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29話 小悪魔リディアと愛あるキスを
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グリスティン・ワルディアルの襲撃から3日が経過した。
俺は1人でメゾングレイル201号室にいた。いつも通り、寂しくコンビニ弁当を貪っている。
というのも、あの戦いの後リディアとオーヴェリアは意識を失ったのだ。
倒れた2人を安全な場所に移動させてから、急いで菜々緒先輩に電話をすると、先輩は初心者マークを付けた軽自動車で迎えに来てくれた。
そしていま、リディアとオーヴェリアは菜々緒先輩の家で眠っている。
「本当は、医者に罹りたいんだけどな」
もちろん、この世界の人間ではないリディアやオーヴェリアを医者に診せるわけにはいかなかった。どんな騒ぎになるかわかったものではないし、医者をまた何かしらの事件に巻き込むことは避けなければならない。
コンビニ弁当のメインでいるハンバーグを半分に割った、その時だった。
「リディアに、会いたい」
衝動的に、俺は立ち上がった。
そして弁当を片付けることもなく走り出した。脳が一刻も早くリディアの元へ行けと命令する。体もまた、リディアに会いたいと動かしていた。
走る、走る、走る。
たどり着いたシャッターの降りている和泉屋書店が、えらく懐かしく感じた。あの日以降、壊れた本棚の修理などで臨時休業して働いていないからだ。
俺はスマートフォンを取り出して、菜々緒先輩に電話をかけた。
『しもしも?』
「菜々緒先輩、俺です。いま和泉屋書店の前にいるんですけど、上げてもらってもいいですか?」
『いいよん。待っててね』
電話が切れてから、菜々緒先輩の言葉にツッコミを入れていなかった自分に驚いた。
……周りが見えていなくなっているのか。ずいぶん自分勝手だな、俺も。
しばらくするとシャッターが開き、菜々緒先輩が姿を表した。
ダボダボのTシャツ一枚に、直していない寝癖。しどけない姿に、思わず顔がひきつった。
「先輩、あまりそういうだらしない格好は男の前で見せないほうがいいですよ」
「なんだぁ少年。興奮したか?」
「それはないです」
きっぱりと断言する。勘違いされたら困るからな。
和泉屋書店の裏にある和泉家に上がるのはもちろん初めてのことだった。特筆することのない普通の家だが、入った瞬間に他人の家の匂いがして緊張した。
リディアたちは2階にいるらしく、ちょっとだけ傾斜が急な階段を登る。
菜々緒先輩は気を使ってか、その間にも話しかけてくれた。
「リディアちゃんもオーヴェリアちゃんも落ち着いたものよ」
「それなら良かったですけど」
「心配が顔面に張り付いてる」
「やっぱりですか?」
「少年は顔に出やすいからなぁ」
顔に出やすい俺が、よくグリスティンを騙せたものだ。
夜寝る前になると、あのグリスティンを包丁で刺した時を思い出す。
思い出すのはそれだけじゃない。生暖かい血の温度、人肉を刺す感覚。それらが脳にこびりついた。
「ほら、この部屋だよ」
「……失礼します」
ドアを開け、リディアとオーヴェリアが眠る部屋に入った。
リディアもオーヴェリアも、白く柔らかそうな布団で寝ていた。その顔は健やかで、見ていて安心できた。脳にこびりついた血生臭い思い出に、霧をかけてくれる。
「んじゃアタシは下にいるから後は若いもので楽しんでくれたまえ」
「……菜々緒先輩いくつでしたっけ」
「21」
「菜々緒先輩」
「ん、なんだい少年」
「……ありがとうございます」
「ん」
菜々緒先輩には本当にお世話になっている。感謝してもしきれないほどに。
先輩はそれだけ返し、階段を降りていった。
俺はフローリングに直に座った。俗にいうあぐらで。
改めて、眠るリディアと向き合う。
「……ごめん」
謝罪の言葉が自然と漏れた。
聖杯を使って強くなるだなんて、きっとリディアは望んでいなかった。それを俺は分かった上で実行してしまった。
こんな安っぽい謝罪で許される話ではないだろう。
「土下座でも裸踊りでもなんでもするよ」
いや、余計に神経を逆撫でするだけか。
カチ、カチ、カチと時計の秒針の音が響く。リディアたちの寝息は静かで、耳に入ってはこない。
俺は手を伸ばして、リディアの頭を撫でた。サラサラとした金髪が手のひらの細胞を刺激する。
可愛くて、愛おしくて、最愛の人。
リディアは3日前、俺にキスをしてくれた。俺の告白に対して、行動で示すと言ってのことだ。
つまり、たぶん、自惚れでなければ、俺のことが好きなのだろう。ただもし、聖杯を使ったことで愛想を尽かされたとしたら……。
「リディア、大好きだ」
俺は脳にかかった靄を取り払うために、瞳を閉じて眠るリディアにキスをした。
1秒・2秒・3秒。
俺はゆっくり口を離した。
……その時、ギョッとした。
眠っているはずのリディアが、スカイブルーの瞳を俺に向けていたのだ。
