HANAMIZUKI~貴女を永遠に想います

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2人の悲劇の始まりは・・・

その頃 千葉県館山市


—晴夫side



辺り一面、真っ黒に黒焦げた家の残骸・・・・・。
まだ、かなり・・・・焦げ臭い。

俺はその現場をジッと見つめしゃがみ込んでいた。

ハァァ・・・・。
鈴江の両親が残してくれた家・・・・消えちまった。

昨夜、火事に気付いたのは深夜2時過ぎだった。

俺等はいつも1階の居間の隣にある大きな和室で、布団を5枚敷きお袋と俺と鈴江で子供達3人を囲むようにして寝ていた。
1時半過ぎに陸がトイレに行くと言って起き、1人で行けるというから俺は布団から起き陸の帰りを待っていた。

家の造りはもの凄く古く、トイレは庭側の廊下を歩いて突き当りを曲がったところの奥にある。
子供は夜1人で行くのを怖がるのでいつもは一緒に行くが、昨夜は陸が1人で行くと言った・・・。

しかし、15分経っても・・・20分経っても戻らない陸。
俺も少しウトウトしていて、・・・時計を見て我に返り急いで寝室を出てトイレの方に歩いて行った。
うちは雨戸も壊れていて廊下側は今は雨戸無し。
でも館山はそこまで寒くない・・・・。

すると、陸が廊下の一番奥で庭の方を眺め窓際に立っているのが見えた。

「陸・・・?オシッコしたか?」
そう言って陸に近付くと・・・・陸は足をガタガタと震わせ、声が出ない位唇も震わせていた。

「おい・・・どうした?」
俺がしゃがみ陸を抱き寄せると、陸は庭の奥にある倉庫の方を指さし
「火・・・・火・・・・・」

そう言った。



え?・・・・火っ???
ビックリして顔を上げると、母屋の脇に立つ古い倉庫・・・・その中が真っ赤に染まっていて・・・煙が出ている!!!

「・・・・・・ッ・・・火事だーーー火事だーーーー!!!」
直ぐに叫び、陸を抱え鈴江とお袋を叩き起こした。
鈴江も直ぐに起きて、
「父ちゃん!お客さんっ・・・・」
そう言った・・・。

俺は慌てて2階に上がり、泊まりに来ていた常連のサーファー3人を叩き起こし
「火事だ!!起きろ!!」
そう言って直ぐに避難・・・・・。

サーファー3人はもう何度も来ている常連さんで、子供たちの事を可愛がってくれている20代の若者たちだった。
彼等は1階に降りると、奥の方でぐずっている海斗と空斗を抱え外に避難してくれた・・・・。

俺は全員外に避難した後、また家の中に戻りうちの親父の遺影と鈴江の両親の遺影を袋に詰めた。
「父ちゃんこれも!!」
直ぐに追って来たのは鈴江。

必死で2人して大事なものをその辺にある袋に詰め込み外に逃げた。

倉庫から出火した火は直ぐに草木に燃え移り、母屋を焼き尽くした・・・・・。
火が燃えるのってこんなに早いのか・・・・。
俺等は深夜2時過ぎに家が燃えるのを道路わきから見ていたんだ・・・・。


「父ちゃんーーーー!!!!」

・・・・・・????

背後から聞こえた元気な声・・・・・。
振り返ると、そこには顔にすすを付けてパジャマにコートを羽織った鈴江・・・・。

「なーに死んだような顔してんのよ!!一家の大黒柱がそんな顔してさぁ~!」
そう言って俺の横に座り込み、笑った・・・・。

「鈴江・・・本当にごめんな。お前の両親が大事にしていたこの家を・・・・」
本当に心から申し訳ないってそう思ったんだ。

すると鈴江は・・・バシバシッ!!!と俺の肩を叩いて・・・グイッと肩を抱いてきた・・・。
「もおさー・・・かなり古かったじゃない?次の台風で絶対飛ばされてたし・・・もう建て替えの時期だったんだよ」
そう言ったんだ・・・・。

確かに古かったけど・・・・・。

すると鈴江は、
「これを機に、このまま館山でー・・・民宿をやるのか、何処か他を探しても良いしさ!・・・・いい機会だから色々考えようよ」
そう言った・・・・。

「鈴江・・・・・・・・」

こういう時、男より女の人の方が・・・・しっかりしているなって思う時がある。
俺は・・・全然だめだ。

ガッカリしたってすっごい顔に出してしまうんだ。
でも、鈴江は違った。

大変なのに・・・・思い出も沢山ある家だし、悲しいはずなのに、凄いニッコリ笑って俺の肩をポンポンと叩いた。
そして、

「新しく建てるならさー・・・私大きなお風呂が欲しいなぁ!キッチンも大きくて綺麗なの!!ね???」
そう言って笑うんだ・・・・・。

俺はお前と一緒になって本当に幸せだよ。

「よし!デカいキッチンとデカい風呂だな!!!」


火の第一発見者は・・・陸斗だった。

『お前は皆の命の恩人だぞ』
俺は陸斗にそう言ったが、陸斗はあれから全く喋らない。

念のため病院で検査を受けたが、腕に軽い火傷を負った以外は多分問題ないと言われた。
ただ、詳しい検査結果が明日出るのと精神的ショックを受けている為、1日だけ入院して様子を見ましょうと病院の先生に言われた。

「おい、陸斗1日だけ病院でお泊まりできるか??寝るまでは母ちゃんが傍に居てくれるから・・・先生の言うこと聞いて美味しい御飯食べて今夜はここのお布団でゆっくり寝よう!」
陸斗にそう言うと、陸斗は何も言わず俺の腰にギューッと抱き付いてきた。

先生はニッコリ笑って、
「まぁ、体には何も問題無いと思うけどね、念のため、先生と~・・・一緒にここでお泊まりしようか?今日の御飯はね、ハンバーグだったかなぁ?」
そう言ってくれた。

陸斗は3人兄弟の長男。
いつも色々我慢していることもあり・・・・こうやって甘えて来る事もなかった。

でも陸斗は俺にしがみ付き、少しだけ先生を見て頷いた。

俺は陸斗をそのまま抱っこし、
「先生、よろしくお願いします・・・・・」
そう言って看護師さんに陸斗をお願いした。

陸斗は何度も振り返ってきたが、流石長男だ!
泣かないで看護師さんとレントゲンを撮りに行ったんだ。


今朝、美晴に連絡をしたら・・・・龍がお袋と子供たちだけでも湘南に来ないかって言ってくれた。
正直・・・・もの凄く嬉しかったよ。

さっき美晴からラインが来ていて、
『明日、龍と私お休みだから子供達とお母さんを迎えに行きます』
と・・・・・。

あの2人はまだ婚約したばかりで、そろそろ入籍しようってそう話していた。
婚約早々・・・迷惑を掛けてしまったな。








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