天才になるはずだった幼女は最強パパに溺愛される

雪野ゆきの

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二章

名前の由来

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 初めてあの子を抱いた時、その小ささに驚いた。

「う~、あう~!」
「ちっちぇ~」

 顔も体も手も小さい。それにとても軽い。

「どうだ24番、かわいいだろう」
「……すぐに死んじゃいそうだ」

 赤ん坊のしろはどこもかしこも柔らかくてすぐに死んじゃいそうだった。怖くなったのでしろを9番に返す。
 9番はもうしろにメロメロですでに父親の風格が出始めていた。

 それから、俺は騎士団から帰ってくるとすぐにしろの所に行くようになった。
 しろの寝るベッドまで来ると、先に9番など何人かの仲間達がいた。

「お~24番、今しろにミルクやるところなんだが、お前やってみるか」
「……うん、やる」

 俺は9番からしろとミルクの入った哺乳瓶を受け取った。
 哺乳瓶を口に近付けてあげるとしろが吸い付く。そしてんくんくと喉を鳴らしながらミルクを飲んでいく。

「飲んだ……」
「そりゃ飲むだろ」

 ははっと9番に笑われる。
 ミルクを飲ませ終わったら四苦八苦してげっぷさせた。

「う~、あ~」

 再びしろをベッドに寝かせてあげると、しろはニコニコ笑いながら手を伸ばしてきた。

「しろは賢い子だからな、お礼を言ってるんだろう」
「う~!」

 その通り! とでも言いたげにしろは声を上げた。

「どういたしまして」
「だぁ!」

 そう言ってしろの頭を撫でると、しろは二パッと笑った。かわいい。




 そうして、しろはどんどん俺の……いや、俺達の癒しになっていった。

「しろちゃ~ん、かわいいかわいいね~」
「だ~う」

 しろちゃんのプニプニな頬をつつく。ああ、癒される。
 最近はこの組織を潰すために色々暗躍してるから余計に体が癒しを求めているのだ。

「ちょっと24番、しろを独り占めしないでくれる?」
「そーだぞ」

 しろちゃんは大人気なのでこうしてよく争奪戦が起こる。もちろんしろちゃんが怖がるといけないから今までみたいに殴り合ったりはしない。俺達は更生したのだ。

「おらお前らしろの前で喧嘩すんじゃねぇ」

 大体しろをめぐった争いを終結させるのは9番だ。9番は俺達にとってリーダー的存在だし、しろちゃんが一番懐いている。俺達の中で誰かが父親になるとすればまず間違いなく9番だろう。9番もしろに自分を父親だと刷り込もうとしている。

「しろ~、パパだぞ。ぱ~ぱ~」
「あ~、あ~」

 しろちゃんは成長が早いから直ぐにパパって言えちゃいそう……。しろちゃんの成長は嬉しいけどもうちょっと赤ちゃんでいてほしいと思うな。

「ぱ~ぱ」
「ぱ~あ」
「ぱ~ぱ」
「ぱぁ~ぱぁ」
「「「!!!」」」

 しろちゃん……成長が早すぎるよ。9番なんて感動に顔が追い付かなくて真顔で涙流してるよ。てか9番の泣くとこなんて初めて見た。






 そして、ある日俺らが戻ってくると、そこにしろちゃんはいなかった。
 残っていたのはまだ働きには出されていない子ども達だけだった。子ども達も俺らが出ている間しろちゃんのお世話をしてくれていた。

 俺達だけが組織から解放された……。

 しろちゃん、ごめん。ごめんな。
 あんな世界に君だけ残していってしまった。

 普段は飄々としている9番もこの時ばかりは絶望した様子を隠せていなかった。

 そして俺はもちろん希望して特殊部隊に入った。
 今まで外では組織に与えられた名前で過ごしていたので、これを機にみんな名前を変えることになった。これからも組織で過ごした過去―――しろちゃんを背負っていくという意味を込めて組織にいた頃の番号などを名前に残す者が多い中、俺は全く別の名前にした。


 しろちゃんのお父さんはきっと9番……いや、ブレイク隊長だ。
 だから、俺はしろちゃんのお兄ちゃんになろう。








 ―――アニ、それが俺の新しい名だ。




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