転生して竜の親になりました~でも、スライムなんですけど?!~

桜月雪兎

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竜親、町興し編

六十四話、話し合い①

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 私たちはとりあえず簡易的に作った土の牢に人間たちを入れた。
 これは二つも意味で必要だから。一つは人間たちが逃げないように、もう一つはダークエルフや他のメンツが襲わないように。不用意に襲われたらあとあと何があるかわからないもの。
 まぁ、そういうことで土の牢は人間たちが逃げようと壊して飛び降りたら、骨折するぐらいの高さにしてあるの。ついでに、見張りはガントたちに任せてるわ。ソーガ?ソーガは私の護衛として側にいるわ。だって、みんながそうしろって聞かないから。いらないと思うんだけどね。
≪仕方なかろうな。人間たちは生け捕りにしたのじゃ、あらぬ疑いを持たれても仕方ないじゃろう≫
 あ、それはそうだね。
 とりあえず、話し合い、話し合いになるのか?
「ま、こちらが知っていることに関してはあの人間にこの子たちを人質にとられて強行に至ったってことなんだけど、合ってる?」
「ああ、そうだ」
「部隊長?!」
「落ち着け。現状、状況は変わっていない」
 うわぁ~~、悔しそう~~。
 まぁ、当たりなんだけどね。人間たちから私に移っただけで球から出てなければダークエルフの方に移ってもないから。
 まぁ、全てが終わらないとね、返せないよ。暴動が起きても困るから。
「それで、何を望む?」
「簡単よ、人間たちの身柄はこっちで引き取らせて貰うわ。あとは話し合いね」
「話し合いだと?」
「あなたたちに集落を襲われた者たちがいるわ。状況を知っても許せるものではないことぐらいわかるでしょ」
「……」
「だから、その全てを収めるために話し合いが必要でしょう」
「…そう、だな」
 よし。これで話し合いは一応出来そうだわ。
 人間たち?逃げれないのは悟ったみたいよ。土壁壊してきたけど、下を見て驚いていたし、中に戻っていったから。ついでに壊された壁もちゃんと直したよ。
 本当に油断も隙もないよね。
 まぁ、分かってるからここでやるんだけどね、話し合い。
 人間たちも逃げられないよ。やられもしないだろうけどね。
「あ、着いたようね」
「ティア殿、これで全員だ」
「うん、それでは話し合いをしようか。まずは被害状況の再確認からね」
「壊滅したゴブリンの村が3つ、これはゴブリンたちも生き残りはいなかった」
「我々、オークも2つ村が壊滅している。両方をあわせても生き残りは村一つ分にも満たない50人程だ。殆んどが戦闘の出来ない女子供に老人で男衆は少ない」
「我がオーガは里が1つだな。生き残ったのは30人程だ。オークと一緒で殆んどが女子供に老人、男衆は少ない」
「ええ」
 正確な人数は始めて知ったわ。でも、これでどうするか決めれるわね。
 後は潰された村が再建可能かってことね。
 これが重要よね。
 私は私たちのところに来た隊長さんに尋ねた。
「ねぇ、コボルドの隊長さん」
「はい?」
「各村の状況って分かる?再建できるかってことだけわかればいいんだけど」
「再建ですか?難しいでしょうね。建物が壊れているだけではなく、作物が荒らされ、土が汚染されているみたいでしたから」
「汚染?」
「ああ、見に行った時に強い毒の臭いがした。あれは土から出ていた」
 隊長さんのとなりにいたコボルドも渋い顔をしながら答えてくれた。
 だけど、その内容にダークエルフたちは驚き、部隊長さんが代表して声をあげた。
「バカな?!そんなこと我らはしていない!」
「だが、あれは毒の臭いだった」
「信じてくれ!我らは森に取り返しのつかないことはしない!!」
 誰もが渋い顔をしながら疑いの目でダークエルフたちを見ている。
 ダークエルフたちはそれを悔しそうに唇を噛んでいる。
 確かにどんな理由でも襲ってきたダークエルフたちを疑う気持ちも分かるけど、彼らもこの森で暮らす種族だ。森自体がダメージを負うようなことをするとは考えられない。
 そうなると残された可能性は1つ。
 私的にはそれが一番怪しいのよね。
「…………人間たちの方ね」
「え?」
「予測だけど、やったのは人間たちだわ。森に住まない彼らだもの、やることに何の躊躇いもないわ」
「……人間が」
「くそ!」
「汚染されていてはもう一度住むことなんて出来ない!」
「それだけではない!そこから森に毒が拡がってしまう!」
「落ち着いて。それは後で考えるわ。そう言うことならダークエルフたちに聞くけど」
「なんだ?」
 うん、分かるよ。今は話したくないんだよね。
 でも、話が進まないから悪いけど、そのまま話を進めるわ。
 最悪の事態かもしれないんだから。
「ここにいるのは1つの集落の人たち?」
「いや、ここにいるのは5つの集落から出てきている。我々は反乱できないように非戦闘者も一緒に連れて来らされてる」
「となると、ダークエルフたちの集落も汚染されている可能性があるわね。誰も見に行ってないなら可能性はゼロではないわ」
「わ、我らの集落が」
「何で…何で、そんな目に!」
 うっわぁ~、負の感情が凄いわ。
 怒り、悲しみ、憎しみ、嘆き、ここまで息苦しくなるとは。
≪仕方なかろう。住み慣れた場所を奪われたんだからのぅ≫
 ええ、そうね。でも、幸い、住むところはあるわ。
≪ん?何処に住まわす気じゃ?≫
 うちに来ればいいのよ。広さだけは確保してるんだからね。周辺に暮らすもいいしね。
≪うむ、それはよかろうがダークエルフたちはどうする?ただ住まわすわけにはいかんぞ?≫
 分かっているわ。何かしらの条件が必要なのわね。
 それにもう1つ聞いておきたいことがあるのよね。
「あと、ゴブリンの村を襲った時、全てのゴブリンはどうしたの?」
「ゴブリンたちはすぐに逃げ出した。だが、我らは殲滅するように言われた」
「そう」
「だが、殲滅などしていない。なるべく、逃げられるようにはした…んだが、村が毒で汚染されているなら、どうなったかわからない。我らはなるべく新たに村を再建できるように、生き残らせるように心掛けてはいたんだ」
「となると、隠れていたゴブリンたちがいた場合危ないわね。ガント」
「はい」
「悪いけど、ゴブリンの村が分かるコボルドと一緒に様子を見てきて。そして、生き残りがいたらここに連れてきて。ソーガはダークエルフの場所を回ってきて」
「「了解した」」
「私が3ヶ所とも知っている」
「里は私が案内しよう」
「「頼む」」
「「ええ」」
 ガントとソーガはそれぞれコボルドと志願してきたダークエルフの女性を連れて向かった。
 危ないからトップスピードで向かわなければいいだけど。無理かもな~。でも、すぐに知らなくてはいけないことだけどね。
 まぁ、あの子たちがコボルドとダークエルフに負担かけなければいいな。

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