天才になるはずだった幼女は最強パパに溺愛される

雪野ゆきの

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二章

気付いたら寝てた

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 わいわいじゃんじゃん騒いでたはずだけど、いつの間にか寝てたみたい。気付いたらベッドに寝るパパのお腹の上にいた。
 いつ寝たなんだろ。全然記憶ないや。やっぱ慣れない移動で疲れてたのかも。
 カーテンの隙間から見える外は真っ暗だ。窓の方から視線を戻す。

「……うわ」

 思わず声が出た。
 随分床が散乱してるなぁと思ったら、遊びに来た面々が床で寝てた。せっかくいい宿なんだからお部屋に帰ってフカフカのベッドで寝ればいいのに。もったいない。
 でも、クロとエンペラーはぴったりくっついて丸くなっててかわいい。クロとエンペラーはワンコ系同士仲いいよね。
 アニはジュースの瓶を抱いて寝てるからかわいくない。
 まあ、体力おばけのみんなのことだからこんな寝方しても明日には支障ないんだろうけど。
 殿下はちゃんと隣のベッドで寝ていた。さすが高貴な人は寝相もいいね。

 ――まだ起きるには早いし、二度寝しよ……。
 そして私は微睡みに身を任せた。


***



 翌朝、一番に起きたエルヴィスがカーテンをガラッと開けてみんなを起こす。
 急に射し込んできた日射しにみんなが「うっ……!」と顔を顰める。

「……まぶしい…………」

 クロがエンペラーの毛皮に顔を埋めた。

「うっ、今日も朝からシロちゃんが眩しい……!」
「お前だけなんか違うな」

 なぜか窓とは反対側のこっちを見て目を細めるアニにエルヴィスがツッコミを入れる。アニは朝から通常営業だ。

 その後は各々部屋に帰っていき顔を洗ったり服を着替えたりして準備を整え、朝食のために食堂に集まる。
 予想通り、みんなは床で寝てたにもかかわらずピンピンしてた。体痛くならないのかな。

 ささっと朝食を食べ、すぐに出発の準備に取り掛かる。もっとゆっくりしたい気持ちはあるけど、今回は宿でゆっくりするのがメインじゃないもんね。
 くぁ~っとあくびをしながらパパに抱っこされ、馬車に乗り込む。

「はは、眠そうだな」

 パパが笑いながら私の頭を撫でる。

「余計眠くなっちゃう……」
「次の宿に着くまでまだ時間がかかるから寝ておけ。着きそうになったら起こしてやるから」
「うん」

 お言葉に甘え、私はパパの膝に頭を乗せて馬車の座席に横になった。やっぱり昨日はしゃぎすぎちゃったみたい。
 目を瞑れば、すぐに意識を手放すことができた。



 ――次に目を開けた時、エスとエンペラーが目の前で正座をさせられていた。
 話を聞くと、ついに我慢ができなくなったエスとエンペラーが馬車を降りて走り出しちゃったらしい。すぐに捕獲されたけど、反省のためにこうして馬車の床に正座をさせられてるというわけだ。正座といっても、エンペラーは狼さんだから普通におすわりしてるだけだけどね。
 寝てる途中、ぼんやり周りが騒がしいなと思ったけどそんなことが起きてたんだね。
 寝転がったまま手を伸ばし、エンペラーの頭を撫でる。

「シロ、もうすぐ着くぞ」
「は~い」

 むくりと体を起こし、窓の外を見る。すると、丁度馬車が次の街に入るために橋を渡っているところだった。レンガ造りの橋もきれいだし、その下を流れている川もきれい。お水ちゃぷちゃぷしたいな。そんな暇ないだろうけど。
 次の宿も、この街で一番いい宿だった。

 その日はシロが疲れ気味だったから、どんちゃん騒ぎはせずにそれぞれの部屋で眠りについた。



 ――夜、すぴすぴ寝てた私の耳がガサゴソという音を拾う。そして反射的にパチリと目が覚めた。
 上を見ると、パパもたった今起きたようだ。

「パパ、馬車の止めてある方から何か音がする」
「だな」
「シロ見てこようか?」

 パパは護衛のために殿下のいるこの部屋を離れることはできない。かといって殿下を起こして馬車を見に行くのは論外だ。

「いや、扉の前で見張りをしている騎士に声を掛けて行ってもらおう」

 そう言うと、パパは扉の方に歩いて行って部屋の前にいる騎士さんにテキパキと指示を出した。騎士さんは変な音は聞こえてなかったみたいだけど、すぐに人を連れて馬車の駐車場に向かって行く。パパの信頼は絶大だね。

 うとうとしながら報告をパパと一緒に待つ。五歳の体は深夜の活動には向かないみたいだ。

「シロは寝てていいぞ」
「ん~……」

 でも、シロだって特殊部隊の隊員として来てるのに……。

「ふ、じゃあ殿下と一緒に寝て、殿下に危険が迫ったら起きて知らせてくれ」
「あい……」

 私の気持ちを汲んでくれたのか、パパが任務を与えてくれる。起きてるパパの警戒を掻い潜って迫る危険があるとは思えないけど、パパの気遣いをありがたく受け取る。シロ、五感と第六感には自信ありだからね。
 パパに抱っこされ、スヤスヤ寝てる殿下のあったかいお布団に突っ込まれたのと同時に私は意識を手放した。


 そして、後から物音の正体を聞いた。
 あの音の正体は物取りが馬車に高価なものがないか漁ってた音だったらしい。王族とは分からなくてもまあ、お金持ちの移動って感じだもんね。
 幸いにも殿下本人を狙った犯行ではなく、馬車に変な細工とかもされてなかったそう。犯人も無事に捕まったし、よかったよかった。














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