18 / 24
4
移
しおりを挟む
「王手!」
「ぐぬ……ハシラミ、待ったじゃ」
「やなこった。悔しかったらもっと強くなれ」
「大人気ないぞ」
「カマキリの神にンなこと言ってもなー。そういうフミこそ、将棋うまそうな見かけして弱いじゃねーか。十回も待ったを言いがって」
「数時間前に駒の動かし方を知った手前でうまいわけあるか。ほれ、次やるぞ」
将棋を突然神様同士で始めての五局目。先輩神であるハシラミが全戦全勝を収め、月筆乃命は負けじと駒を並べ始める。それだけなら親睦としてよろしいのだが、
「あのさ、僕の部屋で差すのやめてくれない? 声が大きくて集中できないんだけど」
いかんせん、貫之の部屋をその場にして、勉強中などお構いなしに大声を出してくるのだ。いくら志望校の合格は間違いないとしても、例外が起こるのが世の常である。後顧の憂いは絶っておきたいのにそれを妨害してくる。
「俺たちのことは気にするな。声の出る置物とでも思ってくれい」
「なにせ妾は元々にして物だからの」
うまい事を言ったつもりか二柱の神は笑う。酒でも飲んだようなテンションだ。
これなら学校の図書室か県立図書館で勉強する方がまだ静かで捗る。けれど夕食も済ませた午後七時でそのどちらも行くには遅すぎるし危険だ。
大家族の中で勉強する受験生の気持ちがなんとなく分かる気がした。
「貫之も少しは気晴らしにやれよ」
「そういえばハシラミと打っておったな」
そうなった原因は言うまでもなく佐一である。あの勘違いガキ大将はお年玉や小遣いで買ったゲームを借りては貸さないので、手を出さない将棋や囲碁をしてきた。もちろん相手のハシラミは取り返してやると言ってくれたが、劣等感から来る対抗心で止めていた。
「別に強くないよ。ハシラミに勝ったのだって何百と打って数回だし」
「だが勝っているのだな! ならば貴様にも挑戦してやる! こっちに来い!」
「フミって心が大きいのが小さいのかよく分からないよ」
貫之は手帳の一番上に喧しいを連想する【轟】を書く。その左には神通力を象徴する【力】と文字通りの【噂】が書いてあって今日一日の栞となっている。
「おいハシラミ、貴様は色々な意味で妾の先輩であろう! 先輩なら後輩を立ててはどうじゃ」
「神に先輩も後輩もあるか。俺より強ぇ力もってなに言ってんだ」
「力だけで満足するのは三下よ。上に立つのであれば総合で優れんとな」
「その割に勝たせてくれって気が小さいな」
「妾は勝たせてくれとはいっとらんぞ」
「屁理屈だっての。待ったをかける時点でちいせぇよ」
「小さくて結構。妾は貫之のことと人形神と言われなければ気にはせん」
「おーおー愛されてんねー。うらやましいぞ畜生! 紗江子なんて抱きしめてくれたこともないんだぞ!」
「刀より鋭い鎌を持っていれば当然であろう」
「だーかーら! 勉強中だって言ってるだろ! そんな話は縁側でしろ!」
十五年の人生の中で怒鳴ったことなんて両手で数えられる程度しかない。怒鳴らない、怒鳴れないよりは怒鳴る場面にならなかったからだが、今回はその場面になってしまった。
勉強をしたいのにそれを妨害する二柱の神に、貫之は喧しさを念頭に机を叩いて怒鳴る。
ボオオオオオオオオオオオオンオオオオオオオオオオオオオオオン
机から突然汽笛のような轟音が響いた。それも沖から聞こえるような易しいものではなく、目と鼻の先にあるスピーカーから聞くような、初顕現直後の月筆乃命の絶叫を上回る爆音だった。
その音を伝える空気の振動で、部屋中の物がガタガタ震えて窓にはヒビが入り、間近にいた貫之は反射的に座ったまま後ろへと跳んだ。もちろん綺麗な着地なんて出来るわけもなく、椅子ごと畳の上へと倒れこむ。
幸い背後には何もなかったので、頭を打ち付けることだけは避けられた。
「……っ……っ!」
それでも爆音と背中からの衝撃に貫之は悶絶する。耳鳴りがけたたましく鳴り響き、目の前がチカチカと明滅して吐き気もくる。まるで頭の中をかき回された気分だ。
頭の中にある世界が壊れそうな心理状態の中、突然とその崩壊の足音が止まった。それどころか巻き戻していくかのように世界は元通りになり、かき回される頭の中も元に戻る。
