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7話 惚れちゃったから
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「うう、最低です。最低最悪の彼氏です」
「悪かったって」
リディアは涙目になって俺を罵倒した。
温め終わったスパゲッティは熱々から適温になっている。
「とりあえずご飯食べようぜ」
「……はい」
2人で手を合わせた。
そういえばと思い出したが、まだデートに誘えていない。
菜々緒先輩に背中を押してもらったのはいいが、誘い方までは教わっていなかった。
「な、なぁ。明日俺仕事休みなんだけどさ」
「……正輝さんと過ごす時間が増えるのですね。最悪です」
「むぅん」
とてもデートに誘える雰囲気ではなくなった。情けない声が口から漏れたのが自分でもわかる。
ギャルゲーで言えば好感度最低状態。エロ本で軽口叩いたのが決定打となったか。
ここは真摯にリディアと向き合う必要がありそうだ。
「リディアはどうして俺の彼女になってまで、聖杯を使わせたくないんだ?」
「私たちの世界は聖杯の力に目が眩み、混沌の時代に叩き落とした者が何人もいました。それを反省し、2度とみだりに聖杯を使われることがないよう管理すると決めたのが、私たち聖杯協会だからです」
意外とリディア側も真剣に答えてくれた。だがそこには「分かったらさっさと聖杯を返して私を解放しろ」というメッセージが込められている気がする。もちろんそれには気がつかないふりだ。
「リディアは聖杯に願いたいこととかないの?」
「……話聞いていました?」
「例えばの話だ」
俺の問いにリディアは数十秒考え込んだ。きっと生きていて一度も考えたことがないのだろう。
リディアはゆっくりと重い唇を動かした。
「守りたいものを守る力、でしょうか」
「リディアは優しいな」
「っ、褒めてご機嫌取りですか?」
「本心だよ。自分のためじゃなく、他人のために願望を使える子は心が綺麗な証拠だと俺は思うぞ」
俺は自分のために聖杯を利用している身だしな。
俺は心が綺麗でなくて結構。清濁併せ持つのが人間ってものだと思っているからだ。
ただ、心が綺麗な子には憧れの感情を抱くよ。
「いくら心が綺麗でも、何も守れません。私に守れるのは、信念のみです」
「聖杯を使わせないって信念か」
「はい。いずれ私を迎えに上司が来ます。その時は大人しく返してくださいね」
「……嫌だね」
「私と恋人になれたのです! もういいでしょう」
「上司が来て、聖杯を取り返したらリディアは帰るんだろ?」
「それは、もちろんそうですが」
「俺はリディアが大好きだ。まだ離れたくない」
「な、ななな、なっ……」
リディアは顔を真っ赤に染め、近くにあったクッションで顔を隠した。
この部屋からリディアが隠れたら岩戸隠れに匹敵するレベルで暗くなる。できればその可愛らしい顔を見せて欲しいものだ。
「大好きなんて、バカなんですか?」
「バカじゃない。本気で好きだ」
「出会って2日目ですよ、非現実的です」
「仕方ないだろ。惚れた事実は変わらない」
昨日の時点ではルックスが好みの女の子でしかなかった。
ただ、リディアを知れば知るほど、優しくて心が綺麗で、繊細な女の子の一面が見える。
ライトノベルのヒロインのように、俺はリディアに即落ちしたわけだ。
「……仮に私のことを好いてくれたとしても、上司はあなたから聖杯を取り上げますよ」
「強いのか?」
「とんでもなく」
「そうか。じゃあ色々考えないとだな」
「色々?」
俺は金庫を開け、聖杯を取り出した。
やはり聖杯はリディアにとって特別なものらしく、スカイブルーの瞳は見開かれている。
「俺は徹底的に聖杯を人質にする。これからは肌身離さず持ち歩くぞ」
「どうして!」
リディアは立ち上がった。
その目は険しく、厳かだ。
「どうしてそこまでするのですか! 女性ならたくさんいます。この服を貸してくれた女性だっていいじゃないですか!」
「昨日までの俺なら首を縦に振っていただろうな」
「なら……」
「でも今日の俺は違う。リディア、俺はお前が好きだ。だから聖杯は人質だ」
「……聖杯をそんなふうに扱っている以上、私はあなたを好きになりませんよ」
「好きにさせてみせるさ。明日デートに行こう」
少々強引な勧誘になったが、デートに誘う目的は果たせた。
あとはリディアがどうするか次第。
「……分かりました。無駄であるということを教えてあげます」
「おう、俺が本気だってこと、教えてやるよ」
デートすると決まったからには行き先を決めねばならない。
菜々緒先輩曰く、いくつかの場所を提示してから女の子に決めてもらうのは常識とのことだ。
「水族館・遊園地・動物園・映画館なら、どこがいい?」
「動物園でお願いします」
「即答だな。意外と行きたがってる?」
「そ、そんなわけないでしょう! ただこの世界の動物が気になっただけです」
「はは、そういうことにしておくよ」
俺にとっての初デートは動物園か。悪くない。
