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世界で一番寂しがりやな男
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—幸side
慌てて仁君の部屋を出て深呼吸をした。
仁君は・・・以前みたいに髪を縛っていなくって、別人のようで・・・・また凄く素敵になってて・・・。
更に私になんかには勿体ない位の人になってて・・・・。
ぎゅっと目を閉じ、一緒に過ごした何か月か前を・・・思い出した。
「何で・・・・・」
逢いたかったけど・・・ずっと逢いたかったけど、・・・でも逢いたくなかった。
ずりっと壁に寄り掛かりながら、腰が抜けたように床に座り込み天井を見上げた。
仁君ってね、口も悪いし・・・格好良いから凄く遊び慣れているんだろうなって・・・最初そう思ったんだけどね・・・。
出逢った日、送ってくれた時から・・・凄く不器用で、でも・・・もの凄く優しくて、温かい人だなってそう思ったの。
でもあの時の私は酷い状況で、貴方を巻き込めないって・・・出来れば貴方には自分の本当の姿を見られたくない、バレたくないってそう思った。
だから貴方と一度連絡を絶った。
でも貴方は・・・・私の手を離さなかった。
何度も・・・何度も私を呼んでくれて、私の目を覚ましてくれた。
そして、もう戻れないだろう・・・キラキラした幸せなんて手に入らないってそう思って諦めていた事も貴方は私に沢山くれた。
だけど、一番見られたくなかった。
真也さんに暴力を受けている所を仁君に見られたの。
悲しかった。
よく考えてみて・・・・私は武蔵小杉のあのアパートで何度他の人達に抱かれたの?
恥ずかしい事もされたし、夜のお仕事だってしたし・・・・そんな女があんなに素敵な仁君に見合うはずないのに。
仁君には・・・・もっと身も心も綺麗な女性があってるのに・・・・・。
—仁side
幸が部屋を出て行った後、俺は放心状態だったが・・・・せっかく温泉来たし・・・。
部屋の露天風呂に浸かり、景色を眺めた。
正月に行った伊豆旅行を思い出すと、やっぱり・・・・どうしても諦められない。
風呂から出て部屋でノンビリしていると、あっという間に時間が過ぎ・・・・19時少し前に部屋の扉がノックされた。
「はーい・・・・・」
扉を開けると、・・・・・目の前にはエプロンを掛けた幸が立っていて・・・・、
「あ・・・あの、高梨様・・・お食事のご用意をさせて頂いてもよろしいでしょうか・・・・」
下を向いたままそう言った。
高梨様ね・・・・。
「お願いします」
そう言って中に入ると、幸は座敷のテーブルを拭いてカチャカチャと小鉢などを置きだした。
「飲み物ー・・・後で持ってきてもらって良いっすか?」
俺がそう言って座敷に座ると、幸は俺の方をチラッと見て
「あ・・・何をお持ちしましょうか?」
と、メニューを見せてきた。
ハァァ・・・・。
俺あまり酒強くないんだけどー・・・。
「じゃー・・・・ビールで・・・・・」
そう言うと、幸は
「畏まりました、直ぐにお持ちします・・・・こちらは火が消えたら蓋を開けてお召し上がりください」
って・・・全く目見ないしーー・・・・・。
幸は料理を並べ終えると、
「失礼します」
そう言ってまた部屋を出て行った。
料理はすっげー・・・・豪華な懐石。
メニューを見ながら先付から頂く・・・・・。
ハァァー・・・・・なんだこれ!!!超うまいじゃん!!・・・・ん??これ豆腐なのっ??
って、こんなにジックリメニュー見ながら飯食ったの初めてかもな・・・俺・・・・。
1人で黙々と食事をしていると、・・・・コンコン、と扉が叩かれて
「高梨様、失礼いたします・・・・・」
幸がビールを持って部屋に入ってきた。
「あー・・・・ここ、料理美味いな?」
なんとか、話がしたくて・・・・そう言うと、幸はやっと顔を上げて・・・俺の顔をジッと見てきた。
・・・・・・・/////////
「あ、今さ・・この豆腐食ったんだけどメチャ美味かった!」
そう言って幸にメニューを見せると、幸は俺の顔をじーっと見つめ・・・・少し笑って、
「・・・あ、・・・この前菜のフォアグラも美味しいですよ!後ね・・・焼き物直ぐお持ちしますのでー・・それもね凄く美味しいので・・・ご飯は焼き物と一緒にお持ちしましょうか?」
・・・・・・・。
「あ・・・あぁ・・・えっと、酒ー・・・注いでくれる?」
そう言うと、・・・幸は笑って
「はい・・・・・」
俺って情けないな。
こうやって・・・どうにかここに居てもらえるよう引き留めてる・・・・。
幸にビールを注いでもらい、
「お母さんはー・・・元気か?」
ちょっと気になってた。
金は・・・足りてるのか?
幸の顔を見ると、幸はビールの瓶をテーブルに置いて、・・・・ゆっくりと頷いた。
「・・・仁君の・・・お陰・・・。今ね、凄く元気で・・・でも抗がん剤が強いからちょっと辛そうな時もあるけど、でもね・・・ご飯以前よりよく食べるし、前より少し太ったかも!・・・あと2回抗がん剤やったら一旦終了で先生が検査して様子を見ましょうって・・・」
そうか・・・。
良かった・・・・・。
「きっと薬が合ってたんだな・・・・、金は足りてる?また足りなくなったら・・・・・」
そう言うと・・・・・。
幸はジッと俺を見つめ泣きそうな顔で、
「何で?・・・・・何でそんな事言うの?」
・・・・・・・・・。
「何でって・・・・俺は・・・・・」
俺は、お前の事・・・。
幸は俺の浴衣をギュッと握り、
「言ったでしょ・・?もうダメなの・・・・仁君、・・・・私なんかにそんな優しくしないで・・・・」
・・・・・・・・・。
幸は俺の浴衣をギューギュー引っ張って、
「仁君にはね、・・・・もっと素敵な女性が居るはずだから・・・・私はダメです・・・私は貴方には見合わないから・・・・・」
・・・・・・・・・。
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