これには経験があった。腕の骨にヒビが入るも一晩で治ったのと同じそれだ。
「おい、大丈夫か?」
声のするほうに顔を向けると、顔の横幅より少しある月筆乃命が心配そうな顔をして手をかざしていた。
混乱する脳が突然落ち着かされ、その差異に困惑する。
「貫之! なに今の音!」
部屋の外からドタバタと足音が聞こえ、激しく襖を開けながら紗江子が入ってきた。
「心配するな。今の音は妾らの力の暴発で神隠しの襲来ではない」
「貫之、大丈夫? 声聞こえる?」
天井を見据えながら視野に入る紗江子に対し、頷いて聞こえることを示す。一緒に倒れた椅子から離れ、支えられながら立ち上がっても特に痛みや眩暈がすることもなかった。
「……大丈夫。腕の時みたいにフミが治してくれたみたいだから」
「なら……いいけど、一体どうやったらあんな大爆発みたいな音が出したの?」
閃くとは一瞬で鋭く光ることを言う。それは雷が閃くともいい、何かに気づいた時に雷が落ちる表現が使われるのはこのためだ。貫之は、自分の机に置いてある手帳を見た瞬間、比喩表現であるはずが本当に頭の中で雷が閃いたかのようにして全てを理解した。
「――僕らの力が『万能系』だからそれで出ちゃったんだと思う」
「万能系だからって、あっさり言わないでよ」
自分の持ち物だからこそ言える言葉も、紗江子からするとあまりの重さに腰が抜けてその場で座り込んでしまうほどであった。
それも当然で、万能系と言葉にするのは簡単でも実のところ潜在価値は絶大に高い。
ある上場企業の調査会社は、ほぼ公式に近いと言われている神通力ランキングをつけている。認知度、保有率、願望率、値段換算、総括等とそれぞれで挙げられ、シチコの分かりやすい指標となっている。天照庁をはじめ行政機関は表向き罰当たりとして行っておらず、実質その調査会社のランキングが公式となっているのだった。
欲しい、または利用したい神通力である一位心理系、二位治癒系はここから来るのだが、万能系だけは別格で数多の中で唯一順位付けが出来ない系統である。
なにせ欲しい力が幾多と使える以上、順位付けすれば一位以外取り様がないのだ。よって全ての順位付けでは万能系は記載されず、質に応じた値段換算もされない。その証明に、順位付けを始めた時は圧倒的多数で万能系が占め、二位の心理系とは数桁に違うほどだった。
そんなこともあり、願望や妄想で言うのならかわいいものの身近にある人からすればその言葉はあまりにも重いのである。身近に例えるなら、治癒系が宝くじで百万を、万能系は十億を身内が当ててしまったようなものだ。
「母さんが言いたいのは分かるけど、僕とフミの力だからいつまでも怖がってられないよ」
ここ数日、月筆乃命の神通力を知って驚愕するばかりだが、その力の根底は自分の愛情から来たものだ。緊張や畏怖は自分の神だけでなく己への侮辱にもなって怖がっていられない。
「お願いだから家を吹き飛ばすような暴発はやめてよ?」
「出来る出来ないでは出来るが、その心配はなかろう。のう貫之」
振り向き様に見せる月筆乃命の顔は、何もかもお見通しな笑顔をしていた。
「……まあね」
その笑顔に貫之は苦笑で応える。
まさか言葉も交わさずに伝わるとは思わなかった。以心伝心が親子の比ではないにしても伝わりすぎと言える。だが気づいたことは事実だ。次は暴発ではなく自分の意思で発現できる確信がある。
確かに『気づけ』だ。使い方の表現に『分かれ』ではなくどうして『気づけ』と言い続けていたのか、今になってようやく気づけた。
今まで行ってきた習慣が使用方法なのだから分かれと言う方が間違いだ。
「おっ、ひょっとしてもう自在に使えるのか?」
月筆乃命と貫之のやり取りにハシラミが察する。
「気づいたからね。多分自在に使えると思う」
気づくべきだったのは使い方そのものではなく、貫之が干渉しているかどうかだった。そこさえ気づければまったく分からなかった使い方も全部理解できる。
そして教えない月筆乃命の気持ちも分かり、逆に丁寧に教えるのは色々な意味で失礼だ。
「すっげーな。万能系っていやぁ全国でもほとんどいないんだろ? 宝くじの一等を当てるよりレアって話だしよ」