スパゲッティはいつの間にか食べ終えていた。話に熱中しすぎたみたいだな。
「悪かったって」
リディアは涙目になって俺を罵倒した。
温め終わったスパゲッティは熱々から適温になっている。
「とりあえずご飯食べようぜ」
「……はい」
2人で手を合わせた。
そういえばと思い出したが、まだデートに誘えていない。
菜々緒先輩に背中を押してもらったのはいいが、誘い方までは教わっていなかった。
「な、なぁ。明日俺仕事休みなんだけどさ」
「……正輝さんと過ごす時間が増えるのですね。最悪です」
「むぅん」
とてもデートに誘える雰囲気ではなくなった。情けない声が口から漏れたのが自分でもわかる。
ギャルゲーで言えば好感度最低状態。エロ本で軽口叩いたのが決定打となったか。
ここは真摯にリディアと向き合う必要がありそうだ。
「リディアはどうして俺の彼女になってまで、聖杯を使わせたくないんだ?」
「私たちの世界は聖杯の力に目が眩み、混沌の時代に叩き落とした者が何人もいました。それを反省し、2度とみだりに聖杯を使われることがないよう管理すると決めたのが、私たち聖杯協会だからです」
意外とリディア側も真剣に答えてくれた。だがそこには「分かったらさっさと聖杯を返して私を解放しろ」というメッセージが込められている気がする。もちろんそれには気がつかないふりだ。
「リディアは聖杯に願いたいこととかないの?」
「……話聞いていました?」
「例えばの話だ」
俺の問いにリディアは数十秒考え込んだ。きっと生きていて一度も考えたことがないのだろう。
リディアはゆっくりと重い唇を動かした。
「守りたいものを守る力、でしょうか」
「リディアは優しいな」
「っ、褒めてご機嫌取りですか?」
「本心だよ。自分のためじゃなく、他人のために願望を使える子は心が綺麗な証拠だと俺は思うぞ」
俺は自分のために聖杯を利用している身だしな。
俺は心が綺麗でなくて結構。清濁併せ持つのが人間ってものだと思っているからだ。
ただ、心が綺麗な子には憧れの感情を抱くよ。
「いくら心が綺麗でも、何も守れません。私に守れるのは、信念のみです」
「聖杯を使わせないって信念か」
「はい。いずれ私を迎えに上司が来ます。その時は大人しく返してくださいね」
「……嫌だね」
「私と恋人になれたのです! もういいでしょう」
「上司が来て、聖杯を取り返したらリディアは帰るんだろ?」
「それは、もちろんそうですが」
「俺はリディアが大好きだ。まだ離れたくない」
「な、ななな、なっ……」
リディアは顔を真っ赤に染め、近くにあったクッションで顔を隠した。
この部屋からリディアが隠れたら岩戸隠れに匹敵するレベルで暗くなる。できればその可愛らしい顔を見せて欲しいものだ。
「大好きなんて、バカなんですか?」
「バカじゃない。本気で好きだ」
「出会って2日目ですよ、非現実的です」
「仕方ないだろ。惚れた事実は変わらない」
昨日の時点ではルックスが好みの女の子でしかなかった。
ただ、リディアを知れば知るほど、優しくて心が綺麗で、繊細な女の子の一面が見える。
ライトノベルのヒロインのように、俺はリディアに即落ちしたわけだ。
「……仮に私のことを好いてくれたとしても、上司はあなたから聖杯を取り上げますよ」
「強いのか?」
「とんでもなく」
「そうか。じゃあ色々考えないとだな」
「色々?」
俺は金庫を開け、聖杯を取り出した。
やはり聖杯はリディアにとって特別なものらしく、スカイブルーの瞳は見開かれている。
「俺は徹底的に聖杯を人質にする。これからは肌身離さず持ち歩くぞ」
「どうして!」
リディアは立ち上がった。
その目は険しく、厳かだ。
「どうしてそこまでするのですか! 女性ならたくさんいます。この服を貸してくれた女性だっていいじゃないですか!」
「昨日までの俺なら首を縦に振っていただろうな」
「なら……」
「でも今日の俺は違う。リディア、俺はお前が好きだ。だから聖杯は人質だ」
「……聖杯をそんなふうに扱っている以上、私はあなたを好きになりませんよ」
「好きにさせてみせるさ。明日デートに行こう」
少々強引な勧誘になったが、デートに誘う目的は果たせた。
あとはリディアがどうするか次第。
「……分かりました。無駄であるということを教えてあげます」
「おう、俺が本気だってこと、教えてやるよ」
デートすると決まったからには行き先を決めねばならない。
菜々緒先輩曰く、いくつかの場所を提示してから女の子に決めてもらうのは常識とのことだ。
「水族館・遊園地・動物園・映画館なら、どこがいい?」
「動物園でお願いします」
「即答だな。意外と行きたがってる?」
「そ、そんなわけないでしょう! ただこの世界の動物が気になっただけです」
「はは、そういうことにしておくよ」
俺にとっての初デートは動物園か。悪くない。
スパゲッティはいつの間にか食べ終えていた。話に熱中しすぎたみたいだな。
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