190cm越えの猛獣3人に「共有」される

Aki

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4学食と隠れ家への誘い

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「――やめ! そこまで!」

先生の野太い声が道場に響き渡った。
その瞬間、俺の上にのしかかっていた103キロの重圧がふっと軽くなる。

「……っは、あ……!」

俺は畳の上で大の字になり、酸素を求めて大きく息を吸い込んだ。
乱れた道着の襟元がはだけ、胸元が大きく開いているのが自分でも分かる。
汗で濡れた髪が額に張り付き、身体中が熱い。

「……大丈夫か、アカシ」

頭上からダイチの声がする。
見上げると、彼は膝立ちのまま、じっと俺を見下ろしていた。
その瞳が、いつもより暗く濁っているように見える。
荒い呼吸。小鼻が膨らみ、肩が大きく上下している。

「だ、ダイチ……ちょっと、顔怖いよ」

俺が引きつった笑みを向けると、ダイチはハッとしたように視線を逸らした。

「……悪い」

彼は短く呟く。
膝立ちの彼の股間は棒状の隆起がはっきりとわかる。
下手したらウエストのゴムのところから先っぽが飛び出てしまいそうだ。
あんなものが俺の太ももに押し当てられていたのかと思うとドキドキする。
女の子があんなものを迎えてしまったら、壊れてしまうのではないのだろうか?
俺ですらあれを迎えてしまったら…


ダイチは急いで道着の上に隠し、帯を締め直した。
握りしめた拳を震わせ、何かを耐えるように一度深く息を吐き出すと、俺を引っ張りあげて話し始める。

「着替えるぞ。立てるか?」
「うん、サンキュ」
「どっか痛めたか?」
「うーん、多分大丈夫。やっぱりダイチに押さえつけられたら逃げ出せないね」
「押さえつけるのは得意だからな」
「ちょっとびっくりした」
「本気出したらこんなもんじゃねーよ」
「女の子にやる時は気をつけなよ」
「…お前にしかやらねぇよ」

まるで何かに追い立てられるように、ダイチは早足で更衣室へと向かっていった。


更衣室の隅。
他の生徒たちが談笑する中、ダイチは壁に向かって黙々と着替えを済ませていた。
俺が制服のズボンを履いていると、彼が近づいてきた。

「……アカシ」
「ん? なに?」
「さっきは、悪かった」

ダイチの声はいつもの低いトーンに戻っていたが、どこか切羽詰まった響きがあった。

「力、入れすぎた。……痛かったろ」
「ああ、うん。ちょっと首締まったけど、平気だよ。やっぱダイチって凄いんだね」

俺が笑って答えると、ダイチの大きな手が伸びてきて、俺の首筋――さっき彼が腕を回していた場所を、親指でそっと撫った。

「……赤くなってる」
「え、嘘? 痕ついた?」
「……俺がつけた」

ダイチの指先が熱い。
謝っているはずなのに、その言葉はどこか「マーキング」をしたことへの満足感を含んでいるように聞こえた。
俺がドキリとして見つめ返すと、ダイチはふいっと手を離し、俺の乱れたネクタイを乱暴に直した。

「飯、行くぞ。カイたちが待ってる」



学食は昼休み特有の喧騒に包まれていた。
だが、窓際の一角だけは、明らかに空気が違っていた。

「おーい、ここだぞ!」

オザキカイが手を振っている。
正面にはサカモトソウ。
そして俺とダイチが加わると、4人掛けのテーブルは一瞬にして密度が限界を突破した。

「うわ、狭っ……」

俺が呟くと、隣のソウがニシシと笑った。

「しゃーねーだろ。俺ら規格外なんだから」
「だからって、もっと広い席なかったの?」
「ここが一番落ち着くんだよ。アカシのことも囲めるしな。」

ボソリと付け加えられた言葉は、学食のザワザワした音にかき消された。
テーブルの上には、それぞれのトレーが置かれている。
カイは唐揚げ定食の大盛りにうどんを追加。
ソウはカツカレーの特盛。
ダイチに至っては、丼飯を二つ並べている。
それに比べて、俺の並盛りの日替わり定食が、まるで子供用のお子様ランチのように見えた。

「いただきます」

4人で手を合わせると、一斉に食べ始める。
その光景は圧巻だ。
190センチ級の男たちが黙々と飯をかき込む様は、食事というより給油作業に近い。

「ん、アカシ。それ美味いか?」

カイが俺のハンバーグを箸で差した。

「うん、結構いけるよ」
「一口くれ」

カイが当然のように口を開けて待っている。
俺は苦笑しながら、ハンバーグを切り分けてカイの口に運んだ。

「はいはい。あーん……どう?」
「んー、美味い。アカシが食わせてくれたから余計にな」

カイが満足げに咀嚼するのを見て、隣のソウが面白くなさそうにスプーンを置いた。

「ずるいぞカイ。俺も」
「えっ、ソウのはカレーじゃん。ハンバーグ合わないよ」
「いいから。アカシの食べかけがいいんだよ」
「お前なぁ……」

俺が呆れていると、隣で黙々と丼飯を食べていたダイチが、不意に箸を止めた。
そして、自分のトレーから一番大きなエビフライを摘み上げ、無言で俺の白飯の上にドン、と乗せた。

「え? ダイチ?」
「もっと食え。細すぎる」
「いや、俺そんなに食べられないって!」
「残すな。……俺の分も」

ダイチの目は真剣だ。
「俺のを与えたい」という本能的な欲求が見え隠れする。
カイとソウがそれを見て、

「あーあ、ダイチの餌付けが始まった」

と笑っている。

「……はぁ。わかったよ、いただきます」

俺がエビフライを頬張ると、ダイチは満足そうに目を細め、再び自分の丼飯に向き合い始めた。
前にダイチとカイ、隣にソウ。
逃げ場のないテーブルで、俺は彼らの視線とおかず(という名の愛情表現)を一身に受けながら、小さくなって食事を続けるしかなかった。


「そういやアカシ、放課後暇だろ?」


不意に、カイが水を飲みながら切り出した。

「え? まあ、部活終わったら時間あるけど……」
「じゃあさ、ちょっと付き合って欲しいとこあんだけど」
「どこ?」
「……俺らの『隠れ家』」

カイがニヤリと笑う。
ソウも、ダイチも、箸を止めて俺を見た。
その瞬間、学食の喧騒が遠のいた気がした。
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