「関係あるまい。統計が何であろうと妾らの力は一つ。他の人も神もどうでもいいことよ」
「フミよぉ。格好いいこと言っても持ってる奴と持ってない奴じゃ捉え方が違うぜ?」
「だから妾たちの力を他人に配れと? ふん、周りがなんと言おうと知ったことか。この力は妾と貫之のもの。誰にどう使うかは妾たちの勝手じゃ、文句も何も言わせん」
最後は月筆乃命流の主張で締めくくった。
最後、と言うのは区切りがついたからではなく、月筆乃命が喋っている間に新たな事が起きたからだ。
その介入してきた事とはチャイムである。
一度っきりのチャイムに、貫之の部屋にいる二人と二柱は黙り込む。
「神隠しか」
日常の夜間の来訪は何かしらの勧誘や知り合いが上げられる。だが今の月宮家では第一にその考えが上がってしまった。
「でも普通チャイム鳴らす?」
「あいつは何をしたいのか分からんからな。常識どおりに考えない方がいいだろ」
神隠しは月筆乃命を狙っているのに貫之の命を狙い、依り代を盾にする暴挙にも出ている。常識で考えるとどちらともしない行動だから、常識で当てはめるのは危険だ。
「……なら私が出るわ。ひょっとしたらお父さんが鍵を忘れただけかもしれないし」
ここは親としての判断だろう。しかし平静と保っても不安がにじみ出ているのが分かる。
「僕が出るよ。万が一神隠しでも、分かってたら予防は出来るから」
奇襲と言うのは対象の中に襲われる前提がないから成功できる。襲われないと分かっているから虚をつけるのであって、襲われると分かっていれば対処はいくらでもある。つい十五分前までならそんな台詞は言えなかったが、今では言えるだけの根拠があった。
「ま、杞憂に終わるのが九割強であろうな」
もう一度チャイムが鳴り、貫之は万年筆と万が一に備えて携帯電話を持って部屋を出た。
玄関まで数メートルとない距離の中で貫之は左手に【硬】の字を書く。万年筆の金のペン先が皮膚に食い込み、わずかな痛みを伴いながらも綺麗に書き記される。それ眺め、鋼鉄よりも硬いことを想像しながら胸へと押し付けた。
「……これで大丈夫なはず」
あっけない万能系神通力の初使用である。
それでも力は発現したと確信できて、自分の胸を叩くと金属音同士が当たった音が響いた。左手を見てみると【硬】の字は消えていて、消えていた日記の【轟】と同じだった。
「あっけないものだろ?」
「そりゃ毎日のように使ってればね」
小学生の頃から始めた栞日記の使い方が、そのまま神通力の使い方に流用されたのだ。印象的な一字を書き、そこから連想できる事象であれば幅広く発現できる。それが万年筆に宿った月筆乃命の力。
長年使い続けた手法なのだから気づければあっけないものである。むしろ悩んでいたことが恥ずかしく、どうして万能系神通力と万年筆が繋がなかったのか恥ずかしくなった。
あくまで最悪のことを考え、サンダルと自分の運動靴で運動靴選び、踵を踏む形で覗き穴から家の外を見る。
父の憲明だった。どうやら紗江子の言うとおり鍵を忘れてしまったようで、ポケットをまさぐりながら三度目のチャイムを鳴らそうとしていた。貫之はホッと安堵して扉を開ける。
人だかりが貫之を出迎えた。
「――――は……?」
扉を開けた先は、夜間の住宅地が広がるはずが光で満ち溢れる巨大な室内であった。
その奇奇怪怪の事に、貫之は頭の中が真っ白となる。
「どこかの施設かの」
月筆乃命の言葉で思考が再点火され、貫之は周辺を見回す。
見えるのは地面も天井も乳白色のタイルで、貫之の家の数十倍はあろう広い室内だ。人々も数十人と見え、幾人かは貫之を見ては通り過ぎていく。
「ここは……ホテルのロビー?」
デパートにしては商品が一切ない。それにフロアにいる人々の中には旅行鞄が見え、目の前には受付のようなカウンターが見えた。
後ろを振り返ると、家の扉であったはずが関係者以外立ち入り禁止の扉となって閉じられている。憲明を出迎えるために扉を開けたのだから閉めるはずがないのに、開いていなければならない扉は閉まり、取っ手を握る右手はいつの間にか空虚を握っていた。
