それだけ、貴族同士がした約束は重いのか……

「まぁ、よほど変な約束をしなければ大丈夫だ」

 会話が一区切りついたところで、アルバーン国王陛下が

「まだパーティーには少し時間があるから自分の部屋で休んでていいぞ」

 と言ってくれたため1人で部屋に戻ろうとした。

 お父さんとお母さんはアルバーン国王陛下とアイズ教皇と少し話をするため先に戻っていいと言われていたしな。

 そして1人で戻ろうとしたら右の腕を掴まれた。

 振り返るとマリア王女がニコニコしながらも起こっているオーラがやばかった。

「アーマンくんに大切なお話があるから一緒に戻ろうか」


「はい……」

 どうやら怒らせてはいけないのは、カナリア王妃譲りだったらしい。

 初めてマリア王女が怒ったところを、後ろにいた大人達は笑いを我慢しながら見ていた。

「アーマンくん早く行くよ」

「はい……」

 右腕をガッカリと捕まれ、そのまま部屋まで連行されて行った。

 部屋の中につくとマリア王女がすぐに質問してきた。

「もー! 私を忘れるなんて酷いよ!」

「はい……」

「お父様が創造神様の加護を話してる時も、ずっと後ろでアーマンくんのこと見守ってたのに!」

「はい……」

「なにか言うことない?」

「嘘ついてすみませんでした」

「なにかお詫びしてくれるなら許してあげないこともないよ」

「なら、今度おうちに招待するのでそれでどうですか」

「それなら許してあげる!」

「ありがとうございます」

 マリア王女の機嫌が治ってホッとした。

 そして気になったことを質問することにした。

「マリア王女は僕と婚約してどう思ってますか」 

「うーん……嫌じゃないよ。むしろ嬉しいかも。アーマンくんは私と婚約したの嫌だった?」

「いえ、僕もマリア王女と婚約するのは嫌ではないですよ。」

「そっか……それなら良かった! エヘヘ」

 マリア王女は照れながらも嬉しそうに笑っていた。

「もうひとつ聞きたいことがあって、僕は側室を1人だけ入れないといけないんですが、それはどう思います?」

「側室はアーマンくんが好きになった人を選ぶんでしょ?」

「はい。ほかの貴族なら複数の側室がいるらしいですが僕の場合、側室は1人のみだが、それを選ぶ権利は僕にしかないそうなのでそうなりますね」

「ならいいんじゃないかな」

「えっ?」

 側室を入れないでと、言われるかと思っていたら、いいと言われて驚いた。

「だってアーマンくんを好きになって、アーマンくんが好きになった人なら大丈夫な気がするから。それにアーマンくんを一番好きなのは私に決まってるしね!」

 そうきっぱり言われて今度は俺の方が恥ずかしくなってしまった。

「ありがとうございます」

「うん!」

 それからはパーティーに来るように言われるまで、部屋の中は変な空気が漂ってしまった。
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