「えっ」
「……眠る彼女にキスだなんて王子様気分ですか? 思い上がりです」
「リディア!?」
「ちょ、あの、顔近いですから」
「あ、ごめん」
恥ずかしそうに目を逸らしたリディアに手で押され、俺は顔を離す。
「いつ起きて……っていうか元気なのか? あと聖杯は……」
「い、いっぺんに畳み掛けないでください!」
叫んで、リディアは起き上がった。麗しい金髪が揺れ、金色の陰を残す。本当に、綺麗だ。
「起きたのはその、正輝さんがこの部屋に入ってきてからです」
「ってことは最初から……」
「はい」
俺はリディアが使っていた枕で顔を隠した。
最初からということは、謝罪の言葉も、キスも、そして「愛している」なんてスカした言葉も、全部聞かれていたということだ。恥ずかしくて顔から火が出そうだ。
枕の先で、リディアがふふっと笑った。
「ようやく正輝さんに仕返しができました。いつか復讐しようと思っていたんですからね」
「まぁ、大成功だな」
現に俺は顔を隠している。
いつまでも顔を隠していては話にならないので、俺は枕を元の位置に置いた。
久しぶりに見るリディアの顔に、心が穏やかになる。
しかし、甘えてばかりもいられない。俺は罪を背負ったのだから。
「その、俺……」
「また謝るつもりですか?」
「えっ」
「どうせ聖杯を使ったこと、気にしているのでしょう?」
あっけらかんとするリディアに面食らった。
思わず大きな声が出る。
「そりゃそうだろ! リディアたちが使わないと決めて、ずっと戦ってきたのに、俺はそれを無碍にした」
俺の言葉に、リディアはため息で返した。
そして優しい目線を俺に向ける。
「ちゃんと聞いていました? 私たちは聖杯を、みだりに使わぬよう管理していたのですよ? 正輝さんの使い方はみだりでしたか?」
「それは……」
みだりでは、ない。
だって、異世界とこの世界を結果的に救うような願いを叶えたから。
しかも対象は自分ではなく、愛する女性に使った。自己愛の塊であったグリスティンとは対照的だと、今さらながらに気がついた。
「正輝さん一人のせいで私たち聖杯協会の威信が踏み潰されたと思っているのなら思い上がりです。勘違いです。ラノベ主人公です」
「最後のいる?」
「ふふっ、意地悪です」
リディアは天使のように笑った。
そして今度は小悪魔のような笑顔になり、
「むっ!?」
急に飛びついてきて、俺の唇に彼女の唇を重ねた。リディアの唇の感触が、ありありと細胞から脳に伝わる。
3日前と同じで、主導権を握られたキスだ。だが悪くない。俺はリードされる方が好きみたいだ。
それから俺たちは、節操と時間を忘れてキスをした。
俺は1人でメゾングレイル201号室にいた。いつも通り、寂しくコンビニ弁当を貪っている。
というのも、あの戦いの後リディアとオーヴェリアは意識を失ったのだ。
倒れた2人を安全な場所に移動させてから、急いで菜々緒先輩に電話をすると、先輩は初心者マークを付けた軽自動車で迎えに来てくれた。
そしていま、リディアとオーヴェリアは菜々緒先輩の家で眠っている。
「本当は、医者に罹りたいんだけどな」
もちろん、この世界の人間ではないリディアやオーヴェリアを医者に診せるわけにはいかなかった。どんな騒ぎになるかわかったものではないし、医者をまた何かしらの事件に巻き込むことは避けなければならない。
コンビニ弁当のメインでいるハンバーグを半分に割った、その時だった。
「リディアに、会いたい」
衝動的に、俺は立ち上がった。
そして弁当を片付けることもなく走り出した。脳が一刻も早くリディアの元へ行けと命令する。体もまた、リディアに会いたいと動かしていた。
走る、走る、走る。
たどり着いたシャッターの降りている和泉屋書店が、えらく懐かしく感じた。あの日以降、壊れた本棚の修理などで臨時休業して働いていないからだ。
俺はスマートフォンを取り出して、菜々緒先輩に電話をかけた。
『しもしも?』
「菜々緒先輩、俺です。いま和泉屋書店の前にいるんですけど、上げてもらってもいいですか?」
『いいよん。待っててね』
電話が切れてから、菜々緒先輩の言葉にツッコミを入れていなかった自分に驚いた。
……周りが見えていなくなっているのか。ずいぶん自分勝手だな、俺も。
しばらくするとシャッターが開き、菜々緒先輩が姿を表した。
ダボダボのTシャツ一枚に、直していない寝癖。しどけない姿に、思わず顔がひきつった。
「先輩、あまりそういうだらしない格好は男の前で見せないほうがいいですよ」
「なんだぁ少年。興奮したか?」
「それはないです」
きっぱりと断言する。勘違いされたら困るからな。
和泉屋書店の裏にある和泉家に上がるのはもちろん初めてのことだった。特筆することのない普通の家だが、入った瞬間に他人の家の匂いがして緊張した。
リディアたちは2階にいるらしく、ちょっとだけ傾斜が急な階段を登る。
菜々緒先輩は気を使ってか、その間にも話しかけてくれた。