憲明の顔を見て安堵してからの急転直下であるが、襲われる前提があったために気持ちはすぐさま切り替えられた。
貫之は万が一に供えて持ち出しておいた携帯電話をポケットから出して、昨日登録しておいた番号へと掛ける。その番号は緊急連絡用として警察が用意してくれたもので、そこに掛けるだけで警察は『月宮貫之は神隠しに今現在襲われている』前提で対応してくれるのだ。
「月宮です。はい、家を出たらいきなりどこかのホテルみたいな場所で、多分神隠しです。場所ですか? えーと……」
「あれっ、ツッキーこんなところでどうしたの?」
電話の最中での声掛けに、貫之はビクッと体を震わせた。その振動で肩に乗る月筆乃命は落ちそうになって耳を強く掴む。
声を掛けてきたのは最近知り合った女子三人組であった。一人はパーカーにジーンズとややボーイッシュな服装で、もう一人は赤と黒のストライプのニーソックスに短パン、カジュアルチャック柄シャツを着ている。秋雪と古川だ。
三人目は黒のパンツスーツを身にまとい、肩からはショルダーバックを掛けて働ける女性をかもし出しているキョウだ。昨日と比べても十歳は年取っているように見える。
「秋雪に古川に、キョウさん?」
「ちょうどよかった。ひぃ子、突然で悪いがここはどこだ?」
「はぁ? あんたらがチケットくれたのにわかんないわけ? ホテル草間よ」
「今いる場所はホテル草間です。はい、はい、ありがとうございます。よろしくお願いします」
電話の奥からすぐに向かわせますので気をつけて、と一言を貰い、携帯電話をしまう。
「なになに、なにかあったの?」
「つーかなにその格好。ちょこっとコンビニに向かうような格好じゃない。靴下も履いてないし、ここがどこかも分かってないって」
「……多分神隠し関連じゃね?」
古川の指摘に、大人な女性にして男としか思えないキョウが結論を出す。
「えっ!? ツッキー神隠しに狙われてるの!?」
「なんせ昨日公園で狙われたしな」
「キョウ、なんでアンタそんなこと知ってるのよ。ていうか、昨日の話ってアンタ……あー、うん、なんか納得できた。あんたが狙われたのね」
「納得は不愉快だが事実だ。で、今ここにいるのはおそらく神隠しの仕業であろう。こちらは家の戸を開けたらここに出てしまって自分で来たわけではない」
おまけにここを狙う辺り、神隠しは昼間の会話を聞いていたに違いない。
「じゃあ近くに神隠しがいるの? ひぃちゃん」
「いや、大丈夫でしょ。狙われる道理ないし、こんなに人がいるのよ?」
「であれば昨日の公園に呼び出すはずじゃ」
ホテルのロビーには神隠しが近くにいるかもしれないことすら知らない一般客や従業員が多くいる。その上では式場やバイキング、宿泊で数百人はいるだろう。奇襲を仕掛けるのならば雑踏を避けるのは貫之にも分かる。ならなにか考えを持って自分の首を絞める方法を取ったのだ。
「ともかくお前らは帰れ。有効期限は今日までではあるまい」
「帰れって、ツッキーとフミちゃんは?」
「十分かそこらで警察が来るからな。それまで身を守ればなんとかなる」
「容姿と同じでみみっちぃことを言うんだな。あんなスゲー力を持ってるのによ」
腕を組んで静観するキョウは、秋雪たちと違い事情を知っている手前誰もが思うことを言う。それを聞くと今度は月筆乃命が雰囲気を変えた。
「持っているからなんだ。貴様は中学三年生が軍艦の艦長でも安心して出港を見送れるのか?」
「軍艦? 軍艦って、フミちゃんの力はそんなに強いの?」
「心理系って強力だけどそこまでじゃないわよ」
「……万能系なんだよ。それで神隠しに狙われてるんだ」
ここまで来たら隠し通すのは難しく面倒だ。貫之は先のことを考えて端的に説明する。
「なに、じゃあアンタの万年筆は心理系以外も使えるってわけ!?」
「万能系と言ったであろう。その意味くらい分かるであろうが」
「あ?」
「ひぃちゃんもフミちゃんも喧嘩腰にならないでよ。神隠しが近くにいるんだよ?」
「だーかーら、あたしとゆゆが狙われる道理がないっての。便利な力を狙ってるんだから」
「軍艦か、最新のイージス艦くらいはありえるかな」
「ぐぬ……ハシラミ、待ったじゃ」
