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お母様
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長らくお休みしてしまい大変申し訳ありませんでした。学業との兼ね合いの都合でお休みをいただいていました。今後も、更新頻度は低くなるかもしれないですが継続的に更新をしていく予定なので何卒よろしくお願い致します。
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ジューと何かを焼く音と、鼻腔に広がる香ばしい香りで目が覚めた。
「んぅ……がるふ…?」
ベッドから体を起こすと、キッチンでキビキビと作業をしているガルフの姿がボヤァっと見える。
私の声に気がつくと、こちらを見て「おはよう」とぶっきらぼうに言ってくる
「ふふっ…おはよ」
ベッドから降りて、洗面台に向かい顔を洗ってからガルフのもとに向かう
「わぁ!美味しそう!」
フライパンの上では、お肉がパチパチジュージューと音を立てながらいい色に焼きあげられており、先程の香ばしい香りはこれかと納得する。
テーブルの上にはふわふわの白いパンの上にトロトロのチーズ。思わず涎が出そうになるのをすんでのところで止める。
「ガルフすごい!天才!いつでもお嫁に行けるね!」
「俺は男だ」
ガルフの指がピンっと軽い力で私のおでこを弾く。「痛い!ひどい!」とさして痛くないおでこを押さえる私を見て、フッと鼻で笑うと呆れたような、でも柔らかいなんとも言えない顔で焼き上がったお肉を皿に盛り付ける。
「ほら、食べるぞ」
「うん!いただきます!」
待ちきれないというように、チーズのかかったパンを一口、うん美味しい。お肉も一口これもまた絶品だ。
「…ん?そういえば、このお肉ガルフが持って来てたの?」
私の持ち物には無かったお肉に今更ながら疑問が生まれる。ガルフはバツの悪そうな顔をした後に「朝早く起きちまったから、目覚ましがてら狩って来たんだよ。」と言う。
「えぇ!?狩りに行って朝ご飯作ってってかなり早く目が覚めたのね…やっぱり床は寝心地が良くなかったから…」
「いや!床で良かった…本当に…」
焦ったように言うガルフに「そう?」と首を傾げる。
「それより、昨日も思ったけどお前は細っこ過ぎる。ちゃんと食え。」
「ふふっ」
「なんだよ」
ムッとした表情でクスクスと笑う私を見つめてくるガルフ
「だってね…ガルフがお母様みたいだから。きっと私のお母様も生きていらしたら同じような事を言っていたと思ったの」
記憶の中の優しく微笑むお母様を思い出す。お母様はいつもご自分の体よりも私の体の事を気にかけてくださっていた。いまだにクスクスと笑う私を今だにジトッとした目で見つめてくるも、その表情は先程よりも柔らかい。「俺は男だってば」と言ってわしゃわしゃと私の頭を撫でてくる手もいつもより温かい気がする。
「ねぇ、ガルフ」
「ん?」
「ついて来てくれてありがとう」
目の前の彼には、感謝しても仕切れない程の恩がある。もちろん時空魔法に対しても大きな恩を感じているが、それよりもいつでも私の傍にいてくれる彼の存在に私は何度も助けられていた。
「…別にただの暇つぶしだ」
そうやってまたそっぽを向いてしまうガルフにまた笑みが溢れる。
「ガルフ…嘘ついてるでしょ」
「はぁ!?」
「だってね…ふふっやっぱりなんでもない!」
「はぁ?なんだよ言えよ」
ジロリと睨むガルフにまたにっこりと笑顔を向けて「教えなーい」と言えば、ガルフは私の両頬を引っ張って「言えって」と詰め寄ってくる。眉間にシワを寄せたガルフに「いはらお(いやだよ)」と言って、ガルフの手を頬から離させ、つねられていた両頬をさすって「痛かったわ」とションボリすると、心なしかガルフの眉尻が下がる。
ガルフ嘘ついてるでしょ。だって、ガルフって嘘つく時目線を右に逸らす癖があるんだもん。なんて
「私だけの秘密なの」
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ジューと何かを焼く音と、鼻腔に広がる香ばしい香りで目が覚めた。
「んぅ……がるふ…?」
ベッドから体を起こすと、キッチンでキビキビと作業をしているガルフの姿がボヤァっと見える。
私の声に気がつくと、こちらを見て「おはよう」とぶっきらぼうに言ってくる
「ふふっ…おはよ」
ベッドから降りて、洗面台に向かい顔を洗ってからガルフのもとに向かう
「わぁ!美味しそう!」
フライパンの上では、お肉がパチパチジュージューと音を立てながらいい色に焼きあげられており、先程の香ばしい香りはこれかと納得する。
テーブルの上にはふわふわの白いパンの上にトロトロのチーズ。思わず涎が出そうになるのをすんでのところで止める。
「ガルフすごい!天才!いつでもお嫁に行けるね!」
「俺は男だ」
ガルフの指がピンっと軽い力で私のおでこを弾く。「痛い!ひどい!」とさして痛くないおでこを押さえる私を見て、フッと鼻で笑うと呆れたような、でも柔らかいなんとも言えない顔で焼き上がったお肉を皿に盛り付ける。
「ほら、食べるぞ」
「うん!いただきます!」
待ちきれないというように、チーズのかかったパンを一口、うん美味しい。お肉も一口これもまた絶品だ。
「…ん?そういえば、このお肉ガルフが持って来てたの?」
私の持ち物には無かったお肉に今更ながら疑問が生まれる。ガルフはバツの悪そうな顔をした後に「朝早く起きちまったから、目覚ましがてら狩って来たんだよ。」と言う。
「えぇ!?狩りに行って朝ご飯作ってってかなり早く目が覚めたのね…やっぱり床は寝心地が良くなかったから…」
「いや!床で良かった…本当に…」
焦ったように言うガルフに「そう?」と首を傾げる。
「それより、昨日も思ったけどお前は細っこ過ぎる。ちゃんと食え。」
「ふふっ」
「なんだよ」
ムッとした表情でクスクスと笑う私を見つめてくるガルフ
「だってね…ガルフがお母様みたいだから。きっと私のお母様も生きていらしたら同じような事を言っていたと思ったの」
記憶の中の優しく微笑むお母様を思い出す。お母様はいつもご自分の体よりも私の体の事を気にかけてくださっていた。いまだにクスクスと笑う私を今だにジトッとした目で見つめてくるも、その表情は先程よりも柔らかい。「俺は男だってば」と言ってわしゃわしゃと私の頭を撫でてくる手もいつもより温かい気がする。
「ねぇ、ガルフ」
「ん?」
「ついて来てくれてありがとう」
目の前の彼には、感謝しても仕切れない程の恩がある。もちろん時空魔法に対しても大きな恩を感じているが、それよりもいつでも私の傍にいてくれる彼の存在に私は何度も助けられていた。
「…別にただの暇つぶしだ」
そうやってまたそっぽを向いてしまうガルフにまた笑みが溢れる。
「ガルフ…嘘ついてるでしょ」
「はぁ!?」
「だってね…ふふっやっぱりなんでもない!」
「はぁ?なんだよ言えよ」
ジロリと睨むガルフにまたにっこりと笑顔を向けて「教えなーい」と言えば、ガルフは私の両頬を引っ張って「言えって」と詰め寄ってくる。眉間にシワを寄せたガルフに「いはらお(いやだよ)」と言って、ガルフの手を頬から離させ、つねられていた両頬をさすって「痛かったわ」とションボリすると、心なしかガルフの眉尻が下がる。
ガルフ嘘ついてるでしょ。だって、ガルフって嘘つく時目線を右に逸らす癖があるんだもん。なんて
「私だけの秘密なの」
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