「リディアちゃんもオーヴェリアちゃんも落ち着いたものよ」
「それなら良かったですけど」
「心配が顔面に張り付いてる」
「やっぱりですか?」
「少年は顔に出やすいからなぁ」
顔に出やすい俺が、よくグリスティンを騙せたものだ。
夜寝る前になると、あのグリスティンを包丁で刺した時を思い出す。
思い出すのはそれだけじゃない。生暖かい血の温度、人肉を刺す感覚。それらが脳にこびりついた。
「ほら、この部屋だよ」
「……失礼します」
ドアを開け、リディアとオーヴェリアが眠る部屋に入った。
リディアもオーヴェリアも、白く柔らかそうな布団で寝ていた。その顔は健やかで、見ていて安心できた。脳にこびりついた血生臭い思い出に、霧をかけてくれる。
「んじゃアタシは下にいるから後は若いもので楽しんでくれたまえ」
「……菜々緒先輩いくつでしたっけ」
「21」
「菜々緒先輩」
「ん、なんだい少年」
「……ありがとうございます」
「ん」
菜々緒先輩には本当にお世話になっている。感謝してもしきれないほどに。
先輩はそれだけ返し、階段を降りていった。
俺はフローリングに直に座った。俗にいうあぐらで。
改めて、眠るリディアと向き合う。
「……ごめん」
謝罪の言葉が自然と漏れた。
聖杯を使って強くなるだなんて、きっとリディアは望んでいなかった。それを俺は分かった上で実行してしまった。
こんな安っぽい謝罪で許される話ではないだろう。
「土下座でも裸踊りでもなんでもするよ」
いや、余計に神経を逆撫でするだけか。
カチ、カチ、カチと時計の秒針の音が響く。リディアたちの寝息は静かで、耳に入ってはこない。
俺は手を伸ばして、リディアの頭を撫でた。サラサラとした金髪が手のひらの細胞を刺激する。
可愛くて、愛おしくて、最愛の人。
リディアは3日前、俺にキスをしてくれた。俺の告白に対して、行動で示すと言ってのことだ。
つまり、たぶん、自惚れでなければ、俺のことが好きなのだろう。ただもし、聖杯を使ったことで愛想を尽かされたとしたら……。
「リディア、大好きだ」
俺は脳にかかった靄を取り払うために、瞳を閉じて眠るリディアにキスをした。
1秒・2秒・3秒。
俺はゆっくり口を離した。
……その時、ギョッとした。
眠っているはずのリディアが、スカイブルーの瞳を俺に向けていたのだ。
「えっ」
「……眠る彼女にキスだなんて王子様気分ですか? 思い上がりです」
「リディア!?」
「ちょ、あの、顔近いですから」
「あ、ごめん」
恥ずかしそうに目を逸らしたリディアに手で押され、俺は顔を離す。
「いつ起きて……っていうか元気なのか? あと聖杯は……」
「い、いっぺんに畳み掛けないでください!」
叫んで、リディアは起き上がった。麗しい金髪が揺れ、金色の陰を残す。本当に、綺麗だ。
「起きたのはその、正輝さんがこの部屋に入ってきてからです」
「ってことは最初から……」
「はい」
俺はリディアが使っていた枕で顔を隠した。
最初からということは、謝罪の言葉も、キスも、そして「愛している」なんてスカした言葉も、全部聞かれていたということだ。恥ずかしくて顔から火が出そうだ。
枕の先で、リディアがふふっと笑った。
「ようやく正輝さんに仕返しができました。いつか復讐しようと思っていたんですからね」
「まぁ、大成功だな」
現に俺は顔を隠している。
いつまでも顔を隠していては話にならないので、俺は枕を元の位置に置いた。
久しぶりに見るリディアの顔に、心が穏やかになる。
しかし、甘えてばかりもいられない。俺は罪を背負ったのだから。
「その、俺……」
「また謝るつもりですか?」
「えっ」
「どうせ聖杯を使ったこと、気にしているのでしょう?」
あっけらかんとするリディアに面食らった。
思わず大きな声が出る。
「そりゃそうだろ! リディアたちが使わないと決めて、ずっと戦ってきたのに、俺はそれを無碍にした」
俺の言葉に、リディアはため息で返した。
そして優しい目線を俺に向ける。
「ちゃんと聞いていました? 私たちは聖杯を、みだりに使わぬよう管理していたのですよ? 正輝さんの使い方はみだりでしたか?」
「それは……」
みだりでは、ない。
だって、異世界とこの世界を結果的に救うような願いを叶えたから。
しかも対象は自分ではなく、愛する女性に使った。自己愛の塊であったグリスティンとは対照的だと、今さらながらに気がついた。
「正輝さん一人のせいで私たち聖杯協会の威信が踏み潰されたと思っているのなら思い上がりです。勘違いです。ラノベ主人公です」
「最後のいる?」
「ふふっ、意地悪です」
リディアは天使のように笑った。
そして今度は小悪魔のような笑顔になり、
「むっ!?」
急に飛びついてきて、俺の唇に彼女の唇を重ねた。リディアの唇の感触が、ありありと細胞から脳に伝わる。
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