「やなこった。悔しかったらもっと強くなれ」
「大人気ないぞ」
「カマキリの神にンなこと言ってもなー。そういうフミこそ、将棋うまそうな見かけして弱いじゃねーか。十回も待ったを言いがって」
「数時間前に駒の動かし方を知った手前でうまいわけあるか。ほれ、次やるぞ」
将棋を突然神様同士で始めての五局目。先輩神であるハシラミが全戦全勝を収め、月筆乃命は負けじと駒を並べ始める。それだけなら親睦としてよろしいのだが、
「あのさ、僕の部屋で差すのやめてくれない? 声が大きくて集中できないんだけど」
いかんせん、貫之の部屋をその場にして、勉強中などお構いなしに大声を出してくるのだ。いくら志望校の合格は間違いないとしても、例外が起こるのが世の常である。後顧の憂いは絶っておきたいのにそれを妨害してくる。
「俺たちのことは気にするな。声の出る置物とでも思ってくれい」
「なにせ妾は元々にして物だからの」
うまい事を言ったつもりか二柱の神は笑う。酒でも飲んだようなテンションだ。
これなら学校の図書室か県立図書館で勉強する方がまだ静かで捗る。けれど夕食も済ませた午後七時でそのどちらも行くには遅すぎるし危険だ。
大家族の中で勉強する受験生の気持ちがなんとなく分かる気がした。
「貫之も少しは気晴らしにやれよ」
「そういえばハシラミと打っておったな」
そうなった原因は言うまでもなく佐一である。あの勘違いガキ大将はお年玉や小遣いで買ったゲームを借りては貸さないので、手を出さない将棋や囲碁をしてきた。もちろん相手のハシラミは取り返してやると言ってくれたが、劣等感から来る対抗心で止めていた。
「別に強くないよ。ハシラミに勝ったのだって何百と打って数回だし」
「だが勝っているのだな! ならば貴様にも挑戦してやる! こっちに来い!」
「フミって心が大きいのが小さいのかよく分からないよ」
貫之は手帳の一番上に喧しいを連想する【轟】を書く。その左には神通力を象徴する【力】と文字通りの【噂】が書いてあって今日一日の栞となっている。
「おいハシラミ、貴様は色々な意味で妾の先輩であろう! 先輩なら後輩を立ててはどうじゃ」
「神に先輩も後輩もあるか。俺より強ぇ力もってなに言ってんだ」
「力だけで満足するのは三下よ。上に立つのであれば総合で優れんとな」
「その割に勝たせてくれって気が小さいな」
「妾は勝たせてくれとはいっとらんぞ」
「屁理屈だっての。待ったをかける時点でちいせぇよ」
「小さくて結構。妾は貫之のことと人形神と言われなければ気にはせん」
「おーおー愛されてんねー。うらやましいぞ畜生! 紗江子なんて抱きしめてくれたこともないんだぞ!」
「刀より鋭い鎌を持っていれば当然であろう」
「だーかーら! 勉強中だって言ってるだろ! そんな話は縁側でしろ!」
十五年の人生の中で怒鳴ったことなんて両手で数えられる程度しかない。怒鳴らない、怒鳴れないよりは怒鳴る場面にならなかったからだが、今回はその場面になってしまった。
勉強をしたいのにそれを妨害する二柱の神に、貫之は喧しさを念頭に机を叩いて怒鳴る。
ボオオオオオオオオオオオオンオオオオオオオオオオオオオオオン
机から突然汽笛のような轟音が響いた。それも沖から聞こえるような易しいものではなく、目と鼻の先にあるスピーカーから聞くような、初顕現直後の月筆乃命の絶叫を上回る爆音だった。
その音を伝える空気の振動で、部屋中の物がガタガタ震えて窓にはヒビが入り、間近にいた貫之は反射的に座ったまま後ろへと跳んだ。もちろん綺麗な着地なんて出来るわけもなく、椅子ごと畳の上へと倒れこむ。
幸い背後には何もなかったので、頭を打ち付けることだけは避けられた。
「……っ……っ!」
それでも爆音と背中からの衝撃に貫之は悶絶する。耳鳴りがけたたましく鳴り響き、目の前がチカチカと明滅して吐き気もくる。まるで頭の中をかき回された気分だ。
頭の中にある世界が壊れそうな心理状態の中、突然とその崩壊の足音が止まった。それどころか巻き戻していくかのように世界は元通りになり、かき回される頭の中も元に戻る。
これには経験があった。腕の骨にヒビが入るも一晩で治ったのと同じそれだ。
「おい、大丈夫か?」
声のするほうに顔を向けると、顔の横幅より少しある月筆乃命が心配そうな顔をして手をかざしていた。
混乱する脳が突然落ち着かされ、その差異に困惑する。
「貫之! なに今の音!」
部屋の外からドタバタと足音が聞こえ、激しく襖を開けながら紗江子が入ってきた。
「心配するな。今の音は妾らの力の暴発で神隠しの襲来ではない」
「貫之、大丈夫? 声聞こえる?」
天井を見据えながら視野に入る紗江子に対し、頷いて聞こえることを示す。一緒に倒れた椅子から離れ、支えられながら立ち上がっても特に痛みや眩暈がすることもなかった。
「……大丈夫。腕の時みたいにフミが治してくれたみたいだから」
「なら……いいけど、一体どうやったらあんな大爆発みたいな音が出したの?」
閃くとは一瞬で鋭く光ることを言う。それは雷が閃くともいい、何かに気づいた時に雷が落ちる表現が使われるのはこのためだ。貫之は、自分の机に置いてある手帳を見た瞬間、比喩表現であるはずが本当に頭の中で雷が閃いたかのようにして全てを理解した。
「――僕らの力が『万能系』だからそれで出ちゃったんだと思う」
「万能系だからって、あっさり言わないでよ」
自分の持ち物だからこそ言える言葉も、紗江子からするとあまりの重さに腰が抜けてその場で座り込んでしまうほどであった。
それも当然で、万能系と言葉にするのは簡単でも実のところ潜在価値は絶大に高い。
ある上場企業の調査会社は、ほぼ公式に近いと言われている神通力ランキングをつけている。認知度、保有率、願望率、値段換算、総括等とそれぞれで挙げられ、シチコの分かりやすい指標となっている。天照庁をはじめ行政機関は表向き罰当たりとして行っておらず、実質その調査会社のランキングが公式となっているのだった。
欲しい、または利用したい神通力である一位心理系、二位治癒系はここから来るのだが、万能系だけは別格で数多の中で唯一順位付けが出来ない系統である。
なにせ欲しい力が幾多と使える以上、順位付けすれば一位以外取り様がないのだ。よって全ての順位付けでは万能系は記載されず、質に応じた値段換算もされない。その証明に、順位付けを始めた時は圧倒的多数で万能系が占め、二位の心理系とは数桁に違うほどだった。
そんなこともあり、願望や妄想で言うのならかわいいものの身近にある人からすればその言葉はあまりにも重いのである。身近に例えるなら、治癒系が宝くじで百万を、万能系は十億を身内が当ててしまったようなものだ。
「母さんが言いたいのは分かるけど、僕とフミの力だからいつまでも怖がってられないよ」
ここ数日、月筆乃命の神通力を知って驚愕するばかりだが、その力の根底は自分の愛情から来たものだ。緊張や畏怖は自分の神だけでなく己への侮辱にもなって怖がっていられない。
「お願いだから家を吹き飛ばすような暴発はやめてよ?」
「出来る出来ないでは出来るが、その心配はなかろう。のう貫之」
振り向き様に見せる月筆乃命の顔は、何もかもお見通しな笑顔をしていた。
「……まあね」
その笑顔に貫之は苦笑で応える。
まさか言葉も交わさずに伝わるとは思わなかった。以心伝心が親子の比ではないにしても伝わりすぎと言える。だが気づいたことは事実だ。次は暴発ではなく自分の意思で発現できる確信がある。
確かに『気づけ』だ。使い方の表現に『分かれ』ではなくどうして『気づけ』と言い続けていたのか、今になってようやく気づけた。
今まで行ってきた習慣が使用方法なのだから分かれと言う方が間違いだ。
「おっ、ひょっとしてもう自在に使えるのか?」
月筆乃命と貫之のやり取りにハシラミが察する。
「気づいたからね。多分自在に使えると思う」
気づくべきだったのは使い方そのものではなく、貫之が干渉しているかどうかだった。そこさえ気づければまったく分からなかった使い方も全部理解できる。
そして教えない月筆乃命の気持ちも分かり、逆に丁寧に教えるのは色々な意味で失礼だ。
「すっげーな。万能系っていやぁ全国でもほとんどいないんだろ? 宝くじの一等を当てるよりレアって話だしよ」
「関係あるまい。統計が何であろうと妾らの力は一つ。他の人も神もどうでもいいことよ」
「フミよぉ。格好いいこと言っても持ってる奴と持ってない奴じゃ捉え方が違うぜ?」
「だから妾たちの力を他人に配れと? ふん、周りがなんと言おうと知ったことか。この力は妾と貫之のもの。誰にどう使うかは妾たちの勝手じゃ、文句も何も言わせん」
最後は月筆乃命流の主張で締めくくった。
最後、と言うのは区切りがついたからではなく、月筆乃命が喋っている間に新たな事が起きたからだ。
その介入してきた事とはチャイムである。
一度っきりのチャイムに、貫之の部屋にいる二人と二柱は黙り込む。
「神隠しか」
日常の夜間の来訪は何かしらの勧誘や知り合いが上げられる。だが今の月宮家では第一にその考えが上がってしまった。
「でも普通チャイム鳴らす?」
「あいつは何をしたいのか分からんからな。常識どおりに考えない方がいいだろ」
神隠しは月筆乃命を狙っているのに貫之の命を狙い、依り代を盾にする暴挙にも出ている。常識で考えるとどちらともしない行動だから、常識で当てはめるのは危険だ。
「……なら私が出るわ。ひょっとしたらお父さんが鍵を忘れただけかもしれないし」
ここは親としての判断だろう。しかし平静と保っても不安がにじみ出ているのが分かる。
「僕が出るよ。万が一神隠しでも、分かってたら予防は出来るから」
奇襲と言うのは対象の中に襲われる前提がないから成功できる。襲われないと分かっているから虚をつけるのであって、襲われると分かっていれば対処はいくらでもある。つい十五分前までならそんな台詞は言えなかったが、今では言えるだけの根拠があった。
「ま、杞憂に終わるのが九割強であろうな」
もう一度チャイムが鳴り、貫之は万年筆と万が一に備えて携帯電話を持って部屋を出た。
玄関まで数メートルとない距離の中で貫之は左手に【硬】の字を書く。万年筆の金のペン先が皮膚に食い込み、わずかな痛みを伴いながらも綺麗に書き記される。それ眺め、鋼鉄よりも硬いことを想像しながら胸へと押し付けた。
「……これで大丈夫なはず」
あっけない万能系神通力の初使用である。
それでも力は発現したと確信できて、自分の胸を叩くと金属音同士が当たった音が響いた。左手を見てみると【硬】の字は消えていて、消えていた日記の【轟】と同じだった。
「あっけないものだろ?」
「そりゃ毎日のように使ってればね」
小学生の頃から始めた栞日記の使い方が、そのまま神通力の使い方に流用されたのだ。印象的な一字を書き、そこから連想できる事象であれば幅広く発現できる。それが万年筆に宿った月筆乃命の力。
長年使い続けた手法なのだから気づければあっけないものである。むしろ悩んでいたことが恥ずかしく、どうして万能系神通力と万年筆が繋がなかったのか恥ずかしくなった。
あくまで最悪のことを考え、サンダルと自分の運動靴で運動靴選び、踵を踏む形で覗き穴から家の外を見る。
父の憲明だった。どうやら紗江子の言うとおり鍵を忘れてしまったようで、ポケットをまさぐりながら三度目のチャイムを鳴らそうとしていた。貫之はホッと安堵して扉を開ける。
人だかりが貫之を出迎えた。
「――――は……?」
扉を開けた先は、夜間の住宅地が広がるはずが光で満ち溢れる巨大な室内であった。
その奇奇怪怪の事に、貫之は頭の中が真っ白となる。
「どこかの施設かの」
月筆乃命の言葉で思考が再点火され、貫之は周辺を見回す。
見えるのは地面も天井も乳白色のタイルで、貫之の家の数十倍はあろう広い室内だ。人々も数十人と見え、幾人かは貫之を見ては通り過ぎていく。
「ここは……ホテルのロビー?」
デパートにしては商品が一切ない。それにフロアにいる人々の中には旅行鞄が見え、目の前には受付のようなカウンターが見えた。
後ろを振り返ると、家の扉であったはずが関係者以外立ち入り禁止の扉となって閉じられている。憲明を出迎えるために扉を開けたのだから閉めるはずがないのに、開いていなければならない扉は閉まり、取っ手を握る右手はいつの間にか空虚を握っていた。
憲明の顔を見て安堵してからの急転直下であるが、襲われる前提があったために気持ちはすぐさま切り替えられた。
貫之は万が一に供えて持ち出しておいた携帯電話をポケットから出して、昨日登録しておいた番号へと掛ける。その番号は緊急連絡用として警察が用意してくれたもので、そこに掛けるだけで警察は『月宮貫之は神隠しに今現在襲われている』前提で対応してくれるのだ。
「月宮です。はい、家を出たらいきなりどこかのホテルみたいな場所で、多分神隠しです。場所ですか? えーと……」
「あれっ、ツッキーこんなところでどうしたの?」
電話の最中での声掛けに、貫之はビクッと体を震わせた。その振動で肩に乗る月筆乃命は落ちそうになって耳を強く掴む。
声を掛けてきたのは最近知り合った女子三人組であった。一人はパーカーにジーンズとややボーイッシュな服装で、もう一人は赤と黒のストライプのニーソックスに短パン、カジュアルチャック柄シャツを着ている。秋雪と古川だ。
三人目は黒のパンツスーツを身にまとい、肩からはショルダーバックを掛けて働ける女性をかもし出しているキョウだ。昨日と比べても十歳は年取っているように見える。
「秋雪に古川に、キョウさん?」
「ちょうどよかった。ひぃ子、突然で悪いがここはどこだ?」
「はぁ? あんたらがチケットくれたのにわかんないわけ? ホテル草間よ」
「今いる場所はホテル草間です。はい、はい、ありがとうございます。よろしくお願いします」
電話の奥からすぐに向かわせますので気をつけて、と一言を貰い、携帯電話をしまう。
「なになに、なにかあったの?」
「つーかなにその格好。ちょこっとコンビニに向かうような格好じゃない。靴下も履いてないし、ここがどこかも分かってないって」
「……多分神隠し関連じゃね?」
古川の指摘に、大人な女性にして男としか思えないキョウが結論を出す。
「えっ!? ツッキー神隠しに狙われてるの!?」
「なんせ昨日公園で狙われたしな」
「キョウ、なんでアンタそんなこと知ってるのよ。ていうか、昨日の話ってアンタ……あー、うん、なんか納得できた。あんたが狙われたのね」
「納得は不愉快だが事実だ。で、今ここにいるのはおそらく神隠しの仕業であろう。こちらは家の戸を開けたらここに出てしまって自分で来たわけではない」
おまけにここを狙う辺り、神隠しは昼間の会話を聞いていたに違いない。
「じゃあ近くに神隠しがいるの? ひぃちゃん」
「いや、大丈夫でしょ。狙われる道理ないし、こんなに人がいるのよ?」
「であれば昨日の公園に呼び出すはずじゃ」
ホテルのロビーには神隠しが近くにいるかもしれないことすら知らない一般客や従業員が多くいる。その上では式場やバイキング、宿泊で数百人はいるだろう。奇襲を仕掛けるのならば雑踏を避けるのは貫之にも分かる。ならなにか考えを持って自分の首を絞める方法を取ったのだ。
「ともかくお前らは帰れ。有効期限は今日までではあるまい」
「帰れって、ツッキーとフミちゃんは?」
「十分かそこらで警察が来るからな。それまで身を守ればなんとかなる」
「容姿と同じでみみっちぃことを言うんだな。あんなスゲー力を持ってるのによ」
腕を組んで静観するキョウは、秋雪たちと違い事情を知っている手前誰もが思うことを言う。それを聞くと今度は月筆乃命が雰囲気を変えた。
「持っているからなんだ。貴様は中学三年生が軍艦の艦長でも安心して出港を見送れるのか?」
「軍艦? 軍艦って、フミちゃんの力はそんなに強いの?」
「心理系って強力だけどそこまでじゃないわよ」
「……万能系なんだよ。それで神隠しに狙われてるんだ」
ここまで来たら隠し通すのは難しく面倒だ。貫之は先のことを考えて端的に説明する。
「なに、じゃあアンタの万年筆は心理系以外も使えるってわけ!?」
「万能系と言ったであろう。その意味くらい分かるであろうが」
「あ?」
「ひぃちゃんもフミちゃんも喧嘩腰にならないでよ。神隠しが近くにいるんだよ?」
「だーかーら、あたしとゆゆが狙われる道理がないっての。便利な力を狙ってるんだから」
「軍艦か、最新のイージス艦くらいはありえるかな」
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる